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米栽培から参加できる
“自分たちのお酒”づくり
〈棚田のクラフトサケ計画〉進行中!

糸島での自給自足の日々を綴った
―田舎暮らし参考書―
vol.051

posted:2023.9.1   from:福岡県糸島市  genre:食・グルメ / ものづくり

〈 この連載・企画は… 〉  田舎へ移住を考えている人、すでに移住した人。
そんな方の、暮らしの参考やアイデアになるはずです。農業、狩猟、人とのつながり、四季のこと。
福岡県糸島で自給自足生活を営む〈いとしまシェアハウス〉の暮らしをお届けします。

writer profile

CHIHARU HATAKEYAMA

畠山千春

はたけやま・ちはる●新米猟師兼ライター。3.11をきっかけに「自分の暮らしを自分でつくる」活動をスタート。2011年より鳥を絞めて食べるワークショップを開催。2013年狩猟免許取得、狩猟・皮なめしを行う。現在は福岡県にて食べもの、エネルギー、仕事を自分たちでつくる〈いとしまシェアハウス〉を運営。2014年『わたし、解体はじめました―狩猟女子の暮らしづくり』(木楽舎)。第9回ロハスデザイン大賞2014ヒト部門大賞受賞。
ブログ:ちはるの森

こんにちは。
「食べもの・お金・エネルギー」を自分たちでつくる
〈いとしまシェアハウス〉のちはるです。

以前の記事で、福岡県糸島市の棚田米を活用したものづくりプロジェクト
〈BATON TOUCH(バトンタッチ)〉を紹介しましたが、
その際に出会った福岡市の酒蔵〈LIBROM〉などと一緒に、
新たなプロジェクト〈棚田のクラフトサケ計画〉をスタートさせています! 

2022年から1年間、糸島の棚田に通い、
私たちと一緒に米づくりをしてきた〈LIBROM〉。
2023年は新たな挑戦として、お酒に関わる仕事をしている人や、
一般のお酒好きな人たちと一緒にお米を育て、
それらを原料としたオリジナルの「クラフトサケ」を醸造することになりました。
現在も参加者募集中で、どなたでも気軽に参加できるプロジェクトです。

メインメンバーは、
九州の原料にこだわってクラフトサケを仕込む新進気鋭の酒蔵〈LIBROM〉、
100種類以上の日本酒がテイスティングできる〈日本酒専門テイスティングバー百薬〉、
全国から選りすぐった珍しい日本酒を提供する〈coffee&sake NINETEEN〉の、
福岡市内にある3つの事業所。

そして、私たち〈いとしまシェアハウス〉。

福岡県糸島市にある棚田の風景

舞台は福岡県糸島市にある、海の見える棚田。

このプロジェクトでは、有志が集まり、
糸島の棚田で田植えや稲刈りなどを定期的に体験してもらいながら、
無農薬の米栽培を行います。
お米だけでなく、クラフトサケのフレーバーとなる“副原料”も皆で考えます。

冬には収穫したお米や副原料を用いて
〈LIBROM〉でクラフトサケを醸造。
“自分たちのお酒”が完成した際には、参加者限定のお披露目イベントも開催予定です!

酒づくりの現場で働くスタッフも参加するので、
お酒について学んだり、お酒好きの友人をつくる交流の場にも。

また、プロジェクトで出た売り上げの一部は、
耕作放棄地が増える糸島の棚田保全活動費に充てられます。
棚田の風景を守りながら、楽しく、おいしい体験ができるプロジェクトなのです。

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6~8月のプログラムの様子をお届け!

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田植え、草刈り、海遊び! 6~8月のプログラム

田植えをする人々の写真

田んぼに田植え紐を張り、手で苗を植えていきます。参加メンバーのなかには熊本県の阿蘇から通っている方も!

まず6月に行った田植えでは、
一般の参加者はもちろん、酒蔵スタッフ、唎酒師など、
酒づくりに携わる人が集まって、一緒に苗を植えました。

米づくりをレクチャーしたのは、自然栽培米を育てて約10年、
元蔵人でもある〈いとしまシェアハウス〉の浩一さん。
田んぼの道具をひと通り揃え、
初心者でも気軽に参加できる仕組みを整えました。

苗を手にして笑顔を見せる男性の写真

〈LIBROM〉スタッフの西島さん、すてきな笑顔!

元シェアメイトの男性に抱っこされた笑顔の女の子の写真

田植えには元シェアメイトも参加してくれました! 2年ぶりの再会に喜ぶ娘。

予想外だったのは
「子どもに自然体験をさせてみたい」
というファミリーが参加してくれたこと。

確かにこのプログラムなら、
子どもたちはお米がどうやって育つのかを学ぶことができ、
大人は自分でつくったお米のオリジナル酒を飲むことができます。

大人だけでなく、子どもも楽しめるプロジェクトとして
機能するかたちとなりました。

小さな苗が育つ田んぼ。

小さな苗が育ってきました。海の見える景色が最高です。

石垣の草とりをする人々

石垣の草とりをする参加メンバー。草刈機でとりきれない雑草を手で刈っていきます。

7月の体験日は、石垣の草とりと、田んぼ内の雑草抜き。
1か月前に植えた苗は土に根を張り、ずいぶんしっかりしてきました。

人が田んぼ内を歩くと、土の中に空気が入ります。
ずっと水を張っていると酸素が足りなくなるので、
こうして田んぼ内の土を刺激してあげるだけで稲が呼吸しやすくなるのです。
また、稲の根に刺激が伝わり、成長が促進されるともいわれています。

棚田の風景

暑いけれど、山からの湧水で足元はひんやり。

青々とした稲から頭を出す子ども

夏には、お米の苗が子どもたちの顔くらいの高さまで成長しました!

8月の体験日は、夏だけのお楽しみ「海遊び」も開催! 
草とりのあと、みんなで近くの海へ行って夕方まで思いっきり遊びました。

夏の日差しでじりじりと熱くなった体を海でクールダウンさせる、
最高のご褒美です。
子どもも大人も大はしゃぎ。
楽しすぎてつい全力で遊んでしまい、
その日の夜は泥のように眠ってしまいました。

海で遊ぶ人々

田んぼから車で数分。「海が見える田んぼ」だからこそ楽しめる、夏の醍醐味です。

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打ち上げで盛り上がる話とは?

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田んぼ作業だけじゃない! 
楽しみ盛りだくさんの〈棚田のクラフトサケ計画〉

一般参加者の平井さんは、お気に入りの酒蔵に通いつめ、
“杜氏公認のファン”になるほど行動派のお酒好き。

そんな平井さんに感想を聞いてみると

「米づくりから参加できる日本酒づくりはまさに私の求めるプログラムでした。
田んぼでの作業は、足に触れる水の温度と
土のやわらかい感じがクセになりそうでしたね。
自分たちが植えた米がどう育ち、どんなお酒になるか。
それをメンバーで飲むのが1番の楽しみです!」

と笑顔で語ってくれました。

参加メンバーが乾杯する様子

〈LIBROM〉で乾杯! みなさん大好きなお酒の話が止まりません。

このプロジェクトの楽しいところは、お米づくり体験だけではありません。
田んぼで気持ちよく汗を流したあとは、
福岡市内の〈LIBROM〉に移動して、お待ちかねの打ち上げです! 

〈LIBROM〉の醸造所にはpubが併設されており、
酒づくりの現場を見学しながらお酒を飲むことができます。
蔵人から直接話が聞けるのもうれしいポイント。
「ここで仕込まれる自分たちのお酒は、いったいどんな味になるんだろう」
とイメージが膨らみます。

タンクが並ぶ醸造所と隣り合わせたパブの写真

酒づくりの様子を見学しながら、お酒の説明を聞く参加者さん。

2次会は、歩いてすぐの〈日本酒専門テイスティングバー百薬〉へ。
ここは、普段飲めないレアなお酒も
「時間無制限でテイスティング可能」という、お酒好きにはたまらない場所。

利酒師のオーナーにおすすめされた日本酒をあれこれ味見しながら、
自分たちのお酒はどんなテイストにしようか、
副原料は何を入れようか、と盛り上がりました。

日本酒やこだわりの酒器がたくさん並ぶ〈百薬〉の店内の様子

〈百薬〉には利酒師の店主が選んだ日本酒がずらり。

秋は稲の天日干しに使う竹刈り、稲刈り、
冬にはお酒の仕込みを行う予定です。
どんなお酒ができあがるのか、今から楽しみです!

・お酒が大好きな方

・自分の育てた米でお酒をつくってみたい方

・お酒好きが集まるコミュニティに参加されたい方

・棚田の風景がお好きな方

〈棚田のクラフトサケ計画〉は、まだまだ参加者を募集中です。
興味がある方はプロジェクトの詳細ページを覗いてみてくださいね。

information

〈棚田のクラフトサケ計画〉プロジェクト

開催月&内容:

・9月 竹刈り

・10月 稲刈り&天日干し

・11月 脱穀

・12月〜1月 お披露目イベント(予定)

※気候により変更となる場合があります。

参加料金:月額3,000円【年間36,000円一括払い契約】

(オリジナルサケ1本、棚田体験費、棚田保全費含む)

※大人1人につき未就学児1人まで無料。

 2人以上に増える場合は、1人あたり月1,000円の追加料金をいただきます。

 (お子様にはお酒のリターンはつきません)

※2023年6月〜2024年5月までの年間契約となります。

 途中から参加される方は、参加月〜2024年5月分までの料金をいただきます。

※米づくり体験は6月〜11月までの月に一度程度となります。

※田んぼ体験後の打ち上げ費・お披露目イベント参加費は別料金となります。

Web:棚田のクラフトサケ計画

申し込み:googleフォームより

information

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