下川町でエッセンシャルオイルをつくる
〈フプの森〉が山を買った理由とは?

森の香りのするトドマツで精油をつくる

2016年に山を買って2年が過ぎた。
山に友人たちとみんなで住めるような家をゆくゆくは建てたいという、
ぼんやりとした夢はあるものの、電気や水道をどうするのか、
冬の除雪はどうするのかなど懸案事項が多く、前には進んでいない。

唯一、わたしが行ったのは、総面積の12パーセントほどの部分に、
業者の方にお願いして植林をしてもらったことくらい。
特に今年は第三子がまだ小さいこともあって、なかなか山に行けず、
これといって何もしないまま時が過ぎている。

山を持っている人は、いったいどんな使い方をしているのだろう?
この場に住むというプラン以外にも、山の活用方法はあるはずだ。
そんな疑問を抱いて情報を集めていたときに、
北海道下川町の取り組みを知ることとなった。

北海道の北部に位置し、面積の約9割が森林という下川町では、
木質バイオマスエネルギーを積極的に利用したまちづくりが行われ、
全国からも注目を集めている。

ほかにも森林資源を活用しようとするさまざまな取り組みがあり、
特にわたしが興味を持ったのは、北海道を代表する樹種のひとつ、
トドマツから精油を抽出し、エッセンシャルオイルなどを製造している
〈フプの森〉の活動だ。

トドマツの葉から生まれたエッセンシャルオイルやルームスプレー。

トドマツの葉から生まれたエッセンシャルオイルやルームスプレー。

ハンドクリームやボディオイル、キャンドルなど、森を感じる暮らしを体感してほしいとつくられた〈NALUQ〉シリーズ。

ハンドクリームやボディオイル、キャンドルなど、森を感じる暮らしを体感してほしいとつくられた〈NALUQ〉シリーズ。

わたしの住む岩見沢市から下川町までは車で約3時間ということもあって、
なかなか行くチャンスがなかったのだが、
昨年の10月、ようやく〈フプの森〉のみなさんのもとを訪ねることができた。

お話をうかがったのは、この会社の代表取締役の田邊真理恵さんと
取締役の亀山範子さん。
1名の従業員とともに下川各地の森林に入り、
伐採を行ったときに出るトドマツの葉を採取し、それを釜で蒸して
精油と蒸留水をつくって、さまざまな製品を生み出している。

右から亀山範子さん、田邊真理恵さん、スタッフの安松谷千世さん。

右から亀山範子さん、田邊真理恵さん、スタッフの安松谷千世さん。

「フプ」とはアイヌ語で「トドマツ」という意味。
この木は国内の針葉樹の中でも、葉から精油が最もとれる樹種だそうで、
さわやかな森の香りがするのが特徴だ。

トドマツはもみの木の仲間。部屋に香りが広がると、森の中にいるようなリラックスした気持ちになれる。田邊さんはこの香りが大好きだそうで、モミエ社長と呼ばれている。

トドマツはもみの木の仲間。部屋に香りが広がると、森の中にいるようなリラックスした気持ちになれる。田邊さんはこの香りが大好きだそうで、モミエ社長と呼ばれている。

このトドマツの精油を使った事業の始まりは2000年。
下川町森林組合が事業化し、2008年にはNPO法人〈森の生活〉が引き継ぎ、
2012年にフプの森として独立した。会社設立に集まったのは、
10年以上続けてきたこの事業の歴代の担当者4名だった。

「集まったのは奇跡のタイミング」と田邊真理恵さんが語るように、
NPO時代から精油事業に関わっていた田邊さん以外のメンバーは、
一時下川を離れて別の仕事に就くなどしていたが、見えない力に動かされるようにして
2012年に再びこの地に集結し会社がスタートしたという。

田邊さんと亀山さんとともに会社設立メンバーとなったのは、
田邊さんの夫の大輔さんと、フリーの林業家としても活動を続ける陣内雄さん。
ふたりはアドバイザーとして、フプの森を支える存在となっている。

水蒸気でじっくり2時間かけて蒸留する。

水蒸気でじっくり2時間かけて蒸留する。

Recommend 注目のコンテンツ

Special 関連サイト

What's New 最新記事