連載
posted:2016.4.11 from:香川県小豆郡土庄町 genre:暮らしと移住
〈 この連載・企画は… 〉
海と山の美しい自然に恵まれた、瀬戸内海で2番目に大きな島、小豆島。
この島での暮らしを選び、家族とともに移住した三村ひかりが綴る、日々の出来事、地域やアートのこと。
writer profile
Hikari Mimura
三村ひかり
みむら・ひかり●愛知県生まれ。2012年瀬戸内海の小豆島へ家族で移住。島の中でもコアな場所、地元の結束力が強く、昔ながらの伝統が残り続けている「肥土山(ひとやま)」という里山の集落で暮らす。移住後に夫と共同で「HOMEMAKERS」を立ちあげ、畑で野菜や果樹を育てながら、築120年の農村民家(自宅)を改装したカフェを週2日営業中。
http://homemakers.jp/
3月20日から始まった瀬戸内国際芸術祭2016(以下、瀬戸芸)。
残すところ春会期も1週間です。
4月17日が春会期の最終日となり、7月18日から夏会期が始まります。
小豆島には069番から109番までの作品が展開されています。
その数41作品。
前回の瀬戸芸のときは、移住して半年後くらいで、
家の片づけやカフェ改修、農業研修に行っていたりでなんだかんだと落ち着かず、
ほとんど作品を見に行くことができませんでした。
瀬戸芸期間中は、犬島や直島と小豆島をつなぐ直行便(高速艇)も臨時運航されるのに、
島外の作品にいたってはひとつも見に行けず……。
瀬戸内の島で暮らしていながらそれはもったいない!
なので今回の瀬戸芸では作品を見に行くというのをきっかけに、
小豆島のいろんな地区やほかの島も訪れようと企んでいます。
というわけで、先日訪れたのは小豆島の土庄本町エリア。
土庄港からバス停ふたつ分くらいの距離にある地区です。
ここは“迷路のまち”とも呼ばれ、
昔懐かしいまち並みが残る地域(小豆島日記vol.112参照)。
海賊から島民の生活を守るため、また海風から建物や日常生活を守るために
複雑に入り組んだ路地が迷路のよう。
実はここには去年、統合により廃校になってしまった小学校があります。
今回の瀬戸芸ではそこが案内所になっています。
一度行ってみたかったすてきな小学校です。
細い道に面した2階建ての旧土庄小学校。
校門から入ると芝生のグラウンドが広がっています。
板張りの廊下がなんともやさしい雰囲気で、
つい最近まで子どもたちがここで過ごしていたんだなぁと思うと
なんだか少し寂しくなりました。
この旧土庄小学校から歩いてすぐのところにあるのが、
大岩オスカールさんによる『大岩島2』という作品。
かつて醤油屋さんの倉庫だった建物の中にあります。
というか、こんなところに醤油屋さんがあったなんて驚き。
まちのことって知らないことばかりですね。
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『大岩島2』は直径12メートルのエアドームの中に
瀬戸内の島に似た架空の島の風景を描いたもので、
世界最大級のドローイング、インスタレーション作品だそう。
前回の瀬戸芸の際に伊吹島で制作、展示され、今回新たな部分が描き加えられています。
倉庫の入口から入ると、その奥に扉が。
足元にはスリッパ。履けません(笑)。
スタスタと進んでいき、扉を開けると……。
わぁ。
エアドームの中いっぱいに白黒の世界が広がっていました。
これなんとすべて黒の油性マーカーで描かれているそう。
いったい何本のマーカーが使われたんだろう。
あー、私絶対描ききれない(笑)。
ドームの中なのに、そこに広がるのは外の風景。
どこかの島にある1軒の家。
そのまわりの木々や岩、そして空。
遠くに見える船。
ドームの中にいる人たちは一緒にこの世界に迷い込んでしまった人たち。
そんな風に感じました。
あ、みなさんとても楽しそうでした。
さてそろそろ帰りましょうか。
家の扉を開けて、いつもの島の風景に戻りましょ。
次はどこに行こうかな。
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