odekake
posted:2015.4.30 from:島根県 genre:旅行
〈 おでかけコロカルとは… 〉
一人旅や家族旅行のプラン立てに。ローカルネタ満載の観光ガイドブックとして。
エリアごとに、おすすめのおでかけ情報をまとめました。ぜひ、あれこれお役立てください。
editor’s profile
Kaori Ezawa
江澤香織
えざわ・かおり●神奈川生まれ、東京在住。フリーライター。友人に誘われふらっと訪ねた鳥取の旅で、 その良さに感動し、以後、山陰と深く関わることに。「山陰旅行 クラフト+食めぐり」(マイナビ)著者。 食、旅、クラフト等を通じて、日本文化とものづくりを応援。
credit
撮影:川瀬一絵(ゆかい)
出雲大社のすぐ近くなのですが、入り組んだ住宅街の中にあって、
なかなか分かりづらい場所。毎回迷いながらたどり着きます。
小道の向こうに、ぽつんと木造の作業棟が建っており、
庭に積まれたたくさんの薪は、燻製のためのもの。
ここでは、ナラやヤマザクラなどの原木を直に焚いて、燻製を作っています。
作業棟の中に入ってみると、レンガ造りの大きな燻製窯に圧倒されます。
島根産の豚や鶏を、シンプルに塩こしょうのみで燻します。
添加物は一切入っていない燻製です。
発色剤なども全く入っていませんが、とてもいいピンク色をしているのは、
じっくりと丁寧に低温で長時間燻しているからだそうです。
燻製職人の青木章さんは、以前は火山写真家だったそうです。
かつてトカラ列島を旅したとき、現地であまりに美味しい燻製の魚に出会って感動し、
見よう見まねで覚えたという燻製方法を、今の仕事に生かしています。
だから青木さんの一番の自信作は魚の燻製。
この地域で採れるアゴ(飛魚)を燻製にしています。
でも、いつもあるわけではありません。もし売っていたらラッキーです。
旬の時期、その日に採れた新鮮で上質な魚が手に入ったときにだけ作ります。
他にはベーコンやソーセージ、ポークジャーキー、スモークチキンなどがあります。
肉の深い旨味がしっかり出て、燻したよい香りが鼻腔をくすぐる、本当に美味しい燻製で、
ちょっと炙ってお酒のつまみにしても、細かく刻んで料理に混ぜても、
圧倒的に存在感のある味わいです。
素材を燻すために使う原木の薪は命そのものであり、
化学燃料とは全く違う、という青木さん。
木の年輪を見ると年月が分かり、生命の重さ、エネルギーを感じる、とのこと。
火と向き合い、じっくり対話をしながら薪を燃やしていくことは、
人間らしい最も原始的な行為のひとつであり、
まるで神聖なセレモニーのようだと語ります。
素材(肉)は若いほうが柔らかくて食べやすい、と思われがちですが、
燻製の場合は、成長してからのほうがコクや旨味が出て
本当の美味しさを味わえるのだそうです。
なんだか哲学のような話が、青木さんの口から次々と語られ、
燻製に人生を学んだような気持ちになります。
Information
スモークハウス白南風(しらはえ)
住所:島根県出雲市大社町北荒木264−3
TEL:0853-53-5367
営業時間:9:00〜17:00
定休日:不定休
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