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odekake

毎日通いたいパン屋カフェ
「パンと珈琲の こうば」。
ベーコンも旬の総菜も手づくり!

おでかけコロカル|北海道・道東編

posted:2015.10.30   from:北海道中標津町  genre:旅行

〈 おでかけコロカルとは… 〉  一人旅や家族旅行のプラン立てに。ローカルネタ満載の観光ガイドブックとして。
エリアごとに、おすすめのおでかけ情報をまとめました。ぜひ、あれこれお役立てください。

photographer profile

YAYOI ARIMOTO

在本彌生

フォトグラファー。東京生まれ。知らない土地で、その土地特有の文化に触れるのがとても好きです。衣食住、工芸には特に興味津々で、撮影の度に刺激を受けています。近著は写真集『わたしの獣たち』(2015年、青幻舎)。
http://yayoiarimoto.jp

writer's profile

Team YumYum

チームヤムヤム
(山本 学 ・ 山本えり奈)

旅をしながら十勝に暮らす編集デザインチーム。あいうえお表やカレンダー、すごろくやイラストマップなど、日々の楽しみをデザインする作品をつくっています。「ヤムヤム旅新聞」にて、旅やローカルな魅力を発信中。 http://www.tyy.co.jp

credit

取材協力:北海道観光振興機構

中標津市街地の大通り沿い。
白いさっぱりとした外観に
〈パンと珈琲の こうば〉と書かれたシンプルな立て看板。
つい見過ごしてしまいそうだけれど、
店にはひっきりなしに、地元の人たちがパンを買い求めにやってきます。

真っ白な外壁と、シンプルな立て看板。

レトロな木枠のガラス戸を開けると、
昔の商店にあったような木製のショーケースに目がとまります。
テーブルの上には、こんがりと香ばしく焼けたパンがずらりと並んでいます。
くるみやドライフルーツを練りこんだハード系のパンから、
カレーパンやサンドイッチなどの惣菜パン、
メロンパンやミルククリームサンドといった菓子パンまで、
さまざまな種類のパンはどれもおいしそう。
給食で使っていたような懐かしいアルミのトレーを持って、
どのパンにしようか迷ってしまいます。

「いろんなお客さんに食べていただきたいので、
いろんな種類のパンを焼いています。
自分たちも、ハード系のパンを食べたい日もあるし、
菓子パンも食べたい日もありますから」と話すのは、
販売を担当する澤田聡子さん。

菓子パンの一番人気のメロンパン(140円)、くるみやいちじく、クランベリーが入ったセーグル・フリュイ(小325円)、自家製ベーコンや夢想農園のカブを使った季節のパン、カブのタルティーヌなど、種類豊富。午後には売り切れるパンも。

パンを作るのは旦那さんの澤田吉宏さんの仕事。
吉宏さんのお母さん、聡子さん、
ほかにも2名のスタッフとともに5人で店を切り盛りしています。

吉宏さんは、パン職人を目指して帯広や札幌のパン屋さんで働きながら、
さらに独学を重ねてパン作りを研究してきました。
そうして生まれた”こうばのパン”は、
生地の発酵に12~13時間もかかり、
長時間発酵による独特の柔らかい風味が特長です。
毎日、午前1時ごろからパンの仕込みにとりかかります。
なるべく北海道産の食材を使いたいという想いから、
道産小麦を使ったパンを少しずつ増やしていって、
現在は全体の8割にまでになりました。

開店中も工房では、パンを仕込んだり焼いたりと常に動いている吉宏さん。
聡子さんも接客をしながら仕込みをしています。
ときには、9か月になる娘さんのはるちゃんをおんぶしながらも。
ミルクパンのミルククリームも、カレーパンのカレーも、アンパンのあんこも、
惣菜パンのベーコンも全部手づくり。つくれるものは全部自分でつくります。

はるちゃんと吉宏さん、そして聡子さん。

店を開いたのは、2013年4月。
岐阜出身の吉宏さんと鎌倉出身の聡子さん。
ふたりとも縁あって北海道で働くこととなり、
ふたりともいつか自家製パンのカフェを開きたいと、
道内をあちこち訪ね歩きました。
青い空、濃い緑、牧場も多い……
そんな道東の風景にひかれて、
大好きな風景がすぐ近くにある中標津に店を開くことに決めました。

もともとは居酒屋の建物だったところを、
DIYの勉強をしながら半年ぐらいかけて改装。
吉宏さんは、セルフリノベーションで知られる、
十勝のぬかびら温泉の宿〈中村屋〉(おでかけコロカル道東編に登場)で
働いていたこともあり、そこのご主人にDIYの方法を教えてもらったり、
機械を借りたり、ドアをつくってもらったりといろいろ助けてもらったそう。

パン売り場の奥には、テーブル3つほどの小さなカフェスペースがあります。
「最初はカフェをメインでやりたいと思っていたんですが、
開店の準備をしているときに、地元の人たちが“パン屋さんができるらしい”
と楽しみにしているという声が聞こえてきて……。
それでパンをメインにすることになったんです」(聡子さん)

オープン後もパン人気は衰えず、
だんだんと種類も増え、いまでは毎日30種類ほどのパンが並びます。
小さい子どもからお年寄りまで、幅広い世代が安心して食べられるものばかりです。
今後は、2階も少しずつ改装していって、カフェスペースも広げていきたいそうです。

ドリンクメニューも充実しています。
コーヒーは、美瑛にある自家焙煎コーヒーの店〈Gosh〉による、こうばオリジナルブレンド。
ほかにも水出し珈琲のカフェオレ(480円)や自家製ジンジャーエール(420円)、
黒糖やキャラメルなど好みのシロップでいただくホットミルク(400円)など、
店内のイートインスペースで、パンと一緒にゆったりと味わえます。

パンはスライスしてサーブしてくれます。水出しアイスコーヒー(400円)と一緒に。

くだものでジャムをつくったり、セミドライにしたり、はちみつ生姜を煮たり、
実家から柿がたくさん届いたら柿を使ったパンをつくってみたり……。
旬のおいしい食材をパンと合わせてつくっているので、
季節ごとにどんなパンが登場するのかはお楽しみ。

「パンに合うおいしい野菜を紹介したい」と、
パンに使っている〈夢想農園〉の野菜や
〈チーズ工房チカプ〉のチーズを並べた小さなマルシェイベントも開きました。
これからの展開もますます楽しみな、かわいいまちのパン屋さんです。

information


map

パンと珈琲の こうば

住所:標津郡中標津町東八条南1-1

TEL:0153-74-8015

営業時間:10:00~17:00 

定休日:火・水曜休

駐車場 あり
https://www.facebook.com/KOUBA.brot

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