連載
posted:2023.6.26 from:香川県小豆郡土庄町 genre:暮らしと移住
〈 この連載・企画は… 〉
海と山の美しい自然に恵まれた、瀬戸内海で2番目に大きな島、小豆島。
この島での暮らしを選び、家族とともに移住した三村ひかりが綴る、日々の出来事、地域やアートのこと。
writer profile
Hikari Mimura
三村ひかり
みむら・ひかり●愛知県生まれ。2012年瀬戸内海の小豆島へ家族で移住。島のなかでもコアな場所、地元の結束力が強く、昔ながらの伝統が残り続けている「肥土山(ひとやま)」という里山の集落で暮らす。移住後に夫と共同で「HOMEMAKERS」を立ちあげ、畑で野菜や果樹を育てながら、築120年の農村民家(自宅)を改装したカフェを週2日営業中。
https://homemakers.jp/
2023年6月17日、何事もなくいつも通りに過ぎていきましたが、
実はその日は〈HOMEMAKERS(ホームメイカーズ)〉という事業を
開業してからちょうど10年経った日でした。
HOMEMAKERS10歳です。
おめでとう! 私たち(笑)。
10年前の2013年6月17日、インターネットの世界に
HOMEMAKERSのホームとなる場所をつくって、
私たちのことを紹介し、野菜の販売を始めました。
小豆島に引っ越してきてから、約8か月後のことです。
名古屋で暮らしていた頃、私も夫のたくちゃんも、
約10年間会社勤めをしていましたが、ほぼ同時にふたりとも会社を辞めて、
無職の状態で小豆島にやってきました(汗)。
もともと自分たちで起業しようと考えていたので、引っ越してきた直後から、
自分たちのやりたいことを実現するために少しずつ準備をしていました。
そもそも私たちは小豆島で何をしようと考えていたのか?
私たちは大学で建築を学んでいたものの、私はインターネットの会社で働き、
たくちゃんはカフェで働いたのち造園会社で働いていました。
建築家でもないし、webデザイナーでもないし、
専門家として仕事を受けられるようなスキルもノウハウも持っていませんでした。
ふたりともカフェという場が好きで、人が集える場を開き、
運営することをしたいなぁと考えていました。
漠然と思い描いていたのは、自宅の一部をカフェとして開き、
web制作や撮影の仕事をしながら、自分たちの食べる野菜を畑で育てるという暮らし。
とにかく自分たちができることからやってみようと、
じいちゃんが残してくれた畑に種をまき、家の改修工事を進め、
島のいろんな人たちと関わりをつくりながら、ときどき知り合いの仕事
(写真撮影やチラシの作成など)を手伝ったりしていました。
少しずつ自分たちのやりたいかたちが見えてきて、
ようやく提出した個人事業の開業届出書。
職業欄には「農業」と記入しました。
ん!? 農業?
まさか職業を「農業」として開業するとは思ってなかったのですが、
小豆島の肥土山(ひとやま)という農村で暮らし、自分たちが食べる野菜を育て、
地域の人たちと関わりながらその営みを見ていたら、農家としてがんばっていこう!
という気持ちが自然と強くなっていったのでした。
Page 2
あれから10年経ち、ひとつずつひとつずつ積み重ねてきて今の私たちがあります。
みんなで農作業をする風景。
農作業の合間にお茶休憩やお昼ごはん休憩をともにする風景。
毎週土曜日にカフェが開いている風景。
梅や柑橘などを収穫して梅干しやシロップをつくる風景。
積み重ねてきてできあがったHOMEMAKERSの風景です。
私たちの歩みはゆっくりで、ここまでくるのに10年もかかってしまったけれど、
ひとつひとつ自分の疑問を解決しながら、いいなと思うものを取り入れながら
つくってきたこの働き方=生き方は自分たちオリジナルのものだなぁと思っています。
さて、じゃぁこれからどうするか?
突然大きく変わるわけではなくて、基本的には今までと同じように
HOMEMAKERSを育てていきたいと思っています。
ただ、少しだけ視点を「私」だけじゃなくて、「肥土山」「小豆島」に広げられたらなと。
私がやりたいことじゃなくて、この地域にとって
どんなことが起こると楽しくなるのか、幸せが続くのか。
ここ最近小豆島では、大きなホテルが廃業したり、
フェリーの航路が休止になってしまったり、
これからの小豆島がどうなっていくのか心配になる出来事が続いています。
宿泊施設や飲食店が減っていけば、島に遊びに来る人も減り、
観光業やそのまわりの産業が衰退していってしまう。
フェリーの運航が減ると、島暮らしが少しずつ不便になっていってしまう。
島外との行き来は、仕事、子どもたちの学校、学校外活動、レジャーなど
すべてにおいて必要なので。
HOMEMAKERSとして活動することで、自分たちもうれしい、
小豆島(=自分たちの活動する地域)もうれしい、
そんなことをできるだけ考えていきたい。
そんな考えのもと、ちょうどこの10年の節目で挑戦しようとしていることがあるんです。
また近々お知らせしますのでお楽しみに。
きっと小豆島に遊びに行きたくなると思います!
そういうワクワクを生み出し続けていきたいな。
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