連載
posted:2018.6.15 from:全国(花巻市・白川村・一関市・豊岡市・隠岐の島町) genre:食・グルメ
〈 この連載・企画は… 〉
毎月コロカル編集部からテーマを出し、
日本各地で活動している地域おこし協力隊の方から集まった写真とメッセージを紹介していきます。
その土地ならではのものだったり、自分の暮らしと変わらないものだったり……。
どんな暮らしをしてどんな景色を見ているのか、ちょっと覗いてみませんか?
photo & text
Kanta Suzuki, Fuko Nagasaka, Yo Sakurai, Yurie Tanaka, Ami Igarashi
鈴木寛太/長坂風子/櫻井陽/田中友里絵/五十嵐杏美
子どもの頃に食べた懐かしいもの、
毎日食卓にあがる何気ないもの、または特別な日にいただくもの。
ひとりひとりそれぞれにあるのがソウルフードですが、
今回は自分が暮らすまちにあるソウルフードを教えてもらいました。
一体どんなものが出てくるのでしょう?
岩手県花巻市大迫町の人口は約5,000人。
その小さなまちの中心街に〈秀華楼(しゅうかろう)〉はあります。
オープンして40年。この歴史ある老舗の中華料理屋は、ご夫婦で営業されています。
店に入るとすぐに注文してしまうのは、長年愛されているメニュー「五目焼きそば」。
テーブルに出されたお皿の上では、たくさんの野菜があんに絡まり、
豚肉の匂いが食欲をそそります。麺は細く、カリっとしていてちょうどよい硬さ。
かわいらしいうずらの卵がビジュアルを飾ります。夜にはお酒といただきたい一品です。
information
秀華楼
住所:岩手県花巻市大迫町大迫第3地割92-2
TEL:0198-48-3058
営業時間:11:00~14:00(ランチ)、17:00~19:00(ディナー)
定休日:日曜
photo & text
鈴木寛太 すずき・かんた
1991年東京都出身。2011年に発生した東日本大震災以降、大学のボランティアプログラムで、繰り返し岩手県を訪れるようになる。一度は就職するも、2015年8月、地域おこし協力隊として花巻市に移住。大迫(おおはさま)地区で、減少が続くぶどう農家の支援やイベントの企画・調整を行っており、2018年5月にぶどう農家となる。
この「元祖トロロのステーキ」は白川村の平瀬温泉にある、
〈お食事処・次平〉のオリジナル料理で、ここでしか味わえない一品です。
メニュー名からはどんな料理なのか想像がつきにくいんですが、
トロロと卵が入ったフワフワの生地は絶品で、
しっかり味がついているので、ご飯とも相性ばっちり。
また生地には、春に摘んで塩漬けや乾燥・冷凍保存しておいた
ワラビやコゴミなどの山菜や、白川村で採れた天然なめこが入っています。
地場産のものを使うことがこだわりだからだそうです。
「元祖トロロのステーキ」は一年中提供されている料理なので、
ここに来ればいつでも白川村の自然をおいしくいただくことができます。
information
お食事処次平
住所:岐阜県大野郡白川村大字平瀬188
TEL:05769-5-2200
営業時間:11:30~19:00 ※14:00~16:30までお休み
定休日:木曜
photo & text
長坂風子 ながさか・ふうこ
愛知県生まれ。大学卒業後、映像制作会社に勤務。地域の“今”を残したいと思い、岐阜県白川村に移住。好きなことは、映画を観ること、美味しいものを食べること。
Page 2
岩手県一関市はもちのまち。伊達藩の文化が色濃く残るこの地域では、
昔は年に60日は餅を食べており、「餅暦」なるものもあります。
今でも一関では、盆と正月はもちろん、冠婚葬祭にも餅が出され、
煮たり、揚げたり、いろいろなあんを絡ませたり、
その食べ方は300種類以上あると言われています。
そんな一関の田植えは一大行事。毎年5月から始まりますが、
昔は手植えだったため、家族や近所、地域の人総出でやっても
7月頃までかかったと言います。
今も田植えが終わると、「お田植えあげ」と言って、
五穀豊穣を祈願し神様に餅を供え、全員で餅を食べます。
「昔は餅が一番のご馳走だったんだ」と笑顔で頬張るおじいちゃん。
餅を平らげるとやっとひと息です。
photo & text
櫻井陽 さくらい・よう
岩手県一関市出身。2016年よりUターンで一関市の地域おこし協力隊に着任し、農業分野の地域団体の活動支援を行う。好きな食べ物はカレー。趣味の硬式テニスをやらないと病にかかる体質。2017年より一関で楽しく暮らしたい20代のための地域団体「一関を面白く企む会」を発足し、各々がまちを楽しむためのさまざまな企画を実施する。
「松葉」って豊岡のソウルフードだよね、と地元民に言うと、
そんなん全国どこでも食べてるんとちゃうん?
と言われるほど、豊岡市民にとっては当たり前の松葉。
松葉といえども、“松葉ガニ”のことではなく、
“鶏の松葉”のこと。鎖骨のつけ根あたりのことで、
1羽からひとつしか取れない希少な部位だそう。
昔から養鶏が盛んな豊岡では馴染みが深いようで、
居酒屋はもちろんスーパーでも生の松葉が売られています。
稲が植えられたばかりの田んぼを眺めながら、
冷えたビールと、カリッと焼いた松葉。
さっぱりとした肉汁がじゅわっと滲み出た瞬間に、
豊岡に来て良かった~! と思うのです。
photo & text
田中友里絵 たなか・ゆりえ
横浜辺りに生まれ、東京辺りで育つ。温泉街にあるアーティスト・イン・レジデンス、城崎国際アートセンターのことを知ったことをきっかけに、行ったこともない豊岡市へ勢いで移り住む。円山川の穏やかさに心癒されながら、刺激的かつノンストレスな生活を送るべく、暮らし方を模索中。
Page 3
ツノがあって牛に似ているという理由で、
隠岐諸島では「ベコ」と呼ばれているこの子、何だか分かりますか?
実は、アメフラシなんです。
生きている間はぷにぷにの大きな体も、内臓を取って火にかけると
水分が抜けて硬く小さく真っ黒になります。
それを薄く切り、酢味噌に和えたり砂糖醤油で煮たりして、
山椒の葉を添えるのが隠岐流。独特の食感を楽しむ隠岐の珍味です。
子どもからお年寄りまで、島民にとっては身近な存在のベコ。
春、特に雨の降るときに海辺に寄ってくるのだそう。
海を覗き込んでベコ探しをする姿は、この時期の風物詩のひとつです。
紫色の体液を出すのが食べられるベコ、白色だと食べられないベコ、
という見分け方があります。
photo & text
五十嵐杏美 いがらし・あみ
平成2年生まれ。元ギャルの島ガール。2017年3月末、東京から島根県隠岐の島町へ移住し、現在は地域おこし協力隊として活動中。移住のテーマは、【自然との共生】と【丁寧な暮らし】。四季の移ろいの中で豊かに生きる術を学び中。また、自分らしく生きることを探求するためにヨガとアーユルヴェーダを学んでおり、同時に広める活動も行っている。
Feature 特集記事&おすすめ記事