連載
posted:2013.8.5 from:香川県小豆郡土庄町 genre:暮らしと移住
〈 この連載・企画は… 〉
海と山の美しい自然に恵まれた、瀬戸内海で2番目に大きな島、小豆島。
この島での暮らしを選び、家族とともに移住した三村ひかりが綴る、日々の出来事、地域やアートのこと。
writer's profile
Hikari Mimura
三村ひかり
みむら・ひかり●愛知県生まれ。2012年瀬戸内海の小豆島へ家族で移住。島の中でもコアな場所、地元の結束力が異様に強く、昔ながらの伝統が残り続けている「肥土山(ひとやま)」という里山の集落で暮らす。移住後に夫と共同で「HomeMakers」を立ちあげ、畑で野菜や果樹を育てながら、カフェ、民宿をオープンすべく築120年の農村民家を改装中。
http://homemakers.jp/
夏の小豆島は、あちこちでお祭りがあります。
各地域ごとに地元の夏祭りや盆踊りがあって、
通りに提灯が飾られたりしていて、それだけでちょっとワクワク。
そして今年は、瀬戸内国際芸術祭2013(以下、瀬戸芸)のイベントも
日々行われていて、本当に賑やかな夏です。
今回の瀬戸芸は展示作品だけでなく、
パフォーミングアーツやイベントもたくさん展開されています。
音楽や演劇、ライブペインティングなどさまざま。
イベントの日にちが決まっているため、
タイミングを合わせて行くのはなかなか難しいかもしれないですが、
あえてその日にあわせて瀬戸芸旅行の計画をたてるのもありかなと。
私たちが暮らす小豆島の肥土山(ひとやま)でも瀬戸芸のイベントが行われています。
先日は、農村歌舞伎や虫送りなど、
この「小豆島日記」にも何かと登場する肥土山農村歌舞伎舞台で、
台湾のアーティストらによる『国境を越えて・海』というイベントがありました。
台湾人アーティスト、リン・シュンロンさんと
「ツァイスー劇団」団長ジョン・チャウさんによるプロジェクト。
彼らの作品、海を漂う植物「ゴバンノアシ(碁盤の脚)」の種を模した巨大な船は、
豊島(てしま)に展示されていて、その豊島からスタートし、
女木島(めぎじま)、大島、小豆島と
野外演劇やパレード、太極拳ワークショップを展開。
台湾と日本の住民が共に参加する活動を通して、人と人の感情の結びつきを築きあげる。
当日は、地元のおっちゃんおばちゃん、子どもたちも見に来ていました。
肥土山で暮らす人にとって、農村歌舞伎の舞台はとても馴染み深い場所。
普通なら地元の人たちが歌舞伎を演ずる場所で、海外のアーティストたちが
その国の伝統的な演奏やパントマイムをするのを見るのは、とても新鮮で面白かった。
そして嬉しくもあったんじゃないかと思う。
「あの大道具って歌舞伎で実際に使ってるもの?」
「そうそう、奥行きがあってやっぱりいいねえ」
なんて話しながら、楽しみました。
パントマイムの後は、お隣の集落、中山にある同じく台湾のアーティスト、
ワン・ウェンチーさんの作品「小豆島の光」までパレード。
皆で一緒に田んぼのあぜ道や森の中を20分ほど歩きました。
そして、小豆島の光の中で台湾の南管(なんかん)という弦楽器を使った演奏会。
子どもたちも一緒に踊りました。
肥土山農村歌舞伎舞台での瀬戸芸イベントは、8月16日にもう一度あります。
今度は『キネマと音楽の夕べ in 瀬戸内』と題して、
お盆の農村歌舞伎舞台で夕暮れコンサートと星空の下の無声映画ショー。
アーティストは、NHK連続テレビ小説『あまちゃん』の音楽を演奏している音楽家、
鈴木広志さん、大口俊輔さん、小林武文さんと、活動弁士の坂本頼光さん。
何百年も大事にされ続けている農村歌舞伎舞台で、新しいイベントが繰り広げられている。
瀬戸芸だけでなく、その後もこういう動きがどんどん広がっていくと面白いなと思う。
伝統芸能と新しいアート、日本とアジアの国々、
小さな田舎でいろんな人・ことが交じり合い、ワクワクする時間が生まれています。
Feature 特集記事&おすすめ記事