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連載

〈GOCCO.(ゴッコ)〉
岐阜・大垣の
注目ベンチャー企業が提案する、
ちょっと先の
「たのしい未来」とは?

貝印 × コロカル GIFU NEXT
vol.007

posted:2017.1.8  from:岐阜県大垣市  genre:ものづくり

sponsored by 貝印

〈 この連載・企画は… 〉  これまで4シーズンにわたって、
持続可能なものづくりや企業姿勢について取材をした〈貝印×コロカル〉シリーズ。
第5シーズンは、“100年企業”の貝印株式会社創業の地である「岐阜県」にクローズアップ。
岐阜県内の企業やプロジェクトを中心に、次世代のビジネスモデルやライフスタイルモデルを発信します。

editor's profile

Tomohiro Okusa

大草朋宏

おおくさ・ともひろ●エディター/ライター。東京生まれ、千葉育ち。自転車ですぐ東京都内に入れる立地に育ったため、青春時代の千葉で培われたものといえば、落花生への愛情でもなく、パワーライスクルーからの影響でもなく、都内への強く激しいコンプレックスのみ。いまだにそれがすべての原動力。

credit

撮影:石阪大輔(HATOS)

IAMASで学んだこと、得た仲間

“楽しさぞくぞく開発中”という、ワクワクするキャッチフレーズを掲げている、
クリエイティブカンパニー〈GOCCO.(ゴッコ)〉は、
岐阜県大垣市にある4階建てのビルをまるごと1棟リノベーションして
シェアオフィスにしている。3階にGOCCO.が入り、2階は〈南原食堂〉
4階は建築設計事務所〈TAB〉と、仲間の企業や飲食店が入っている。

2階にはデジタルファブリケーション機器も設置してある。

代表取締役である木村亮介さんは名古屋出身。
教育大学の美術科を卒業し、印刷会社に入社。
パンフレットやウェブサイトなどの制作ディレクターとして働いていた。

「その会社では3年半くらい働きました。
でもどうしても海外に行きたくなってしまって、お金を貯め始めたんです。
飲み会も断り、ボロボロな車に乗って(笑)。
お金が貯まったので、いわゆる海外放浪に出ました。
行き当たりばったりで1年半。帰国後、やはり日本を客観的に見るようになるんですね。
そうすると課題とか問題点がたくさん見えてくる。
それに対して自分は何がしたいのか、何ができるのか。
そこでもう一度学び直したいと思って、
〈IAMAS(岐阜県立情報科学芸術大学院大学)〉に入学しました」

GOCCO.代表取締役の木村亮介さん。

〈IAMAS〉とは、先端メディアと芸術的創造を学ぶ学校。
専門的な教員陣がいて、芸術系大学を卒業した学生や一度社会で働いた学生など、
幅広いジャンルが集まってくる。
木村さんはこのとき29歳。

「入学したら、思った以上に、おもしろい人たちに出会うことができました。
海外と同じくらい多種多様で、動物園みたいに個性的(笑)。
年齢のこともあって、ただ学ぶだけではなく、
自分から動いて挑戦していかないといけないという焦りもありました」

入学してすぐ出会ったのが現パートナーともいえる森 誠之さん。
すぐに意気投合し、1年生の夏には、一緒に会社を立ち上げることを決めた。

「生きてきた道やジャンル、考え方は少し違うけど、目指すものが一緒だったんです。
だからスムーズに話をすることができました」

1階エントランスはいきなりグラフィカル。

GOCCO.はみんなバラバラで個性的

クリエイティブカンパニーとして、GOCCO.はさまざまなジャンルの仕事をしている。
中心にあるのはスマートフォンアプリの開発だ。
とはいえ、どれも小難しいものではなく、
子どもたちがドキドキするような楽しさにあふれている。

「 “楽しさぞくぞく開発中”というキャッチフレーズは、
学生の頃に考えてから変わっていません。
ちょっと先の未来にこんなことができたらおもしろいんじゃないかということを
提案することが僕たちの役割。中心メンバーはIAMAS出身ですが、
みんな個性的でやりたいことがバラバラだったりします。
でもそれを逆手に取ればいろいろなことができるし、
技術や知識を結集させれば新しいものが生まれます。
今後、世の中がどうなっていくかということを考えながら、
いま、自分たちがやらなければならないことを見つけていくという
プロセスを大切にしています」

楽しそうな仕事の作品などが並ぶ。

最近では、子どもたちへ向けた取り組みを盛んに行っている。
まずは働き方。大人が楽しく働いていないと、子どもへは響かない。

「日本は仕事に対してのマイナスイメージが強い。
ブラックとか、社蓄とか、サビ残(サービス残業)という言葉が社会で躍っていますよね。
本来、仕事しないと生きていけないし、多くの時間が割かれるもの。
仕事がおもしろくなかったら、人生おもしろくない。
それは働き方であり、内容であり、仲間であると思います」

GOCCO.では、みずからそうした「仕事」をやっている姿を見せる。

「たとえば、『こういういいビルがあったらまるごと借りてリノベーションしちゃうよ』
というのもひとつ。
お父さんが楽しく働いていなかったら、
子どもは仕事に対していいイメージを持てないし、将来社会に出たくなくなる。
『ゴメン、お父さん、楽しいから仕事行くわ』くらい言ってほしい。
そこに遊び心があれば続けていけると思います」

1棟まるごと借り切っているSTUDIO3ビル。

子どもたちに対する直接的な取り組みとしては
〈ミニフューチャーシティー〉というプロジェクトがある。
子どもたちが運営する小さなまち。仕事を考えてお店を開き、売買活動をする。
その際「LITコイン」という端末システムを使用する。

ひとりひとつずつコイン型端末を持っており、
それぞれの端末のボタンを押すとLEDが光る仕組みになっていて、
その光のパターンをアプリが認識し、必要な情報を呼び出すもの。
すべてのお店での支払い、ATMでのチャージ、仕事管理、会社の立ち上げ・廃業など、
会場中にあるiPadと連携して行うことができる。

コイン型端末のLEDを光らせて、iPadに認識させるシステム。

「僕たちが会社をつくったときの感覚を
子どもたちにも体感してほしいというワークショップです。
デジタルネイティブである子どもたちのほうが、直感的に使い方を理解しますね。
“こういう考え方をするんだ” “この機能が使いにくいんだ”
“誰もこの機能は使ってないね”など、子どもたちから学ぶところがたくさんあります」

子どもたちが自ら考え、選んで、体験する。
そこから得た学びで、また次の仕事に向かう。こうした体験ができる小さな未来のまち。
その未来にあるであろうICTシステムを活用していく。

GOCCO.が独自開発した特殊インクを使った印刷物をiPadなどの端末に触れることで認識させることができるPITシステム。その一例である〈POCARI MUSIC PLAYER〉は紙を当てるだけで、音楽再生ができる。

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なぜ大垣で起業を?

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大垣であることの意味

GOCCO.という会社名には、実はふたつの意味が込められている。
ひとつは「○○ごっこ」という遊び心。
もうひとつ「Gifu Ogaki Creative COmpany」の略称にもなっている。
木村さんは名古屋出身、森さんは大阪出身。
ともにホームではないのだが、大垣への意識が強い。

「大垣という地でどこまで会社を存続できるかということも実験のひとつです。
地方がどうなるかというテーマにつながっていくと思います。
おもしろい会社でなかったら、社員もやめていくだろうし、若い人も惹きつけられない。
大垣でおもしろいことをし続けるというのは、大きなテーマかもしれません。
たとえば、大垣にはクラブがない。
もし場所があるならば、どういう内容にする決めるだけですよね。
でもクラブがなければ、『クラブを建てる・つくる』しかありません。
キャンプ場なのか、駐車場なのか。そこから考える必要が生まれてきます」

IAMASの先生たちも大垣が地元ではない。
しかし、まちのおもしろいタイポグラフィを集めてZINEをつくってみる授業など、
まちなかを利用した授業もたくさんあったという。

「もしかしたらIAMAS時代からローカルへの意識というものも
ちょっとずつ教えてもらっていたのかもしれません」

大垣に根づくという意味で大きな役割を果たしているのが、
同じSTUDIO3ビルの4階に会社を構えている建築設計事務所の〈TAB〉だ。
代表の西田拓馬さんは、大垣出身。
以前は別のビルで設計事務所を構え、書店も経営していた。
IAMASの学生たちも集まっていて、そこで木村さんと西田さんは出会った。

〈TAB〉代表の西田拓馬さん。前回「GIFU NEXT」で紹介した〈mikketa〉の商品も手がける。

その後、木村さんが事務所物件を探しているときに、
西田さんに手伝ってもらっていい物件を紹介してもらった。
もちろんそこのリノベーションも西田さんが手がけた。

「僕たちはやはりアウェイなので、
西田さんがいなかったらここまでうまくできなかったと思います」(木村さん)

「大垣にIAMASがあるということを、まちの人はそれほど知りません。
だから僕は彼らの受け皿をつくって、
卒業後も大垣に残ってもらえるようなお手伝いをしたいと思っていました。
これから大垣はもちろん、地方はもっと更新されていきます。
そのとき、まちにあるものによって個性が変わっていくと思うのですが、
大垣にはIAMASがあるという特色を表現できると思っています」(西田さん)

TABは建築設計以外にも、デジタルファブリケーション機器を利用して
インテリアや家具などにも積極的に取り組んでいる。

「だからといって最初は誰も仕事を頼んでくれませんでしたが、
自分たちで好きなものをつくっていたら、このあたりの小さな会社とか、
和菓子屋さんの什器とか、自分たちでつくってみようという流れが生まれつつありますね。
このSTUDIO3ビルの南原食堂のスペースにも、
僕たちがつくった家具が置いてあります。
今はクイックな場所づくりが求められているので、
それに対応できるような家具シリーズです。
トータルで見た場づくりへの提案もしています」(西田さん)

3Dプリンターやレーザーカッターなど完備。

〈Trapezoid〉シリーズのスツールなどが展示されている。

その南原食堂は2階に入っている。
店主の南原鉄平さんも、木村さんのIAMAS時代の同級生。
なんとこの食堂自体が作品であるという。

「卒業論文の延長線上でこのお店をやっています。
僕の担当の先生がまちづくりやコミュニティを専門に研究されている方でした。
ジョン・レノンとオノ・ヨーコが
仲間たちと一緒にコミュニティをつくっていたようなアートを、
今こそやるべきではないかと思っているんです」(南原さん)

日替わりランチ(700円)

黒板には毎日異なる日替わりランチメニューが。

学生時代は、突発的に友だちの家などでごはんをつくっていた。
だんだんと大きくなり、いろいろなものを巻き込んで、
最終的には卒業論文にまとめるまでのコミュニティ論になった。

「STUDIO3ビルの2階はデジタルファブリケーションの機器が入る予定でしたが、
それにしてもスペースは広いので、何がいいかと考えていたのですが、
たぶんみんな薄々、南原食堂が入るのではないかと思っていたと思います」(木村さん)

南原食堂の南原鉄平さん。弟とふたりで店を切り盛りする。

作品である南原食堂。ここでの活動=コミュニティづくりも、
ゆくゆくは作品として論文にまとめるつもりだという。

「学生時代とは違って、面識のない普通のお客さんが来るのでおもしろい。
そういう人たちがGOCCO.やTABに興味をもったり、実際に話したり。
それも含めて南原食堂という作品と捉えています」(南原さん)

GOCCO.のクリエイティブは、地域づくりにも及んでいる。
メディア、ローカル、コミュニティ、働き方、教育。
どれでも現代日本社会の課題といわれるもの。
「いまやるべき課題」に、クリエイティブかつ遊び心を持って向き合っている。

information

map

GOCCO.

住所:岐阜県大垣市今宿6-52-16 ソフトピアジャパン・ドリーム・コア103号

http://www.gocco.co.jp/

TAB

http://www.tabjapan.com/

※IAMASに関してはこちらの記事もあわせて

地域にクリエイティブな力を実装したい!
情報科学芸術大学院大学(IAMAS)
産業文化研究センター 金山智子教授

http://colocal.jp/topics/think-japan/journal/20150901_53232.html

地場産業+情報産業でイノベーションを起こす
情報科学芸術大学院大学(IAMAS)
産業文化研究センター 小林 茂教授

http://colocal.jp/topics/think-japan/journal/20150908_53629.html

information

貝印株式会社

http://www.kai-group.com/

貝印が発行する小冊子『FACT MAGAZINE』でも、岐阜を大特集!

http://www.kai-group.com/factmagazine/ja/issue/3/

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