連載
posted:2024.12.24 from:東京都台東区 genre:買い物・お取り寄せ
PR 宝酒造
〈 この連載・企画は… 〉
各地のライターが、全国のまちで思わずその場で缶を空けたくなるほど魅力的な「焼酎ハイボールのお供」を見つけます。
“お供”とはご当地グルメに限らず、風光明媚な景色や地域の方々との対話なども立派な酒のアテ!
焼酎ハイボールを通してそのまちの多面的な魅力を発信していきます。
writer profile
Daiji Iwase
岩瀬大二
いわせ・だいじ●国内外1,000人以上のインタビューを通して行きついたのは、「すべての人生がロードムーヴィーでロックアルバム」。現在、「お酒の向こう側の物語」「酒のある場での心地よいドラマ作り」「世の中をプロレス視点でおもしろくすること」にさらに深く傾倒中。シャンパーニュ専門WEBマガジン『シュワリスタ・ラウンジ』編集長。シャンパーニュ騎士団認定オフィシエ。「アカデミー・デュ・ヴァン」講師。日本ワイン専門WEBマガジン『vinetree MAGAZINE』企画・執筆。
credit
撮影:池ノ谷侑花(ゆかい) 料理:加瀬まなみ
全国で、思わずその場で缶を開けたくなるほど魅力的な
「焼酎ハイボールのお供」を見つけるこの連載。
今回は、酒ライターの岩瀬大二さんがアテンドする、
上野アメ横商店街、通称「アメ横」編です。
「アメ横」。
その名は場所を示すだけではなく、日本の冬の歳時記でもある。
JR上野駅からJR御徒町駅の間、
約500メートルの間に400店あまりの商店や飲食店がひしめくが、
年末のニュースでもおなじみの鮮魚店、各ジャンルのプロ御用達の食の専門店、
昭和から男子憧れのミリタリーやレザーを扱う店に、
最新のK-POP風ファッションの店、
飲食店では角打ち、酒場にガチ中華系、中近東系が混在。
ジャンルもそうだが、歩んできた歴史の多種多彩さもある。
年末の歳時記のイメージ通りのアメ横もしっかりあるし、
もしかしたらあなたの知らないアメ横もある。
今回のアテ探しは、そのなかから、
アメ横の歴史を見続けてきた老舗の3軒をピックアップ。
伝統の豆類からマニアにも人気の高いスパイスを扱う〈大津屋〉。
年末ならではの口上も楽しい、鮮魚・海産物の〈三幸商店〉。
ナッツとドライフルーツの目利き〈小島屋〉。
老舗と書くと、古めかしい感じもするが、
いずれの3軒も、時代とともに、その変化とともに歩んできた古くて、新しい店だ。
まずは大津屋へ。
戦後、闇市から派生したといわれるアメ横だが、
そのころから豆類を専門に扱う店として創業した店で、
次第にスパイス類の専門店としても注目を集めた。
「コロナの時期には、おうちカレーをスパイスからつくりたい、
という一般のお料理好きの男性が増えました」
というのは代表で4代目の竹内森英さん。
続けて4代目の母で3代目を支えてきた敦子さんが、
スパイスに力を入れ始めたころを振り返る。
「バブルの頃、パキスタンやイランの人たちが、
ハラールの食材を探しに来るようになったんです。
そこで主人(先代)が欲しいスパイスを聞きながら、
関係先のルートから仕入れ始めたのがきっかけ。
それから口コミで広がっていきましたね」
ハラールはイスラム教で許された食材や料理のこと。
最近ではよく聞く言葉だが当時は「初耳」と敦子さん。
「パキスタンの人がカレーを食べるなんて知らないですし、
スパイスのこともわからない。
しかもこちらはヒンディー語なんてわからないですし、
あちらは、日本語はもちろん英語もわからない(苦笑)」
アチャール? あ、漬物のことか。干しブドウはキスミス。
カロンジって言っているのはブラッククミンのこと……。
ひとつひとつ紐解き、ノートに記して、またコミュニケーション。
それを繰り返し、積み重ねていった結果が、
「久々に来られたお客さんが、自分の国のバザールに帰ってきたみたいだ、
なんて言ってくださって、うれしいですよ」
本場のエスニック料理店や名だたる有名店も取引先。
加えて「お好み焼き屋さん、ハンバーグ屋さん、最近だとクラフトのコーラも」(竹内代表)
今までなかったスパイスがここにあればアイデアは膨らむ。
選んだのは大津屋オリジナルのカレースパイスミックス。
今回の焼酎ハイボールのアテは、
カレースパイス×魚介のコラボでいってみたい。
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ということで、こちらも戦後早々、闇市時代からこの地で創業した三幸商店へ。
訪れたのは11月末だが店頭には、早くも年末年始らしい商品も並ぶ。
特に蟹、マグロはこの店の看板。
「はいっ、マグロ、1000円からぁ」の声も心地よい。
やはりアメ横といえばこの口上だ。
3代目にあたる瀬上大輔専務は、
「昔ながらの対面販売、値引きの楽しさ、
それからハダカ売りというのは伝統ですね」という。
ハダカ売りは、過剰な包装やパック詰めなどはせず、
商品を店頭にそのまま並べるやり方。
最近ではSDGs的な面からも話題になっているが、
考えてみれば洋の東西を問わず、市場では普通に行われてきたことだ。
札を見れば、函館、下田、富津、石巻と、見慣れた日本の港の名前と同じように、
マレーシア、ベトナム、台湾、エクアドルにアルゼンチンと、世界各地の名前も並ぶ。
仕入れる海は変わっても、時代のいいモノを集めて、
それを小気味よく掛け合いをして安値で売る。
戦後間もなくの時代から、何世代が過ぎても変わらない。
「世代が変わっても案外お客さんも変わらないです。
なぜか、この時期になれば来てくれるという感じです」
クリスマスソングのように、
アメ横の口上は季節を連れてくる。
メインのカレースパイスと魚介は決まった。
サイドには小島屋の
ナッツとドライフルーツを添えよう。
さまざまなブランドとの魅力的なコラボ展開でも知られるが、
こちらもアメ横の歴史の証人。
3代目で現代表の小島靖久さんは、子どもの頃からここが遊び場。
「昔から変わらないのは、お店や商品、店員がお客さんに近く、
歩いていて楽しい発見のある商店街であることですかね」
小島さんによればアメ横の特徴は、
チョコや魚など“たたき売りでお買い得”という面と、
ナッツ、スパイス、食材、鰹節や海苔、スニーカーなど、
“専門店もそろっている”という両面が混在していることだという。
「加えて最近は、レトロな居酒屋、喫茶店に、
色々な国の食べ物、イートインが混じって、
昔とは別の多種多様、玉石混交になってきました。
時代とともに変わっていくある意味、
文化や商品のぐちゃっとしたラビリンスのような状態を、
楽しんでいただけたらうれしいですね」
そんな話を聞きながら店頭に並んだ品ぞろえを見れば、
小島屋の中だけでも世界中の美味のラビリンスだ。
「あれもあるんだ、これもあるんだーと、
目移りしながら楽しんでいただけたらと思っています」
焼酎ハイボールとの相性を考えつつだと、余計に目移りが止まらず……。
結局あれこれとドライフルーツのいちじくやナッツ類をまとめ買いだ。
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アメ横というラビリンスから抜け出て、
さあ、アテづくり。
今回はスペイン料理が得意な僕のパートナーとともに。
大津屋のカレースパイスと、三幸商店のエビ、イカで、
パエリア風に仕上げる。
前々から焼酎ハイボールと、カレースパイスの組み合わせはアリかなと考えていたが、
これが正解。
スパイスは「大津屋のスタンダード」と代表は言っていたがしっかり刺激的で辛い。
これが魚の出汁の甘味、旨みたっぷりのパエリアとあわせると、
複雑さをともない味わいが深くなり、
そこに焼酎ハイボールが絡むと、極上のコクに。
そして不思議。爽やかな余韻が。
深み、清涼感、再びスプーンを口に運べばまた複雑さとスパイシー。
大ぶりのエビとの相性も食感を含めて、あう。
カレーライスとなると酒飲み的には、重いけれど、このアレンジはアテでいける。
アメ横に再び思いを馳せる。
敗戦の絶望、夢と不安が集まる玄関口としての上野。
高度経済成長に乗った人、取り残された人。
そして不安も大きい今。
このラビリンスは、いつの時代もどんな人にも扉を開けて待っている。
寂しさや辛さを抱えていても、活気の中で、
「来年も生きていくんだ」
そんな元気をもらえるような気がする。
年末、アメ横に来る人の期待感はいつだって変わらない。
ガツンとくる辛口ドライチューハイ!
昭和20年代後半の東京・下町の大衆酒場で生まれた
元祖“焼酎ハイボール”の味わいを追求。
ベースアルコールに伝統の宝焼酎を使用することで実現した、飲みごたえと
キレのある辛口な味わいに加え、プリン体ゼロ※1、甘味料ゼロ※2、糖質ゼロ※3
といった機能面もうれしいひと缶です。
※1 100ml当たりプリン体0.5㎎未満をプリン体ゼロと表示。
※2 食品添加物としての甘味料は使用していません。
※3 食品表示基準に基づき、100ml当たり糖質0.5g未満を糖質ゼロと表示。
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