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連載

〈角館伝四郎〉
山桜の樹皮に宿る美を
世界に問う

木のある暮らし
ーLife with Woodー
vol.062|Page 1

posted:2015.4.3  from:秋田県仙北市  genre:ものづくり

〈 この連載・企画は… 〉  日本の面積のうち、約7割が森林。そのうちの4割は、林業家が育てたスギやヒノキなどの森です。
とはいえ、木材輸入の増加にともない、林業や木工業、日本の伝統工芸がサスティナブルでなくなっているのも事実。
いま日本の「木を使う」時かもしれません。日本の森から、実はさまざまなグッドデザインが生まれています。
Life with Wood。コロカルが考える、日本の森と、木のある暮らし。

writer profile

Mikio Soramame

空豆みきお

そらまめ・みきお●akaoni design コピーライター。山形に生まれ、山形に育つ。のち山形を出て、やがて山形に戻る。いまは山形で学び、山形で遊ぶ日々。夏の鳥海山の麓の農園の、朝採りの枝豆収穫の手伝いが、ものすごく好き。
http://www.akaoni.org

credit

撮影:志鎌康平

角館伝四郎からつながる秋田の森のはなし

秋田県の森林面積は、県土の70%。半分は天然林、もう半分は人工林。
全国で6番目に大きい県である秋田県は、森林面積の大きさでも全国6番目。
山形県に接する県南の境界線には鳥海山がそびえ、
青森県に接する北西の境界線には世界遺産の白神山地がある。
秋田は、深く広大な森の国であった。

秋田・角館に宿る、樹皮の美の伝統

〈角館伝四郎〉は創業1851年。
上質な樺細工を生みつづける革新の老舗ブランドである。
樺細工の“樺”は白樺ではなく、山桜の樹皮。
江戸時代末期、秋田支藩の城下町として栄えたまち・角館で
下級武士の手内職として始まったとされる伝統工芸である。

商品の顔が樹皮であるという強烈なインパクト。
ひとつとして同じものはない圧倒的な個性。
山桜の樹皮に宿る模様と色の美しさ。
密封性に優れた機能面。際立ったそれらの特徴を持って今日に生きている。
樺細工の伝統は、日本で唯一、角館だけで育まれたもの。

角館伝四郎の六代目である藤木浩一さんは、
その伝統の技を生かしながら樺細工の世界に幅と奥行きを与え、
自らの手で普及に取り組んでいる。
人口13,000人の小さなまち・角館にある店舗に、ぜひ足を運んでいただきたい。
茶筒、菓子皿、素箱、ランチョンマット、パン皿、コースター、
箸置き、名刺入れの数々が並ぶ。
樺細工のある暮らしの美しさと広大さに一瞬で魅了されることだろう。

店舗の奥にあるのは、蔵を改築したショールーム。薄暗い空間のなかに整然と並ぶ樺細工が照らし出されている。

やさしく丁寧に取材に応じてくださった藤木さん。伝統の技とデザインを融合させるコンセプターでもある。樺細工の伝統技法を受け継ぐだけではなく、それを生かした新しい取り組みを進め、時代に合う、樺細工のあるライフスタイルを提案する。

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