連載
posted:2024.6.26 from:北海道上川郡美瑛町 genre:旅行
〈 この連載・企画は… 〉
さまざまなクリエイターがローカルを旅したときの「ある断片」を綴ってもらうリレー連載。
自由に、縛られることなく旅をしているクリエイターが持っている旅の視点は、どんなものなのでしょうか?
独特の角度で見つめているかもしれないし、ちいさなものにギュッとフォーカスしているかもしれません。
そんなローカル旅のカタチもあるのです。
text
eri
えり
さまざまなクリエイターによる旅のリレーコラム連載。
第39回は、ヴィンテージショップ〈DEPT〉のオーナーであり、
さまざまな環境や社会活動もしているeriさん。
大好きな旅ではあるが、
旅を存分に楽しむには、自分の心身が安心していることが重要。
そんなときに必要な
リラックスアイテムを紹介してくれる。
今回はまさに旅先、北海道の美瑛からお届けする。
わたしは旅に出るのが大好きです。
見たことも聞いたことも嗅いだことも感じたこともないことが、
旅先には星の数ほどちりばめられていて、
そのひとつひとつの瞬きに心を揺さぶられるから。
自分の人生に新しいひらめきを与えたり
新鮮な喜びを感じたいがために、
住み慣れたまちを飛び出す……
その一方で、
旅をするにあたって
“旅先でいかにリラックスできるか”というのが
わたしの最重要ポイント。
家を飛び出したいけど家にいるみたいに安心していたい……というわがままな旅人は
そのために不可欠なアイテムたちを
旅行鞄のなかにつめこむのです(とにかく荷物が多いのが難点)。
そしてこれを書いているわたしはまさに今旅の途中で、北海道の美瑛に滞在しています。
友人たちと借りた小さくもコージーな山小屋に到着。
最初に取り出した安心アイテムその①は
半年ほど前にステイしていたチェンマイで買い込んできた薬草。
さまざまな薬効のある葉や木の皮が調合されていて、
チェンマイでハーバルスチームサウナに使われているものをわけてもらいました。
ワサワサと乾燥した薬草を袋から取り出し、
北海道の冷たい水とともに鍋に入れ火にかけることから今回の滞在はスタート。
やがてぐつぐつと沸きたち、青く爽やかな香りがたちのぼると
どこかよそよそしかった山小屋のなかいっぱいに親しみが湯気とともに満ちていく。
これだけでずっと居心地が良くなった気分。
火から下ろした鍋にバスタオルをかぶせて
深呼吸すれば薬草スチームに。
これは鞄のなかで軽くてかさばらないのに、効果は絶大!
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その次に取り出した安心アイテムその②は
この前、パリのマレ地区にある
愛するブーランジェリー〈ポワラーヌ〉で買ってきたサブレの大袋。
これは出がけに、そうだった! サブレがあった! と鞄に放り込んだ。
山の中にひっそりと佇む小屋の周りには
もちろんコンビニなどなく、
小腹が減ったり、朝起きたときのコーヒーの友として、
ダイニングのテーブルの真ん中に鎮座させる。
口が慣れている食べ物やお茶は、
ひとつでも持っておくと心の安寧バロメーターは安定する。
安心アイテムその③はタオル。
最近はゆっくりゆっくりと糸を紡ぐ昔ながらの機械から生まれる
「がら紡」で織られたタオルを持ち歩いています。
ふわふわと空気を含んだタオルはお風呂あがりはもちろん、
乗り物の中で寒ければ首元に巻いたり
旅で買った割れ物なんかを梱包材がわりに包んだり! 何かと活躍する。
わたしは旅先の枕にかけて眠るのが好きで、
こちらのコテージでも枕をふわりとくるんで眠っている。
知らない土地で眠るとき初めましてのピローケースより、ずっとずっと心地が良い。
さまざまな植物で布を染めお洋服をつくっている
〈Kitta〉の大判の布地「Shikifu」もおすすめ。
とにかくお気に入りの布を1枚、荷物に忍ばせてみて!
そしてわたしは旅先に枕を持参することもあります。
〈ロフテー〉というブランドの「ナインセル」という枕を愛用していて、
この前はフランスにもスーツケースの4分の1のスペースを犠牲にしながら(笑)
持参しました。
旅先でのステイ期間が長ければ長いほど枕はとても重要!
眠りの質で旅先のパフォーマンスは大きく変わってくるので
なかなか侮れない安心アイテム④です。
スキンケア、ボディケアアイテムは最小限にとどめたいと思いつつも、
カッサやマッサージボール、〈リファ〉の「Sカラットレイ」は
必ず持っていく安心アイテムその⑤。
どうしても日常生活より緊張したり、
歩く距離が増えたりする旅先でセルフケアの時間はとても大切。
少しの時間でも身体を労わってあげると疲れを翌日に持ち越しにくくなります。
今回の旅で急に頭痛がひどくなってしまった友人にマッサージしたときに使ったのは、
モデル/俳優の水原希子ちゃんが新しくローンチした
〈Kiiks〉のマルチバーム「ハマナスローズホイップバーム」。
体のどこにでも使える保湿アイテムは旅の必需品だけど、
このマルチバームは本当に優秀で、
柔らかくみずみずしいテクスチャとうっとりするようなハマナスの香りは
リラックスタイムやマッサージにも大活躍。
最近、安心アイテムに仲間入りした逸品です。
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美瑛はまだ風が涼しく過ごしやすいけれど、
陽射しはもう身体が火照るほど暑い! ので、帽子は必須。
わたしは麦わら帽子が大好きなのですが、
旅に持っていくのは
・紐付きで風に飛ばされない
・型崩れを気にしなくていいソフトタイプ
を選びます。
大好きな帽子のブランド〈Chisaki〉の麦わら帽子は
ソフトタイプが充実のラインナップでおすすめです。
もちろん日よけのためなのですが、
旅先でのコーディネートのよきアクセントになるのでこれも安心アイテムのひとつ!
昔は”何か必要なら現地で調達すればいいか〜”なんて思っていたけれど、
間に合わせでものを買って成功する打率がとても低いので、
最近は自分の信頼するものたちを連れていき
無駄なものを買わないように心がけています!
御守りのような安心アイテムでみなさんの旅も良きものになりますように、
美瑛より心を込めて。
profile
eri
えり
アパレル会社経営・プロダクトのデザイン・古着のバイイング/販売を通して、繊維産業、地球の環境課題、気候危機に対してどうアプローチできるかを模索中。
またアクティビストとしてあらゆる社会問題に関心を寄せ、またそれをどう市民が課題解決のためにアクションできるのかを考えシェアし、さまざまなプロジェクトを立ち上げ運営に携わっている。
1983年NY生まれ東京育ち。1997年『立花ハジメとLowPowers』のボーカルとしてアルバムをリリース。2002年より自身のブランド『mother』を立ち上げ東京・中目黒に旗艦店を構える。2006年、市川実和子、東野翠れんとの共著『縷縷日記』(リトルモア)を上梓。2015年、父から古着屋『DEPT』を継ぎ、古着のバイイング・修繕・アップサイクルなど、古着を資源とし長く循環させることを目的とした活動をスタート。2016年、テーブルウェアブランド『TOWA CERAMICS』をローンチ。
2021年4月、日本のCO2削減目標(NDC)の62%以上引き上げと原発石炭ゼロを求めたプロジェクトPeaceful climate strike を気候アクティビスト・小野りりあんと立ち上げる。水原希子、コムアイ、二階堂ふみら様々なゲストを迎え気候危機の基礎知識を深める配信番組を制作、また100時間以上に及ぶハンガーストライキを決行し、これからの安全で公平な未来を求めた。2021年7月、政治の問題をより身近に感じ、楽しく学べるプロジェクト『クイズ!この国の問題が問題』をローンチ。2021年秋、エシカルファッションプランナーの鎌田安里紗と共にこれからのファッションの在り方を生活者と共に考え学んでいくプロジェクト〈HONEST CLOSET〉(オネストクローゼット)をローンチ。2021年10月、有志のメンバーと先の衆院選をきっかけに国政政党の政策比較を市民の質問によって比較するプロジェクト『みんなの未来を選ぶためのチェックリスト』を立ち上げる。Webサイト、SNSなど100万ビューを超え多くの層からの反響を得た。主な長期連載に雑誌『Olive』(マガジンハウス)/”eriのおしゃれ探訪”、『装苑』(文化出版)/”100の隙間”などがある。
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