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FabCafe Part2:
アイデアを“出力”する。
デジタル工作で切り開く
未来のクリエイティブ。

貝印 × colocal
ものづくりビジネスの
未来モデルを訪ねて。
vol.016

posted:2013.8.27  from:東京都渋谷区  genre:ものづくり

sponsored by 貝印

〈 この連載・企画は… 〉  「貝印 × colocal ものづくりビジネスの未来モデルを訪ねて。」は、
伊勢谷友介さんがパーソナリティをつとめ、谷崎テトラさんが構成作家をつとめる「KAI presents EARTH RADIO」と連携して、
日本国内、あるいはときに海外の、ものづくりに関わる未来型ビジネスモデルを展開する現場を訪ねていきます。

editor profile

Tetra Tanizaki

谷崎テトラ

たにざき・てとら●アースラジオ構成作家。音楽プロデューサー。ワールドシフトネットワークジャパン代表理事。環境・平和・社会貢献・フェアトレードなどをテーマにしたTV、ラジオ番組、出版を企画・構成するかたわら、新しい価値観(パラダイムシフト)や、持続可能な社会の転換(ワールドシフト)の 発信者&コーディネーターとして活動中。リオ+20など国際会議のNGO参加・運営・社会提言に関わるなど、持続可能な社会システムに関して深い知見を持つ。http://www.kanatamusic.com/tetra/

photographer

Suzu(Fresco)

スズ

フォトグラファー/プロデューサー。2007年、サンフランシスコから東京に拠点を移す。写真、サウンド、グラフィック、と表現の場を選ばず、また国内外でプロジェクトごとにさまざまなチームを組むスタイルで、幅広く活動中。音楽アルバムの総合プロデュースや、Sony BRAVIAの新製品のビジュアルなどを手がけメディアも多岐に渡る。https://fresco-style.com/blog/

クリエイティブな制作環境とカフェをひとつにするFabCafe

世界に広がるデジタルファブリケーションのムーブメント。
その拠点のひとつが渋谷にあるFabCafeだ。
グローバルにコラボレーションしたものをローカルで製造する
そんな時代を象徴するカフェ空間となっている。

ネットワークでオープンソースのデータをシェアする文化がうまれ、
世界中のクリエイターが同じデータを共有することで
新しいものづくりの可能性が広がっている。

たとえば一枚の紙からレーザーカッターで
切り出されたペーパークラフト。
共有されたデータは世界のさまざまな場所で
同じ成形物を出力する環境が整いつつあり、
さらにその素材や加工に独自性を加えることで、
地域のカラーを生かす商品もつくることができる。

一枚の紙から切り出された素材でさまざまな商品が生まれていく

一枚の紙から切り出された素材でさまざまな商品が生まれていく。

店内のランプシェード

店内のランプシェードもFabCafeでつくられたもの。たとえばこの素材に地域性を生かしてみたらどんな商品が企画できる?

アイデアをかたちにするコンテスト、「You Fab」。

「レーザーカッターや3Dプリンタは“道具”でしかない。
どう使うか、というデザイナーの発想が面白い」と、
FabCafeのディレクター岩岡孝太郎さんは語る。

クリエイティブなアイデアをかたちにする企画として、
FabCafeでは昨年より、
レーザーカッターでつくるデザインコンテスト「You Fab」を開催している。

今年は生活に欠かせない必需品としての「紙」を素材にアイデアを募集。
「紙のおもちゃ」「紙のグリーティング・カード」
「紙でつくるパーティーウェアやアクセサリー」
の3部門のグローバルコンテストだ。

そして2012年の優勝者の作品はこの『360°Book』だった。

『360°Book』

レーザーカッターでつくるデザインアイデアを競うコンテスト「You Fab 2012」優秀賞を受賞した『360°Book』

レーザーカッターが切れるのは平面だが、
それを逆手にとって切り出した平面を円形上に配置した。
本を開くと360°にストーリーが展開する。
閉じると一冊の本になる。

FabCafeのオンラインストアで作品のデジタルデータの販売もしている。
購入者はクリエイティブコモンズ・ライセンズの
「表示・非営利・継承」扱いで自由に作品をアレンジして楽しむこともできる。

この作品は商品化のオーダーが世界中から来ていて
アメリカをはじめグローバルで、
照明器具バージョンも加えて発売することが決定している。

立体ジオラマが現れる新しい絵本

ページを一枚一枚レーザーカットし、360°開くと立体ジオラマが現れる新しい絵本。

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3Dプリンタやレーザーカッターを使ったワークショップ。

かつては高額だったデジタルファブリケーション
(デジタル工作機械)の代表的なものとして以下がある。

・3Dプリンタ(樹脂や石膏、金属粉末などを積層して立体造形物をつくる機械) 
・レーザーカッター(高出力のレーザーで板状の素材を彫刻や切断する機械) 
・ミリングマシン(ドリルの刃で素材を切削して立体造形物をつくる機械) 
・カッティングマシン(カッターの刃で薄膜状のシートを切断する機械)

これらはすべて、コンピュータで加工ができる。
FabCafeではこういった機器を使ったワークショップも展開している。

「コレジャナイけん玉大会」での作品

FabCafeでおこなわれたザリガニワークス「コレジャナイけん玉大会」での作品。優勝は今回の取材チームにも同行した貝印の小口さんでした。

取材にうかがったとき、富士山の世界遺産登録が発表になったということで
登山の専門出版社「山と溪谷社」とコラボレーションした
富士山カフェウィークが開催中だった。

等高線情報を元に切断データを忠実に再現する
山岳模型キット「やまつみ」の特別版「リアル手乗り富士山」を
レーザーカッターを使用して作成するワークショップなどを開催。
カフェではレーザーカッターで切り出したアクリル製のピックをあしらった
創作スイーツなどもメニューとして提供していた。

「手乗り富士山」

富士山カフェウィークということで、レーザーカッターを使用してつくられた「手乗り富士山」。等高線情報を元につくられている。

FabCafeには素材も常備

iPhoneケースなど、FabCafeには素材も常備されている。

FabCafeにはマテリアルとして、
アクリル、木板、合板 、紙、革、コルクなどが準備されている。
加工用のiPhone5ケースやノートブックなどもある。
今回取材チームも、「Fabしてみよう!」ということでレーザーカッターに挑戦。
KAI TOUCH EARTH オリジナルのiPhoneケースをつくってみることに。

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フォントを決める

PCでケースにデザインする文字のフォントを決める。

レーザーカッター

デザインをもとにレーザーカッターで削り出す。

オリジナルのiPhoneケース

KAI TOUCH EARTH オリジナルのiPhoneケースが完成。

貝印の活動、KAI TOUCH Project! のパンダのキャラクターデザインを
メールで送り、PC上でレイアウトを決めて……。
レーザーカッターにデータを送り、完成までおよそ15分。
世界にたったひとつのオリジナルのiPhoneケースが完成。

もちろんこのデータをもとにコピーもつくれる。
量産して商品化するためのサンプルとしても使える。
数量を限定してクラウドファンディングで購入者を募ることもできる。

以前、この連載で紹介したBsizeのような「ひとり家電メーカー」が生まれたのも
かつては大企業にしかなかったデジタル工作機器が安価になったからだ。

つくりかたの未来系。
ものづくりのアイデアと熱意があれば、
無限の可能性があるのだ。

Making, Living, Sharing(つくる、暮らす、共有する)

FabCafeのようなデジタルものづくりのムーブメントは
いまや世界中に広がっている。
世界のものづくりの様子を描いた
映画『Making, Living, Sharing』では、
世界中にある30以上のFabLabや、メイカースペース、ハッカースペースなど、
さまざまな国での「ものづくり」の未来形が描かれる。

ノルウェー出身のイェンス・ディヴィク氏が、約2年間に渡って地球各地のFabLabを自ら訪ね歩き、撮影した映画『Making, Living, Sharing』トレーラー。8/23〜26に横浜みなとみらいでおこなわれた、世界FabLab代表者会議(Fab 9)で上映された作品。

FabCafeも現在、東京以外に台北にも展開している。
そして年内にバルセロナへと展開の予定だ。

information

map

FabCafe

住所:東京都渋谷区道玄坂1-22-7 道玄坂ピア1F

営業時間:月〜金 10:00 〜 20:00 土・日 11:00 〜 20:00

定休日:祝日

Web:http://tokyo.fabcafe.com/

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