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まちを盛り上げる
「クリエイター」の活動にフォーカス!

このまちのくらしとけしき
vol.049

posted:2022.8.4   from:全国(北海道、岩手、岡山、熊本)  genre:暮らしと移住 / 活性化と創生

〈 この連載・企画は… 〉  毎月コロカル編集部からテーマを出し、
日本各地で活動している地域おこし協力隊の方から集まった写真とメッセージを紹介していきます。
その土地ならではのものだったり、自分の暮らしと変わらないものだったり……。
どんな暮らしをしてどんな景色を見ているのか、ちょっと覗いてみませんか?

text&photo

Koban, Asumi Ieiri, Yosuke Oishi, Chihiro Ogawa

こばん/家入明日美/大石陽介/小川ちひろ


今月のテーマ 「まちのクリエイター」

SNSを日常的に使う現代において
何かをつくり、発信したり、表現したりする人も少なくありません。

辞書を引いてみると、クリエイターとは「何かを創造する人」という
一説が記されています。

今回紹介するのは、
まちの特産品や特色を生かして“創造”している人たち。

あなたのまちにはどんなクリエイターがいますか?
その活動から地元を盛り上げるヒントを見つけてみてください。

【岡山県浅口市】
牡蠣の貝殻がアクセサリーに! アクセサリーでまちおこし

岡山県浅口市の港町・寄島町で生まれ育った三宅由希子さんは
「このまちを知ってほしい」という思いから、
貝殻アクセサリーをつくっています。

ハンドメイドでアクセサリーづくりをしている三宅由希子さん。

ハンドメイドでアクセサリーづくりをしている三宅由希子さん。

コンセプトは「アクセサリーでまちおこし」。
近くの海岸で見つけた貝殻を砕き、レジンで固め、
色とりどりのアクセサリーに仕上げていきます。
なかには、寄島の特産品の牡蠣の貝殻からつくられるものも。

こちらは牡蠣貝殻の紫色の部分を手作業で選別し、色つきのレジン液と混ぜて制作しているもの。

こちらは牡蠣貝殻の紫色の部分を手作業で選別し、色つきのレジン液と混ぜて制作しているもの。

天文関連施設が多くあることから
「天文のまち あさくち」と呼ばれている浅口市。
アクセサリーの名前はまちの特色を反映し、
〈星のかけら〉になりました。

「うちの店でも販売したい」「こんなアクセサリーはつくれる?」と、
星のようにきらめく貝殻アクセサリーの輪が広がってきています。

photo & text

こばん

大阪府出身。〈カブ〉で旅するフォトライター。全国各地を愛車と旅する様子をインスタグラムに投稿するのが趣味。フォトジェニックな「星と海のまちあさくち」に一目惚れし、2017年5月、岡山県浅口市地域おこし協力隊に着任。浅口の魅力を取材し、紙面やWEB、SNSで発信中。

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【熊本県菊池郡大津町】
誰もが「クリエイター」になれるフリーマガジンを目指して

「まちの広報誌より知名度があるかも」

大津町のフリーマガジン『GO-OZU』は、
そんな声が聞こえてくるくらい地域に愛されている媒体です。

創刊は18年前にさかのぼり、2021年に100号を数えました。
101号からは、同町を拠点に広告デザインなどの事業を展開する
〈APiCA〉の川野智史さん、深雪さん夫妻に引き継がれています。

フリーマガジン『GO-OZU』。100号を機に廃刊する話もあったところに、川野夫妻が手を挙げて引き継ぐことになり、101号からリニューアル(写真下)。年4回発行。

フリーマガジン『GO-OZU』。100号を機に廃刊する話もあったところに、川野夫妻が手を挙げて引き継ぐことになり、101号からリニューアル(写真下)。年4回発行。

ふたりが大切にしているのは「個性を受け入れる」こと。

「人はだれしもクリエイター。その人が手がける仕事、商品、言葉。
すべてがその人にしかできない表現。
本当にすごいことだと思うし、尊敬しています」と川野夫妻は語ります。

『GO-OZU』は広告媒体ではあるけれど、商品の紹介に留まることなく
「その向こう側にいる人の物語」に触れられる編集を目指しているのだとか。
そうすることで、「読み手が店や企業のファンになったり、
『自分もなにか表現してみたい』と思ってくれたりしたらいいな」(川野さん)

取材中のふたり。川野智史さんは企画・営業・マーケティングを、深雪さんはデザインをそれぞれ担当しています。

取材中のふたり。川野智史さんは企画・営業・マーケティングを、深雪さんはデザインをそれぞれ担当しています。

川野夫妻、広告主、読者。
『GO-OZU』という媒体が、
それぞれの表現を受け止め合える場所として成長することで、
この地域にどんな価値を創造していくのか……。
個人的にもフリーマガジン制作に関われることを楽しみつつ、
一緒に模索していきたいと思います。

企画やデザイン面は少しずつ変化させつつ、背景にいる“人”を大切にする点は変わっていません。

企画やデザイン面は少しずつ変化させつつ、背景にいる“人”を大切にする点は変わっていません。

information

株式会社APiCA

TEL:090-4841-1341

Web:APiCA

メール:info@trancefact.com

profile

家入明日美 いえいり・あすみ

北海道帯広市から17年ぶりに熊本県へ帰郷。2022年1月南阿蘇村地域おこし協力隊着任。フリー編集者・ライター「たんぽぽのしおり」として活動開始。狼と馬とエゾナキウサギが好き。趣味は読書と散歩。いかにして、「いい肥料となる生き方」ができるか模索中。Instagram:@dandelion_seeds1124

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【北海道下川町】
移動映画館でまちのエンターテイメントを創造

ニュージーランドから下川町へやって来た安部晋平くん。
彼はニュージーランドの映画館で勤め、
帰国後は映画館で映画を観ることをもっと身近にしたいと
このまちへやって来ました。

町内に来たばかりのときには、
ニュージーランド仕込みの手のひらサイズのクッキーを持ち歩き、
町民の心をあっという間に掴んでしまいました。
その後は、ほぼ1か月に1回のペースで上映会を行っています。

野外で行われた上映会の様子。

野外で行われた上映会の様子。

第1弾は、町内の公園でアウトドアシネマを開催し、
100人の来場者を迎えました。
第2弾は、普段は使われていない石倉倉庫を利活用し開催しました。
第3弾からは、旧営林署を映画館のようにくつろげる空間に変え、
普段触れることのないような作品を上映。
映画に合わせたフードやドリンクもオリジナルで制作し提供しています。

映画の上映以外にも町民を驚かせたのは
デザイン性の高い手書きフライヤーです。

フライヤーもいくつもつくるうちに、
イベントポスターやロゴのデザインまで依頼されるようになっていきました。
多才な彼の活躍に今後も目が離せません。

今回の「わたしのまちのクリエイター」は、移動映画館を開催しながら
デザインまでこなしてしまう
〈ボギス、バンスとビーンズ シネマ〉の安部晋平くんを紹介しました。

information

ボギス、バンスとビーンズ シネマ

photo & text

大石陽介 おおいし・ようすけ

1988年静岡県焼津市生まれ。 小学校教諭として富士山の麓で8年勤務。うち2年は青年海外協力隊(JICA)としてモンゴルへ。 世界自然遺産である『知床』での生活を経て、現在はSDGs未来都市北海道下川町で活動中。ローカルツアー事業を行う〈ぐるっとしもかわ〉代表。1日1組限定の1棟貸しキャビン〈A-frame cabin iwor〉オーナー。

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【岩手県奥州市】
人の心を映し出し、観た人の心を温かくするビデオグラファー

岩手県奥州市出身のビデオグラファー菅原結衣さん。

プロジェクトや企業のコンセプトムービー制作を中心に、
東北のみならず、野を超え山を越えさまざまな現場で活躍しています。

田んぼで撮影したり。

田んぼで撮影したり。

山でドローンを使って撮影したり。

山でドローンを使って撮影したり。

岩手人らしい真面目で素直な感性の彼女の動画はどこか温もりを感じます。

父親が写真の道を目指していて
フィルムカメラが身近にあったことをきっかけに
趣味で写真を撮り始め、好きが高じて仕事でカメラを持つこと約7年。

 アマチュア時代、地元のギャラリーカフェで人生初の写真の個展を開催。

アマチュア時代、地元のギャラリーカフェで人生初の写真の個展を開催。

初めは写真撮影だけだったのが、そのうち動画制作の依頼を受けるようになり
機材を揃えて独学で試行錯誤していたそうです。
そのうちに動画の道にどんどんのめり込んでいき、
視覚と聴覚の両方を使った表現ができる
動画が自分に向いていると気づきました。

キャリアを重ね迷いが生じ、
ほかの現場に入ったり、新しい機材を増やしたり、
問題を解決するために技術を「定義化」してしまい、
肝心な被写体の「らしさ」を映し出すことが難しくなった時期も。

そこから被写体に合わせた「距離感」を意識して
その人本来の姿や思いを引き出しながら撮影するようになっていきました。
今ではドキュメンタリー制作の依頼も増えてきたそう。

地域の伝統芸能を継承する女性を撮影した動画を閉校する中学校で上映したことも。直接観た人から喜んでもらえたことが一番やりがいを感じた瞬間だと話してくれました。

観る人の心を彩る動画を生み出す菅原さん。
今後もどんな世界を映し出してくれるのか楽しみです。

information

菅原結衣

photo & text

小川ちひろ おがわ・ちひろ

遊軍スタイルフリーコーディネーター。東京出身。オーストラリアや台湾での海外生活も経験する放浪人間。異なる文化や感覚を持つ「人」に興味を抱く。 転職を機に〈地域おこし協力隊〉の制度を活用して岩手へ移住。現在は遊軍スタイルのフリーコーディネーターとして、旅するように東北の暮らしを堪能中。フットワークの軽さとコミュニティの広さをいかして、人をつなげてケミカルな反応が起こる「場」や「間」を創り出すことを楽しんでいる。

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