連載
posted:2020.3.30 from:愛知県岡崎市 genre:暮らしと移住
〈 この連載・企画は… 〉
海と山の美しい自然に恵まれた、瀬戸内海で2番目に大きな島、小豆島。
この島での暮らしを選び、家族とともに移住した三村ひかりが綴る、日々の出来事、地域やアートのこと。
writer profile
Hikari Mimura
三村ひかり
みむら・ひかり●愛知県生まれ。2012年瀬戸内海の小豆島へ家族で移住。島の中でもコアな場所、地元の結束力が強く、昔ながらの伝統が残り続けている「肥土山(ひとやま)」という里山の集落で暮らす。移住後に夫と共同で「HOMEMAKERS」を立ちあげ、畑で野菜や果樹を育てながら、築120年の農村民家(自宅)を改装したカフェを週2日営業中。
http://homemakers.jp/
credit
撮影:yamada takuo
2018年より始まった、私の生まれ育ったまち岡崎での
ローカルフォトプロジェクト〈岡崎カメラ〉。
岡崎で暮らす人たちがカメラを持ってまちをめぐり、
まちの人と話をして、交流を深めながら、
写真を通じて岡崎の魅力を再発見・発信するローカルフォト活動で、
私は写真家のMOTOKOさんと一緒に講師として関わらせていただいています。
先日、2年にわたる活動を経て、
岡崎カメラのみなさんが撮影・セレクトした岡崎の写真の発表会と
「地域を元気にする写真」の可能性について考えるトークイベントがありました。
スペシャルゲストは、なんと写真家の浅田政志さん!
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浅田政志さんは、自分の家族とともにさまざまなシチュエーションをつくり
撮影した写真集『浅田家』で第34回木村伊兵衛写真賞を受賞され、
その後も東日本大震災で津波を被った、大量の写真やアルバムの救済現場を取材した
『アルバムのチカラ』(藤本智士さんと共著)や、
秋田県のフリーマガジン『のんびり』など、多方面で活躍されています。
そしてなんとこの秋、浅田さんの著書『浅田家』『アルバムのチカラ』を原案にした
映画『浅田家!』が公開されます!
ますます人気になっちゃいますね。
私にとって「写真家」という職業はずっと憧れの存在。
大学の頃は建築の勉強をしていたけれど、いつからか写真を撮ることが好きになり、
いまから15年前、Flickr(フリッカー)という写真共有サービスに
写真を投稿するようになり、
10年前、instagram(インスタグラム)がリリースされた日から使い始め、
写真を投稿していました。
いつか写真に関わる仕事がしたいなと思いながら、
そうやってインターネット上で写真を発信し続けて10年。
いまの私は「写真家」という職業ではないけれど、
自分たちの日々の暮らしや育てた野菜を撮って発信することは、大事な仕事。
取材で撮影したり、知り合いから撮影を頼まれたりすることもあり、
毎日のように写真と関わる仕事をしています。
そんなふうにして写真と関わってきた私にとって、
憧れの浅田さん、MOTOKOさんという写真家と並んで、
それも自分の生まれ育ったまち岡崎で、
「家族と地域の写真」をテーマにお話させていただけることは
とてもうれしいことであり、びっくりなこと。
浅田さんと話していて感じたのは、写真って、撮る人、撮られる人、
みんなでつくりあげるものなんだなと。
撮る人(カメラマン)がひとりでがんばるものじゃなくて、
文化祭みたいにみんなで達成感を共有するもの。
それは家族を撮るときも、地域の人たちを撮るときも同じ。
話しながら、関係をつくりながら、時間を共有し、
写真というかたちでその記録や思い出が残る。
この日も集合写真を撮影したのですが、どんなポーズにするか話し合ったり、
撮影した何枚かの写真を1枚ずつみんなで確認してどれにするか多数決をとったり。
こうやって一枚一枚の写真をみんなでつくっていくんだなと実感しました。
家族の写真を撮ることから始まった私の写真活動は、
ともに働く仲間、同じ地域で暮らす人々、自分たちが暮らす場所と
撮るものが少しずつ広がっていった。
それはずっと変わらず自分ごとの写真たち。
ローカルフォトのパワーというのはそこにあるんだと思う。
他人ごとじゃなくて、自分ごと。強い思いと愛が自然とそこにある。
それがチームになったらきっともっと強くなる。
撮る人、撮られる人、みんな同じまちで暮らすチーム。
写真ってみんなで一緒に楽しめるんだなぁとあらためて感じた1日でした。
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