連載
posted:2016.10.31 from:岡山県岡山市 genre:暮らしと移住
〈 この連載・企画は… 〉
海と山の美しい自然に恵まれた、瀬戸内海で2番目に大きな島、小豆島。
この島での暮らしを選び、家族とともに移住した三村ひかりが綴る、日々の出来事、地域やアートのこと。
writer profile
Hikari Mimura
三村ひかり
みむら・ひかり●愛知県生まれ。2012年瀬戸内海の小豆島へ家族で移住。島の中でもコアな場所、地元の結束力が強く、昔ながらの伝統が残り続けている「肥土山(ひとやま)」という里山の集落で暮らす。移住後に夫と共同で「HOMEMAKERS」を立ちあげ、畑で野菜や果樹を育てながら、築120年の農村民家(自宅)を改装したカフェを週2日営業中。
http://homemakers.jp/
瀬戸内国際芸術祭2016(以下、瀬戸芸)の舞台のひとつである「犬島」。
地図で見ると小豆島の北西にある小さな島です。
海の上を直線距離で行けば、小豆島から高松に出かけるよりも近いのですが、
小豆島と犬島は普段は船でつながっておらず、実際に行くとなると遠い。
それが瀬戸芸開催期間中だけは、1日数本、
小豆島と犬島を結ぶ高速艇が運航されています。
そんなわけで、その期間中に行ってみようと、島の友人たちと計画して、秋の犬島遠足!
「週末だし船混んでるかもね。30分くらい前に行けば大丈夫だよね」
なんて言いながら船乗り場に着くと、すでに整理券配布終了〜。
あー(涙)。読みが甘かった。
定員75名の高速艇はあっという間に満員に。
瀬戸芸期間中、各島の港でよく見られるのが、この船に乗れない問題!
臨時便が出ることもあるし、やむなく次の便を待つことも。
私たちはというと、次の便を待つか、犬島行きを諦めるか……。
どっちもなぁと迷ったあげく、「海上タクシー使おうか!」
お、その手があったか。
海の上を走っているのは定期運航しているフェリーや高速艇だけじゃなくて、
いわゆるタクシーみたいに電話で呼んで乗せていってもらえる海上タクシーがある。
ダメもとで電話してみるとなんとOK!
同じように船に乗れなかった人を誘って、いざ犬島へ!
割り勘すれば料金もそこまで高くなく、なんとか計画通り行けることに。
犬島には閉鎖されてしまった銅の製錬所があり、
そこを改修してつくられたのが〈犬島精錬所美術館〉。
残された製錬所の煙突がそびえ立つ風景がとても印象的な島です。
全盛期は3000〜5000人もの人たちがこの島で暮らしていたそうですが、
いまは50人にも満たないそうです。
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犬島は私たちが暮らす小豆島に比べるととても小さな島。
ちょっと調べてみたら、小豆島は153.3平方キロ、
犬島は0.54平方キロと、こんなにも違うのかと驚くほど。
ちなみにほかの瀬戸芸開催地だと、直島は14.22平方キロ、
豊島は14.4平方キロと言った感じ。
あらためて小豆島の大きさにびっくりするのと同時に、
犬島は有人島としては小さいほうなんだなぁと思いました。
そんな大きさなので、犬島に着いてからまずは精錬所美術館を訪れ、
その後は歩いてのんびり島散策。
製錬所の跡地はつくられた映画のロケ地のような、どこかのテーマパークのような、
そんな風に思えてしまうほど、現実に存在していることが不思議に感じられる場所。
圧倒的に非日常的な風景だった。
精錬所美術館のすぐ隣には集落が密集していて、とたんに生活のスケール感。
いまは空き家や空き地になっているところにぽつんぽつんと
瀬戸芸の作品が展開されていて、歩いてまわるのがとても楽しい。
作品だけじゃなくて、出会ったおじちゃんが育てている自慢の鯉を見せてくれたり、
道の脇に生えてる植物がかわいらしかったり、純粋にその時間を楽しめる。
犬島、お弁当とおやつを持って1日過ごすのにちょうどいい島。
まさに遠足。あ、刺激と穏やかさが両方あるとっておきの大人の遠足かも。
犬島遠足、オススメです!
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