地方創生を背負って、
霞ヶ関から長門市へ
誰と組み、どう進めるか……。
まちづくりを左右するチーム編成の行方は?
例年、雨に泣かされる「湯本温泉まつり」だが、2018年4月1日は天気に恵まれた。
子どもみこしが温泉街を練り歩き、桜風吹が音信川(おとずれがわ)に舞う、
そんな美しい風景の1日だった。

子どもみこしを迎える桜の〈きらきら橋〉。
日が暮れ始めた河原ではバーベキューの準備が行われていた。
送別会だという。
手際よく食材を用意するのは、
長門市役所・成長戦略推進課の中原美可子さん。
同じ課の松岡裕史さんと管田央信(かんだひさのぶ)さんは
プロジェクターを設置している。
温泉街の〈荒川食品〉店主で
湯本まちづくり協議会の会長を務める荒川武美さんや旅館関係者、
プロジェクトメンバーなど20人ほどが、
楽しそうに会話をしながら主役を待っていた。
ほどなく現れたのは、
長門市役所・経済観光部長の木村隼斗(よしと)さんだ。
3年間の勤務を終えて、明日東京へ戻るという。
石段を降りながら、
「仕事でお世話になった方の結婚式に出ていました。
ちゃっかり温泉に入って、着替えてきました」
と照れくさそうにしている。

送別会は足湯がある思い出の河原で行われた。
木村さんは2007年から東京・霞ヶ関の経済産業省で働く官僚だ。
長門市へは2015年4月、国が行う〈地方創生人材支援制度〉でやってきた。
この制度は、第2次安倍改造内閣が2014年9月に設置した
「まち・ひと・しごと創生本部(通称、地方創生本部)」が窓口になっている。
ホームページに、こう説明がある。
「地方創生に積極的に取り組む市町村(原則人口5万人以下)に対し、
意欲と能力のある国家公務員・大学研究者・民間人材を
市町村長の補佐役として派遣しています(原則2年)」
初年度は、中央省庁の官僚らを中心に派遣された。
例えば福井県鯖江市へは財務省から、
群馬県みなかみ町へは大学研究者が、静岡県伊豆市へは内閣府から、
島根県海士(あま)町へは文部科学省から派遣されている。
赴任先はマッチングで決まる。
木村さんは説明する。
「地方創生を語ると長くなりますが、ひとことで言うと、
人口減少へのチャレンジなんです。
人口減少を迎えている市町村に私たちも入り込んで、
その解決法を一緒に悩み、見つけていきましょう、
それが〈地方創生人材支援制度〉の目的だと理解しています」