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小豆島に移住して得たもの。
自分たちの手で
食べるものをつくれるという強さ

小豆島日記
vol.245

posted:2020.4.13  from:香川県小豆郡土庄町  genre:暮らしと移住

〈 この連載・企画は… 〉  海と山の美しい自然に恵まれた、瀬戸内海で2番目に大きな島、小豆島。
この島での暮らしを選び、家族とともに移住した三村ひかりが綴る、日々の出来事、地域やアートのこと。

writer profile

Hikari Mimura

三村ひかり

みむら・ひかり●愛知県生まれ。2012年瀬戸内海の小豆島へ家族で移住。島の中でもコアな場所、地元の結束力が強く、昔ながらの伝統が残り続けている「肥土山(ひとやま)」という里山の集落で暮らす。移住後に夫と共同で「HOMEMAKERS」を立ちあげ、畑で野菜や果樹を育てながら、築120年の農村民家(自宅)を改装したカフェを週2日営業中。
http://homemakers.jp/

カフェも臨時休業に。いま私たちがすべきこと

1か月前のこの「小豆島日記」(vol.243)で、
「新型コロナウイルスの影響がこんなにも大きくなるとはまったく想像してなかった」
と書いたのですが、いま、その影響はもっともっと大きくなっていて、
想像をはるかに超えてる。
まさか世界中に広がるなんて思ってもいなかったし、
こんなにもたくさんの人たちが亡くなるなんて想像もしていなかった。

そしていままさに日本でも新型コロナウイルスの感染が拡大していて、
緊急事態宣言が出されました。

いま(4月8日現在)の小豆島の状況としては、

・小豆島を含む香川県全体で報告されている感染者の数は3人。

・公立の小中高校は新学期からいったん授業再開したものの、

4月13日から2週間再び休校に。

・島へのフェリーは通常通り運航。

・島内のホテルや旅館の宿泊客は大幅に減少。

・ホテルや観光施設、カフェ、レストラン、お土産屋さんなど営業自粛するところも。

・スーパーや薬局でマスクはずっと売り切れ状態。

観光地としての小豆島はとても大きな影響を受けていて、
ホテルや旅館などが今後どうなるのか心配になります。
飲食店を経営する友人たちもどういうかたちで営業するのか、
収入が途絶えないようにするのか悩んでいます。
小豆島はまだ感染された方はいませんが、ほかの地域と同じように深刻な状況です。

いつもと変わらない風景。この時期に白いきれいな花を咲かせる木とわが家。

いつもと変わらない風景。この時期に白いきれいな花を咲かせる木とわが家。

定植したばかりのとうもろこし。夏が楽しみだ。

定植したばかりのとうもろこし。夏が楽しみだ。

私たち〈HOMEMAKERS〉もこの状況のなかでどうすべきなのか
いろいろと考えました。
通常時であれば、ほぼ毎日農作業をしていて、金・土曜日はカフェを営業しています。
週3~4日、農作業や野菜の出荷作業、
カフェ営業のためにスタッフ4~7名が出勤します。

育苗ハウスでは、これから植える夏野菜の苗たちが元気。

育苗ハウスでは、これから植える夏野菜の苗たちが元気。

葉の形が特徴的なカナリーノレタス! 畑では収穫を待ってる野菜がたくさんあります。

葉の形が特徴的なカナリーノレタス! 畑では収穫を待ってる野菜がたくさんあります。

4月に入ってからカフェは臨時休業することにしました。
自分たちが感染しない、広げないために。
この先4月いっぱいカフェはお休みする予定です。

〈HOMEMAKERS Farm & Cafe〉には、島の外から来てくださる方も
たくさんいますし、近所の方々もよく来てくださいます。
古家を改修した狭いカフェで、さらにコミュニケーションも比較的濃厚なので、
ここでいろいろな人が出会うことで感染を広げてしまわないようにという思いです。

〈HOMEMAKERS Farm & Cafe〉は4月中は臨時休業予定。

〈HOMEMAKERS Farm & Cafe〉は4月中は臨時休業予定。

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自分たちが生産者となって何が変わった?

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そしていま、私たちが専念すべきは、みなさんが家で健やかに過ごせるように、
畑で育てた野菜、収穫した生姜や柑橘でつくったシロップなどの
加工品をお届けすること。
配送会社の方々がいつもと変わらず動いてくださることに感謝し、
私たちは小豆島から体に良くておいしいものを届け続けようと。

春採りのブロッコリー! 日々収穫できる野菜が変わっていきます。

春採りのブロッコリー! 日々収穫できる野菜が変わっていきます。

茹でただけのブロッコリーとナバナ。それだけでおいしい。

茹でただけのブロッコリーとナバナ。それだけでおいしい。

私たちが育てた生姜でつくったジンジャーシロップ。ほっとするおいしい飲みものを家でもつくれるように。

私たちが育てた生姜でつくったジンジャーシロップ。ほっとするおいしい飲みものを家でもつくれるように。

9年前、東日本大震災が起こったとき、スーパーで食べものが買えない状況、
生活に必要なものが手に入らない状況をテレビを通して見ていました。
そのとき「買いものができなくなったら私たちはすぐに日々の生活が困難になる。
もっと生きる力を身につけたい」と思いました。
完全な自給自足までいかなくとも、自分の手で食べものを育てたり、
ものをつくるようにしたいと。

いま、あのときの感情をふっと思い出します。
9年経って、その間に小豆島に移住し、生き方を変え、
いまの私たちは野菜を育て、自分たちだけでなく、
身近な人たちへ野菜を届けることができている。
米は育てていませんが、米を育てている人を知っていて直接買わせてもらっています。
醤油も塩も小豆島でつくっている人を知っていて、すぐに会いに行ける。

臨時休業中の子どもたち。野菜の出荷作業を手伝ってもらいました。

臨時休業中の子どもたち。野菜の出荷作業を手伝ってもらいました。

自分たち自身が生産者となり、生産者さんとのつながりも増えたいま。
大変な状況になったときどうなるかは実際になってみないとわからないけど、
それでも9年前よりは生活する力が少し強くなったと感じています。
そして自分たちが強くなれば、まわりの人たちに力を貸す余裕もできるかもしれない。

いまできることを。家の改修仕事。

いまできることを。家の改修仕事。

学校が休みの間に自分の部屋をリノベーション! 壁をピンクに。

学校が休みの間に自分の部屋をリノベーション! 壁をピンクに。

今回の新型コロナウィルスによる騒動が収まったとき、
いまの生き方に疑問を感じ、生き方を変えたい、
地方に移住したいと思う人が増えるかもしれません。
私はいいと思う。そうやって9年前に変えてよかったと思っているから。

自然災害やウイルスの感染拡大などの想像もできないような大変なことが起こったとき、
自分たちで少しでも踏ん張れる力を持つ、柔軟に対応できる生き方をする。
これからそんな生き方がより一層、重視される時代になっていくのかもしれませんね。

information

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HOMEMAKERS 

住所:香川県小豆郡土庄町肥土山甲466-1

営業時間:金曜、土曜のみ 11:00~17:00(L.O. 16:00)*臨時休業中

http://homemakers.jp/

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