連載
posted:2023.7.10 from:香川県小豆郡土庄町 genre:暮らしと移住
〈 この連載・企画は… 〉
海と山の美しい自然に恵まれた、瀬戸内海で2番目に大きな島、小豆島。
この島での暮らしを選び、家族とともに移住した三村ひかりが綴る、日々の出来事、地域やアートのこと。
writer profile
Hikari Mimura
三村ひかり
みむら・ひかり●愛知県生まれ。2012年瀬戸内海の小豆島へ家族で移住。島のなかでもコアな場所、地元の結束力が強く、昔ながらの伝統が残り続けている「肥土山(ひとやま)」という里山の集落で暮らす。移住後に夫と共同で「HOMEMAKERS」を立ちあげ、畑で野菜や果樹を育てながら、築120年の農村民家(自宅)を改装したカフェを週2日営業中。
https://homemakers.jp/
2023年、私たちは大きな挑戦をします。
私たちが暮らす小豆島の肥土山(ひとやま)という農村に、新しいホテルをつくります。
今回の小豆島日記では、その挑戦について今までの経緯と
現時点での状況についてお伝えしたいと思います。
農村にホテル!?
いつオープンするの? 何部屋あるの? どんな雰囲気?
なんでホテルやるの? 誰がやるの?
はてながいっぱいだと思いますので、わたし自身も整理しながら、
ひとつずつお伝えしていきますね。
まずは、誰がやるの?
私たちHOMEMAKERSは、小豆島の真ん中に位置する
肥土山という農村を拠点に農業をしています。
約200世帯、500人ほどが暮らしている農村集落です。
この農村でともに暮らす30〜40代の仲間5人。
普段からごはんを一緒に食べたり、ともに働いたり、
いろんな話をする友人でもあり、ご近所さんでもある存在。
この5人で、自分たちが暮らす肥土山という場所にホテルをつくろう!
と動き出しました。
事業をはじめるにあたり、5人が同じ立ち位置で活動できるようにと
「肥土山ランドスケープ合同会社」という法人を立ち上げました。
会社の名前は、自分たちが暮らす肥土山の美しい風景がこの先も続いていくように、
そして新たな風景を自分たちがつくれたらいいなという思いを込めて。
さて、なんでホテルをやるのか?
これは前々からずっと困っていたことなのですが、
友人や知り合いが小豆島に遊びに行くよ! となったときに、
おすすめできるちょうどいい滞在場所がないんです。
ようこそ! と、自分の家でお迎えしたい気持ちは山々なのですが、
毎回自分の家に誰かを招くのはなかなか大変なこと。
布団を準備したり、掃除したり、食事のことを考えたり……。
お互いにとって快適な距離感で、近すぎもなく遠すぎもなくお迎えできて、
私たちが日々食べているおいしいものや時間の過ごし方を共有できる、
そんな場所が欲しい。
そして、島の外から来る人たちのためだけじゃなくて、島で暮らす自分たちにとっても、
日々の生活のなかでふらっと立ち寄れる、好きな場所が欲しい。
お茶したり、買いものをしたり、仕事をしたり、本を読んだりできる場所。
そんなことを考えていたとき、気になっていた建物があったんです。
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肥土山地区の真ん中にある廃校になった小学校の建物。
大鐸(おおぬで)小学校は、2005年に閉校しました。
その後、建物を分割、改修工事し、公民館および介護施設として使用されていたのですが、
介護施設は移転し、2018年頃から分割された半分の建物は空き家状態でした。
使われていないのなら活用できないかと、この建物を管理している町役場に問い合わせ、
建物内部を見せてもらったりしたのですが、結局、町が福祉施設として活用する
ということになり、借りることができず一旦諦めました。
それから世の中はコロナ禍となり、3年が過ぎました。
3年経っても建物は空き家のまま。
何もしないまま3年があっというまに過ぎちゃったんです。
建物は使われていないと、どんどん老朽化していきます。
もしかして計画変更になったのかと、もう一度問い合せてみると、
使われる予定はなくなったとのこと。
これはチャンスだと、今度は私たちがやりたいことをちゃんと伝えて、
何度か話し合い、最終的に町から貸してもらえることになりました。
自分たちが欲しい場所は、自分たちの手でつくろう!
この建物を貸してもらえることが決まり、私たちの農村ホテルプロジェクトは、
実現に向けて動き出しました。
2022年の夏頃から定期的に打合せを重ねてきました。
どんな場所にしたいか。
何がしたいのか。
お金はどうするか。
スケジュールはどうするか。
普段からよく話しているメンバーとはいえ、やっぱり少しずつ考えていることは違う。
でも何度も話すなかで、少しずつお互いの考えていることがわかってきて、
それぞれの思いがいい感じに混ざり合って、こういう場所にしたい!
というのがかたちになっていく。
やっぱり話すって大事だなぁと思います。
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この建物がある周辺地区のことを、地元の人たちは「苗手(のうて)」と呼びます。
苗と手で「のうて」なんてとてもすてきだねとメンバーで話していました。
ノーテにある農村ホテル!
ノーテル!
ホテルの名前は、〈NOTEL〉ノーテルです。
農村にあるホテルだからこそできることってなんだろう。
美しい田園風景のなかで過ごす。
鳥の鳴き声や風を感じる。
土に触れる。
ここで育った食材を料理して食べる。
農村で暮らす人々と出会い、話す。
今まさに、そんなことを話し合いながら、
建物の改修工事スタートに向けてプランを練っている状況です。
NOTELのオープンは、2024年春予定!
これからオープンまでの間、ホテルのこと、改修工事のこと、
お金のことなどを小豆島日記でリアルタイムにお伝えしていこうと思っています。
NOTELのインスタグラムもありますので、そちらもぜひご覧いただけるとうれしいです。
新たな挑戦のはじまりはじまり〜。
どうぞよろしくお願いいたします。
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