連載
posted:2015.1.28 from:福島県 genre:食・グルメ
〈 この連載・企画は… 〉
地域ごとにさまざまな郷土料理がありますが、なかなか食べないし、伝えられていない。
コロカルはそれをちょっと心配してました。そんなときに郷土料理を後世に伝える全集が編集部で話題になり。
これを教科書に、いろんな人ともつながって、郷土料理を身近にする連載をしよう!ということに。
料理人・後藤しおりさんがアレンジした、家庭でおいしくカンタンに作れる郷土料理を、都道府県別に紹介していきます!
profile
Shiori Goto
後藤しおり
ごとう・しおり●実家は福島県で寿司屋を営む。ブータン料理店、野菜料理店などを経て、2012年7月に独立。世田谷を拠点にケータリング、ロケ弁、出張料理人として活動。不定期でアトリエでイベントなども行う。
http://gotoshiori.com/
photographer profile
Tetsuka Tsurusaki
津留崎徹花
つるさき・てつか●フォトグラファー。東京生まれ。『anan』『Hanako』など女性誌を中心に活躍。週末は自然豊かな暮らしを求めて、郊外の古民家を探訪中。コロカルで『美味しいアルバム』も連載中。
writer profile
Akiko Saito
齋藤あきこ
さいとう・あきこ●宮城県生まれ。コロカル編集部編集担当。好きな郷土料理は宮城県亘理町のはらこめし。
https://twitter.com/akiko_saito
郷土食を日本の隅々から掘り起こし、記録した名著
『日本の食生活全集』全50巻(農文協)から
料理人・後藤しおりさんが現代の家庭でもおいしく
カンタンに作れるよう再現したレシピを
お届けしている本連載。ぜひ一緒に作ってみましょう!
今回ご紹介するのは、『日本の食生活全集7 聞き書 福島の食事』
に掲載されている福島県の食事から。
福島県のハレのメニュー、「ひきなもち」です。
福島県は豊かな水田地帯があり、たくさんのお米がとれます。
お米が足りなかった昔も、毎日白米が食べられるほど。
それでもハレと日常をきちんと分け、「日常はできるだけ質素に」という
週間があるため、わざわざ麦を買って麦飯を炊いて食べていたそう。
そんな「米の国」の福島では、豊かなお米を使った「もち」も
食卓に頻繁に上る料理。
養蚕が盛んだった北部では、「蚕が眠っている間にもちをついて食べる」
と言われます。蚕を飼うのはとても手がかかる作業。
お蚕様が寝た合間合間にもちをついて食べ、力をつけていたんです。
そのほかに、お正月にはお嫁さんの実家へのみやげもち、
お雛様の菱もち、田植えのおやつの凍みもち、
春のもち草(よもぎ)入りの草もち、大豆入りの豆もち、
里芋入りのふくれもちなどなど、頻繁にもちを食べるんだそう。
そんな豊かな福島のおもちメニューから、
福島県出身のしおりさんが選んだのは「ひきなもち」。
大根、にんじん、油揚げを千切りにした醤油汁のおもちです。
「ひきなもちは小さな頃から食卓に出ており、
大好物でした。甘いおもちよりも断然こっち!
実家では、お正月で余ったおもちを使い切るのに
母がよく作っていて、普段の食卓にもよく出るメニューでした」
このひきなもちの汁には、根菜の旨みが
たっぷり入っています。
「作りおきしておけば、おかずや汁物の一品にもなります。
冷蔵庫に入れておいて翌日、冷たくなったものも美味しいです。
うどんを入れたり、七味を入れたり、日常的に食べていただきたいです」
根菜と、おだし、香ばしく焼いたおもちの
ハーモニーはおかわり必至。
それでは作ってみましょう!
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★福島 ひきなもち(4人前)
材料
もち … 4つ
大根 … 250g(通常サイズで10cm目安)
にんじん … 50g(通常サイズで5cm目安)
ごぼう … 3分の1本
油揚げ … 2分の1枚
だし … 2カップ
酒 … 大さじ3
醤油 … 大さじ3
塩 … 小さじ2分の1
酢 … 少々
出来上がり!
「食べる時に、一味や七味をかけて食べるとさらにおいしいですよ」(しおりさん)
簡単で味わい深く、普段のおかずにもおすすめ。
ぜひ日常のメニューに取り入れてみてください!
書籍情報
日本の食生活全集7 聞き書 福島の食事
著者:福島の食事編集委員会編
出版:農山漁村文化協会(農文協)
日本の食生活全集とは:おばあさんからの聞き書きで、各県の風土と暮らしから生まれた食生活の英知、消え去ろうとする日本の食の源を記録し、各地域の固有の食文化を集大成する書籍。四季の食事に加えて、救荒食、病人食、妊婦食、通過儀礼の食、冠婚葬祭の食事等を記録している。
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