歴史ある銀行建築の再生から始まった、新しい地域づくり。 一般社団法人ノオト vol.04

一般社団法人ノオト vol.04

みなさん、こんにちは。一般社団法人ノオトの星野新治です。
vol.1に引き続いて担当します。

今回は兵庫県豊岡市の中心市街地を舞台として、
歴史的建築物の再生から動き出す、地域づくりについてお話していきます。

北但大震災から復興したまち、豊岡。

豊岡市は兵庫県北部に位置する但馬地域の中心都市で、
国の天然記念物「コウノトリ」を再生し、共に暮らすまちとして全国的に知られています。
そのほか、風情ある外湯めぐりの「城崎温泉」や、
歴史的城下町の景観が残る出石地区などの観光名所から、
地場産業の「カバン製造」など、さまざまな顔を持っています。
そして何よりも、カニなど日本海の海の幸から、神戸牛のルーツである但馬牛、
豊かな土壌が育む農産物までが揃う「豊かな食の宝庫」のまちです。

兵庫県立コウノトの郷公園で行われているコウノトリの飼育。

城崎温泉のまち並み。

多様な魅力を持つ豊岡ですが、
実は今から90年前、1925年の北但大震災により、壊滅的な被害を受けました。

M6.8・最大震度6の巨大地震は、
豊岡市街地や城崎を中心に、大半の建物が焼失するなどの被害をもたらしました。
現在の豊岡や城崎は、その壊滅的な状況から復興して築いてきた、
大切な「まち並み」や「生業」なのです。

当時の人々は復興に際して、
災害に強いまちを目指して、道路拡大や耐火建築の促進に取り組み、
復興建築として鉄筋コンクリートの建物が数多く建設されました。

そのひとつとして1934年に建てられたのが、〈兵庫県農工銀行豊岡支店〉です。
当時の洋風建築の要素を取り入れた、ルネッサンススタイルの重厚な銀行建築で、
長年の間銀行として活躍したのち、市役所の南庁舎別館として利用されていました。
登録有形文化財にも登録されている「近代化遺産」です。

その古き良き建築物を未来へつなげ、新たな地域づくりの拠点として再生する、
それが〈豊岡1925〉のプロジェクトです。

1934年に建設された兵庫県農工銀行豊岡支店の竣工当時の外観。

兵庫県農工銀行豊岡支店の竣工当時の内観。

復興建築から、新たな地域拠点へ。

豊岡1925のプロジェクトは、2012年にスタートしました。

開発の手法は、vol.3でご紹介した朝来市の〈旧木村酒造場 EN〉と同様に、
新しい公民連携の仕組みが取り入れられました。

豊岡市が施設の整備計画を公募し、運営事業者が選定されます。
その整備計画に基づいて、市は、施設整備(設計/工事)を実施。
そして、管理運営は、選定された運営事業者が整備計画に基づいて実施する、
という方式です。

豊岡1925の整備運営手法(豊岡市HP「豊岡市役所南庁舎 運営事業者の募集」より作成)。

豊岡市は2012年10月に運営事業者の公募を開始。
その結果、ノオトの提案が採用運営者として選定されました。

ホテル、レストラン&カフェ、ショップ、ギャラリーなど
市民や観光客をはじめとしたさまざまな人々が、
交流・観光拠点として気軽に利用できるような新しい用途を加えながら、
収益も確保できるような、持続可能な機能を持たせることで、
歴史ある建築を次の時代へつなげていく試みを提案しました。

また、お菓子の神として古事記や日本書記にも記されている、
〈田道間守(タジマノモリ)〉が祀られる総本社・中嶋神社が豊岡にあることから、
スイーツショップを設置し「お菓子のまち」としての要素を取り入れました。

リノベーションにあたっては、
当時の銀行建築の古き良き趣をできるだけ生かすように、
天高の高い窓口・ホール部分は、開放感のあるカフェやスイーツショップとして、
趣のある執務室は、宿泊施設やレストランの個室などとして、
重厚な金庫は、ギャラリーや倉庫として活用しています。

そして、2014年4月に〈豊岡1925〉としてオープンしました。

豊岡1925の外観。

豊岡1925のスイーツショップとカフェ。

豊岡1925のホテル客室。

writer's profile

篠山城築城から400年の2009年に設立。兵庫県の丹波篠山を拠点に古民家の再生活用を中心とした地域づくりを展開。これまでに、丹波・但馬エリアなどで約50軒の古民家を宿泊施設や店舗等として再生活用。2014年からは、行政・金融機関・民間企業・中間支援組織が連携して運営する「地域資産活用協議会 Opera」の事務局として、歴史地区再生による広域観光圏の形成に取り組む。

http://plus-note.jp

Recommend 注目のコンテンツ

Special 関連サイト

What's New 最新記事