連載
posted:2016.12.26 from:香川県小豆郡土庄町 genre:暮らしと移住
〈 この連載・企画は… 〉
海と山の美しい自然に恵まれた、瀬戸内海で2番目に大きな島、小豆島。
この島での暮らしを選び、家族とともに移住した三村ひかりが綴る、日々の出来事、地域やアートのこと。
writer profile
Hikari Mimura
三村ひかり
みむら・ひかり●愛知県生まれ。2012年瀬戸内海の小豆島へ家族で移住。島の中でもコアな場所、地元の結束力が強く、昔ながらの伝統が残り続けている「肥土山(ひとやま)」という里山の集落で暮らす。移住後に夫と共同で「HOMEMAKERS」を立ちあげ、畑で野菜や果樹を育てながら、築120年の農村民家(自宅)を改装したカフェを週2日営業中。
http://homemakers.jp/
いよいよ2016年も年末。
今年中にこれをやってしまいたい、あれも終わらせなきゃ、
きれいな身で年を越したいと妙に焦る時期。
ま、何かが劇的に変わるわけではなく、単に2016年から2017年になるだけなのですが、
やっぱりいろいろすっきりさせてお正月休みを過ごしたいなと思うわけです。
そんな年末のちょっとそわそわした時期に、毎年開かれるのが小豆島の「大師市」。
大正3年(1914年)の春以降、毎年4月21日と12月21日の年2回、
小豆島霊場第58番、西光寺の門前通りで開催されています。
ちなみに21日は弘法大師の月命日にあたり、
大師を偲ぶとともに、まちの活性化をはかろうと始まったそうで、
100年にわたって続けられてきた「市」です。今年は朝一番で行ってきました。
この大師市では、お正月用の花や柑橘の苗木などが売られています。
地元のおじちゃん、おばちゃんたちがこなれた様子で苗木を買っているのを見ると、
あーこうやって大師市で苗木を買って、庭や畑に植えて育てるというのが
この人たちにとってはいつものことなんだろうなと感じます。
寂しいことに年々出店されるお店の数が減っているそうで、
食べ物系の屋台は特に少なかったように感じました。
毎年来ている刃物屋さんも、もう今年で終わりだから~とお客さんと話していて、
わいわい賑わっていたかつての門前通りの雰囲気を想像すると、
いまはだいぶ静かなんだろうなと思ってしまいます。
と、いろいろ考えながら、西光寺へお参りへ。
手を洗い、線香を上げ、ロウソクを買って、おまけのくじを引く。
(私はいまだかつて当たったことがなく、いつも小さなお菓子をいただく)
そしてそのあとで、地元のお母さんたちがお接待でご用意してくださった
ぜんざいをいただく。あー、今年も年末だなとしみじみ感じる瞬間。
季節を感じさせてくれるいつもの行事。
何十年、何百年にわたって続けられてきた行事。
そういうのってなくなったら寂しいなぁとしみじみ思う。
また来年もここに来て、くじを引いてぜんざいを食べて、年末を感じたい(笑)。
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この門前通りの途中に、このエリアを拠点にギャラリーやごはん屋さん、
お土産屋さんを展開している〈MeiPAM〉があります(小豆島日記Vol.142を参照)。
この大師市とタイミングをあわせて、MeiPAMでは〈島マルシェ〉を開催しています。
サンドやピザ、骨つき鶏などのごはんものから、
天然酵母のパンや焼き菓子の販売など、地元の友人たちが出店しています。
私たちは今回は都合がつかず出店できなかったのですが、
やっぱりちょっと無理してでも参加すればよかったかなと思いました。
いろんなお店がある、賑やかで楽しそうだから人が来る、だからお店が増える。
そうして大師市が続いていく。
そんな流れをつくるためには、島に住んでいる人それぞれが少しずつがんばらないと。
今年の大師市は参拝客として1時間ほど大師市を堪能。
帰り際に食べた〈池本芳栄堂〉のできたての地酒まんじゅうが
とにかくおいしかった(笑)。
次回の大師市は、来年の4月21日、春です。
あ! 金曜日。HOMEMAKERSカフェの営業日です。
さっそく予定がかぶっている(汗)。
やっぱり2017年になったからといって、今年こそは計画的に進めたいなんて思っても、
自分たちは急には変わらないわけで。いつも通りの私たちの日々が続いていきます。
それではみなさま、今年も読んでくださってありがとうございました。
来年も書き続けたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いします。
よいお年をお迎えください。
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