連載
posted:2016.8.8 from:香川県小豆郡土庄町 genre:暮らしと移住
〈 この連載・企画は… 〉
海と山の美しい自然に恵まれた、瀬戸内海で2番目に大きな島、小豆島。
この島での暮らしを選び、家族とともに移住した三村ひかりが綴る、日々の出来事、地域やアートのこと。
writer profile
Hikari Mimura
三村ひかり
みむら・ひかり●愛知県生まれ。2012年瀬戸内海の小豆島へ家族で移住。島の中でもコアな場所、地元の結束力が強く、昔ながらの伝統が残り続けている「肥土山(ひとやま)」という里山の集落で暮らす。移住後に夫と共同で「HOMEMAKERS」を立ちあげ、畑で野菜や果樹を育てながら、築120年の農村民家(自宅)を改装したカフェを週2日営業中。
http://homemakers.jp/
小豆島は毎日溶けそうに暑い日が続いています。
ジリジリ太陽のもと、ダラダラ汗をかきながら畑作業の日々。
ザ・夏です。
さて、7月18日から始まった〈瀬戸内国際芸術祭2016〉夏会期。
夏会期は9月4日までの49日間開催されます。
日中は外を出歩きたくないような暑さですが、
それでもたくさんの人たちが島を訪れています。
小豆島は広く、瀬戸芸の作品は各エリアに点在しています。
土庄港・迷路のまち周辺、肥土山・中山周辺、北浦・大部港周辺、
福田港周辺、醤の郷・坂手港周辺、堀越・田浦周辺、草壁港周辺、
三都半島周辺、池田港周辺。ざっと分けると
9エリア(小豆島観光協会の「まるごと小豆島・豊島Web」を参考にしています)。
各エリア間は、車やバスで移動する感じです。
同じエリア内でも広いエリアは歩いてまわりきれません。
そんな距離感です。
なので、小豆島に瀬戸芸アートを見に来られる際は、レンタカーを借りるか、
バスの時間を事前に調べておいたほうがいいですね。
島で暮らしていても、日々の仕事に追われ、
さらには皆さんを迎える立場である私たちはなかなか時間をつくれず、
まだほとんど作品を見に行けてないです(汗)。
前回は違う島にいたってはひとつも訪れることができず。
今年こそは行きたいぞ!
というわけで、まずは島内(笑)。
うち(肥土山)から、車で20分ほどのところにある大部を訪れました。
大部地区には、夏会期からリン・シュンロンさんの
『国境を越えて・潮』が展示されています。
また春会期から引き続き竹腰耕平さんの『小豆島の木』も。
『小豆島の木』を訪れたのは2回目だったのですが、
あらためてすごい作品だなと思いました。
この木は、この作品が展示されている大部の近くの
屋形崎(やかたざき)という場所に生えていたクヌギ。
土地を開墾するために倒すことになっていた木を掘り出したそうです。
20メートル近く広がっている根を途中で切らないように
掘り起こす作業ってどんだけ大変なんだろう。
それを運んで、実際に生えているかのように倉庫の中に浮かせて展示する。
あー、すごい! じっと見ていると『天空の城ラピュタ』を思い出す。
城を覆い尽くす木の根。
この倉庫を持ち上げていまにも浮かんでいってしまいそう。
それほどのパワーを感じる木でした。
そして『小豆島の木』から5分ほど北へ歩くと海岸に出ます。
そこに『国境を越えて・潮』があります。
海岸いっぱいに子どもの像。
背中に緯度経度、胸にはなにやら数字が書いてありました。
子どもの像は196体あり、それは日本が承認する世界の国の数だそうです。
緯度経度はその国の場所、胸の数字は大部からの距離、
子どもたちが向いている方向はその国の方向。
実はこの子どもの像、砂と泥でできていて、
波や雨で侵食され、徐々に消えていってしまうそう。
海に消えた子ども。
戦争から逃れるために海を渡る途中で漂流し、命を落とした子ども。
少し悲しさを感じる作品です。
Page 2
海岸からの帰り道、何だか感じるものがあった古びた大きな工場。
帰ってから調べてみると、ここは昔〈砂子造船所〉という造船所だったらしく、
なんとこの夏ここを舞台に野外演劇が行われます。
演ずるのは佐久間麻由さんと江本純子さんというふたりの女性です。
あー、この場所でやるんだと妙に納得しました。
8月10日、11日、12日の3日間、18時30分より開演だそうなので、
作品とあわせてぜひ見に行ってみてください。
そうそう、そしてこの島の北側の北浦・大部地区周辺の魅力のひとつが美しい夕景!
『小豆島の木』がもともと立っていた屋形崎という場所から眺める沈む夕陽は絶景です。
瀬戸芸アートとあわせて、演劇を観たり、夕景を眺めたり、
島を幅広く楽しんでくださいね。
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