連載
posted:2013.7.29 from:香川県小豆郡土庄町 genre:暮らしと移住
〈 この連載・企画は… 〉
海と山の美しい自然に恵まれた、瀬戸内海で2番目に大きな島、小豆島。
この島での暮らしを選び、家族とともに移住した三村ひかりが綴る、日々の出来事、地域やアートのこと。
writer's profile
Hikari Mimura
三村ひかり
みむら・ひかり●愛知県生まれ。2012年瀬戸内海の小豆島へ家族で移住。島の中でもコアな場所、地元の結束力が異様に強く、昔ながらの伝統が残り続けている「肥土山(ひとやま)」という里山の集落で暮らす。移住後に夫と共同で「HomeMakers」を立ちあげ、畑で野菜や果樹を育てながら、カフェ、民宿をオープンすべく築120年の農村民家を改装中。
http://homemakers.jp/
昔から観光地の小豆島には、たくさんの宿があります。
リゾートホテル、ロッジ、旅館、民宿、ユースホステルなど
いろいろな種類の宿がありますが、7月20日にまたひとつ面白い宿がオープンしました。
滞在型のアートスペース「kumagusuku クマグスク」です。
クマグスクは、美術家の矢津吉隆さんと井上大輔さんによるプロジェクト。
小豆島の坂手港からすぐの観音寺宿坊を、アートを鑑賞できる滞在施設として改装。
瀬戸内国際芸術祭2013(以下、瀬戸芸)の夏、秋会期のタイミングに合わせ、
2013年7月20日(土)~11月4日(月・祝)までの108日間限定でオープンしています。
美術館やギャラリーで、作品をただ鑑賞するというような従来のかたちではなく、
滞在して美術作品と向き合うことで、より濃厚な“体験”あるいは“経験”として、
深く味わうことができる施設。矢津さんはそんなアートと宿が合体した
「滞在型アートスペース」を作ろうと考えていたそう。
場所を探していたときに、瀬戸芸で小豆島に来ているアーティストたちに話をしたところ、
それなら小豆島で! という話になり、小豆島町や地元自治会とも話し合い、
使われていなかった観音寺の宿坊を改装することに。
この観音寺の立地がこれまた最高で、
坂手港から集落の中の坂を5分ほど登って行くとあります。
お寺の境内からは坂手の集落越しに坂手港を望むことができる。
クマグスクは境内の奥のほうにあり、本堂と白い壁の間を抜けると玄関があります。
作品を鑑賞する人は、玄関からまっすぐ展示室へ。
滞在する人は、中庭横の廊下を抜けて滞在室へ。
第1回目の展示は、土屋信子さんの作品。
島で廃棄された廃材を使用した作品で、
なんと浴室(シャワールーム)に展示されています。
普通に鑑賞することもできますが、一般のお客さんがいなくなる17時以降は、
滞在者は脱衣室で服を脱ぎ、裸でシャワーを浴びながら作品を鑑賞できるそう。
これはなかなかできない濃厚な体験(笑)。
滞在施設は、家族での利用が便利な和室タイプとドミトリータイプの2種類。
15畳の大きな和室を、あえて小さく仕切ってドミトリーに。
一泊5500円で利用できます。
奥の洗面所を抜けるとテラスが。
後ろに洞雲山、屋根越しに坂手港を眺められるロケーション。
作品を裸で鑑賞した後に、ここで一杯やりながら、
あーだこーだと話すのはとても楽しいかも。
設備や食事などのサービスが充実した宿を求めるなら、ここはちょっと違う。
でも、面白い体験をしたい、瀬戸芸を思う存分楽しみたいという人には、
もってこいの滞在施設。
新しいかたちの宿であり、新しいかたちのアート作品でもあるクマグスク。
朝から晩まで瀬戸芸を楽しめて、小豆島を深く味わえる、
そんな旅ができそうな場所です。
information
kumagusuku
クマグスク
住所 香川県小豆郡小豆島町坂手589 観音寺宿坊
料金 1泊5500円(1名)
(2013年7月20日~11月4日の期間限定でオープン)
http://kumagusuku.info/
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