連載
posted:2022.6.17 from:愛媛県南予地方(宇和島市、八幡浜市、大洲市、西予市、 内子町、伊方町、松野町、鬼北町、愛南町) genre:暮らしと移住 / 活性化と創生
PR 愛媛県
〈 この連載・企画は… 〉
愛媛県の西南部に位置する南予地域で、2018年7月の豪雨災害からの復興と、
新型コロナウイルス拡大以降の働き方の変化の受け皿を目指す「えひめ南予きずな博」。
プロジェクトに携わるふたりのキーパーソンに話を聞きます。
writer profile
Rio Yamamoto
山本梨央
やまもと・りお●神奈川県小田原市生まれ。クリエイティブ業界の求人メディア「CINRA.JOB」の事業部長を務めた後、地方自治体の移住やワーケーションのプロモーションを中心としたWebメディアの立ち上げ、企画、編集、イベントプロデュースなどを担当。2022年5月からフリーランスとして編集やプランニングを行なっている。 Instagram @dejane_rio
温暖なイメージのある四国のなかでも、
年間平均気温が17度前後とさらに温暖な愛媛県南予地方。
県の西南部に位置する、宇和島市、八幡浜市、大洲市、西予市、
内子町、伊方町、松野町、鬼北町、愛南町の、合わせて9つの市町の総称だ。
愛媛県の3分の1の面積を占める広大な南予地方だが、
特徴はひとくくりにできるものではなく、
海も山も里も、それぞれの魅力が市町ごとに際立っている。
まずは、北部のまち内子町。
築100年以上の古民家などが軒を連ねる町並みも見どころのひとつだ。
白壁の豪商屋敷や、重要文化財に指定された芝居小屋〈内子座〉など、
当時の生活の気配が色濃く残っている。
山と川のめぐみを味わえる小田地区や、野菜収穫の体験ができる御祓(みそぎ)地区など、
多様な豊かさを味わえるのが特徴だ。
大洲市は城下町として、伊予の小京都と呼ばれる伝統あるエリア。
真珠や真鯛の養殖で日本一という宇和島市では、海の幸も楽しみたい。
伊方町は四国の最西端。
佐田岬半島でしか見ることのできない、海に囲まれた景色も堪能できる。
自然と共存するために石垣で積み上げられた小さな集落の風景が残るのは愛南町。
清流に囲まれた山出温泉も南予を楽しむスポットとして欠かせない。
この南予で2022年4月24日から12月25日まで
「えひめ南予きずな博(以下、きずな博)」が開催されている。
2018年7月の豪雨災害からの復興と、
新型コロナウイルス拡大以降の
働き方の変化の受け皿を目指すことを趣旨としたプロジェクトで、
南予で感じられる豊かさ、そしてあたたかさを体験できるツアーやアクティビティを
展開している。
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今回「きずな博」で体験できるワーケーションプランについて、
エリアコーディネーターである納堂(のうどう)邦弘さんにお話をうかがった。
納堂さんはアメリカ生まれ、大阪育ち。
国際協力NGOに所属し、東南アジアの農業支援などの経験を経て、
2014年から内子町での生活を始めたという。
「7年前に地域おこし協力隊として、東京から移住してきました。
コロナ禍で新しい働き方や休み方が増えた今、PCさえあればどこでも仕事ができる。
だからこそ、環境のいいところでも都市部と同じように生活ができると思うんです。
まずは愛媛を知ってもらいたい、という気持ちで『きずな博』に関わっています」
南予の魅力を聞いてみると、とにかく「人のあたたかさ」なのだと言う。
人がやさしく、他人とほどよい距離感をとるのが上手なのは、
よそものをもてなす“お遍路文化”があってこそかもしれないーーというお話には納得できる。
「去年、都市部から来た10人ほどの若者が、林業のインターンで滞在していたのですが、
商店街を歩いていたら普通に話しかけられるし、
黄色い帽子をかぶった小学生があいさつしてくれることに、
最初、とても驚いていたようです。
そんなコミュニケーションは、ここに住んでしまうと当たり前になってくるのですが、
酒屋さんやお土産屋さんに入っても、
営業トークではなく日常的なおもてなしをしてもらえる。
彼らにとって、いい経験になったとのことでした」
納堂さんが内子に魅了された理由には、文化度の高さもあるのだとか。
「まちの人たちだけではなく、〈内子座〉という芝居小屋があることで、
第一線で活躍する俳優さんたちがまちに長期滞在することもあります。
そういった方々も地元の人たちとすぐに馴染んでいくので、
気軽に外食に行った先で仲良くなれるという場面もありました。
内子ならではの文化度の高さも、
地元の人たちとの交流を通して感じていただけたらうれしいです」
おもてなし精神は、今回のワーケーションプランにも滲み出ている。
ワーケーションの参加者へは、オーダーメイドで滞在プランを提案してもらえるという。
「参加者の方とは、事前にリモートツールでご要望をお聞きできたら、と思っています。
手間はかかるけど、しっかり印象に残るような体験にしたいですし、
ガイドブックを見るだけでは楽しめない魅力も味わっていただきたいですね」
豊かな自然があるからこそ、スーパーで買える魚や野菜の新鮮さも感じられるそう。
一棟貸しの古民家が多いので、せっかくのワーケーション期間、
外食ばかりでなく、自炊を通じて食文化の豊かさも楽しみたい。
「〈内子晴れ〉というゲストハウスでは、野菜の収穫体験もできます。
有機農業に取り組んでいる農家の方も移住者なので、
一緒に料理をしながら生活の様子を聞けるのも、
良い交流の時間になるのではないでしょうか」
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南予でのワーケーションを楽しめるのは、大人だけではない。
きずな博では、ファミリー向けのワーケーション体験プランも充実している。
納堂さんによると、子どもたちの意外な楽しみ方も垣間見えたのだとか。
「お子さまの年齢によっても楽しみ方は変わるので、
そういった面でもご要望をお聞きしてプランを立てています。
ただ、子どもたちの楽しみ方は大人の想像を超えたところにあるようで。
例えば手しごと体験として和紙づくりのアクティビティを用意したことがありました。
そこでは和紙づくりも楽しみつつ、
子どもたちは傍らにあった木製の連射ができる輪ゴム鉄砲に夢中になったり、
生まれて初めて竹とんぼに触れて遊んでみたり。
大人がプログラムとして用意するものにとらわれず、
自由に楽しみ方を見つけているようです」
乗馬体験など動物と触れ合う場もあれば、
山の中で山菜を収穫するのに一生懸命になるなど、
都心部ではなかなかできない可能性が広がっている。
最後に、このワーケーションを通して感じてもらいたいポイントについてうかがった。
「伝統や自然を残してきた人たちの思いと、増えてきている移住者とが一緒になって、
なりわいをつくっています。
人と人とのつながりで楽しそうに一緒に生活している、
ということを感じていただきたいですね」
「きずな博」のオープニングイベントではお笑い芸人の和牛・水田信二さん(伊予市出身)や
バンビーノ(石山タオルさんが大洲市出身)がメインパーソナリティを務め、
盛り上がりを見せた。
今後も大洲で鵜飼体験やE-BIKEでのレンタサイクルなど、
現地を満喫できるプログラムが展開されていく予定だ。
information
えひめ南予きずな博
南予の食や暮らし、アウトドアなど「南予いやし体験プログラム」をはじめとするおもてなしを通して交流人口の持続的拡大や実需の創出を目指す。
会期:2022年4月24日(日)〜12月25日(日)
Web:公式ページ
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