連載
〈 この連載・企画は… 〉
海と山の美しい自然に恵まれた、瀬戸内海で2番目に大きな島、小豆島。
この島での暮らしを選び、家族とともに移住した三村ひかりが綴る、日々の出来事、地域やアートのこと。
writer profile
Hikari Mimura
三村ひかり
みむら・ひかり●愛知県生まれ。2012年瀬戸内海の小豆島へ家族で移住。島の中でもコアな場所、地元の結束力が強く、昔ながらの伝統が残り続けている「肥土山(ひとやま)」という里山の集落で暮らす。移住後に夫と共同で「HOMEMAKERS」を立ちあげ、畑で野菜や果樹を育てながら、築120年の農村民家(自宅)を改装したカフェを週2日営業中。
http://homemakers.jp/
6月もあっという間に後半。
梅雨真っ只中の小豆島ですが、あー、この湿度の季節がきたなと
ジメジメ具合にちょっとげんなりしたりしながら過ごしています。
さて6月といえば、梅の季節。
たったいま20キロの梅干し仕込みを完了! その勢いでいま書いてます(笑)。
外は雨。いい雨の日です。
私たちが小豆島に移住してきたばかりの頃は、
ジャムをつくったり、シロップをつくったり、それこそ梅干しを漬けたり、
そういう季節の手仕事をするのがとても楽しくて、いろいろつくっていました。
移住して8年、だんだんと〈HOMEMAKERS〉の事業の規模が大きくなり、
農作業にカフェの営業、商品の発送作業など、
やらなければいけないことが増えてきてしまい、
気づけば季節の手仕事を楽しむ時間が減ってしまっていました。
あー、なんかそれって嫌だなぁと思っていたのが昨年の冬。
あらためてそういう時間を大切にしたいと感じていました。
そんな折にやってきたのがコロナ禍。
いいのか悪いのか、いつもより自由な時間が増えたおかげで、
今年は梅仕事をちゃんとできました。
梅の収穫は5月末から始めるのですが、今年は本当に梅が少なかった。
大きな梅の木でも、数えられるくらいしか実がついていなかったり。
私たちだけじゃなくて、どうやら日本各地の梅の産地でも少なかったみたいで、
「暖冬で開花が早くなり花が不完全だったことに加え、
受粉を助けるミツバチなどの虫が飛ぶのが少なかったことなどが要因とされる」
と書かれていました(参照元)。
いままで当たり前のように収穫できていた梅も、
温暖化によってちゃんと実がつかないかもしれないとなると、
ひと粒でも無駄にできないなと思いながら、大切に梅干しにしました。
Page 2
梅干しを仕込むと、成果として「梅干し」ができるのですが、
副産物として、梅干しを漬けているときに出てくる「梅酢」と、
一緒に漬けた赤しそを干して細かくした「赤しそふりかけ」もできます。
この梅酢が梅干しと同じくらい重要な成果物!
酸味と塩味のきいた調味料として、ふだんの料理で使えます。
うちでは、収穫した新生姜で紅生姜をつくるのですが、
そのときに必要なのが「赤梅酢」。
季節の手仕事ってつながっていて、夏の始まりに仕込んだ梅酢を使って、
冬の始まりに紅生姜を仕込む。なんだかうれしくなります。
無駄なものなんてなくて、いろいろなものが生かされつながっていく。
そうそう、今年は初めて、梅とレモンとスパイスをあわせた
「スパイシー梅シロップ」をつくってみました。
同じ日にふたりの別々の友人から
「梅とレモンとスパイス入れてシロップつくるよー」と聞いて、
これは私もつくってみたいと思い、家にあったスパイス
(クローブ、黒胡椒、シナモンスティック)と庭に生えてるローズマリー、
それから今年はまだ手元にレモンが残っていたので、仕込んでみました。
これおいしい!!
シロップって自分の好きなようにつくったらいいんだなぁと楽しくなりました。
6月の梅仕事はこれで終わりかな。
7月に入ったら赤しそを仕込み中の梅干しに加えて、
梅雨があけて夏がきたら、いよいよ梅を干さないと。
天気をみながら、季節の手仕事。
私の大切にしたい暮らしです。
information
HOMEMAKERS
Feature 特集記事&おすすめ記事