連載
posted:2012.7.26 from:兵庫県洲本市 genre:食・グルメ
〈 この連載・企画は… 〉
みんなどんな朝ごはんを食べているのか? 暮らしの大切な一場面だから、
おいしい朝のメニューを全国さまざまな場所で集めてみます。その土地ならではもあれば、新しいスタイルも!?
editor's profile
Yu Ebihara
海老原 悠
えびはら・ゆう●エディター/ライター。埼玉県出身。海なし県で生まれ育ったせいか、海を見るとテンションがあがる。「ださいたま」と言われると深く深く傷つくくせに、埼玉を自虐的に語ることが多いのは、埼玉への愛ゆえなのです。
credit
撮影:在本彌生
兵庫県洲本市で「楽久登窯カフェ」を営む、本白水美帆子さん。
美帆子さんが家族につくる朝ごはんは、暑い夏にこそ食べたい朝ごはんだ。
この日食卓にのぼったのは、淡路島五色産のごはん、なすとみょうがのみそ汁、
キスの干物、赤と黄のミニトマト・おくら・キュウリ・大葉のさっぱりサラダ、
自家製ところてん、五色産の海苔、カフェの常連さんからいただいた梅干し。
「旬のものはやっぱりおいしいですよね。積極的に献立に加えています」と美帆子さん。
サラダに使われているミニトマトやキュウリや大葉など
夏野菜の多くは自分の畑からその日収穫したもの。
「採れたての旬の野菜をバランスよく」は、
朝ごはんづくりで美帆子さんが一番気を使っていることだと言う。
夏のみ食卓にあがるキスの干物は、美帆子さんのお母さんのお手製。
「釣ってきたキスを開いて塩をして、夏場は冷蔵庫に入れるだけ。
ほんと簡単にできるんですよ」
簡単に、と美帆子さんは言うが、
日持ちがしないキスを日常的に食卓に登場させるとなると、
やはり海が近いという地の利があってこその一品だ。
中央には、ほんのひとくちだけ添えられたところてん。
これが食卓に涼しげな印象を与える。
このところてんも手づくり。
しかも、ところてんの原料となる「てんぐさ」を、
近隣の海岸でお散歩がてら拾ってくるのだと言う。
「売られているものと違っていっさい臭みがないんです。
それだけ手間をかけて、下処理をしています。
あと、一般的にタレは三杯酢や黒蜜など、甘みを入れると思いますが、
さっぱりと食べるために、砂糖を加えない二杯酢でいただきます」
このところてんは、美帆子さんのお子さんの雪羽ちゃんも大好物。
ほとんどコシがない滑らかな食感で、酢の酸味が心地よい。
しょうがのすり下ろしをちょこんと乗せてかき込めば、
食欲が落ちる暑い季節も乗り越えられそうだ。
美帆子さんの弟で、陶芸家の西村昌晃さんの器も彩りを添える。
手にしっとりとなじむこの器も淡路島の土でできたもの。
そして淡路島の豊かな土壌が育んだ野菜がその器に盛られるので、
器と料理に一体感があるようだ。
淡路島の恵みが存分に味わえたワンプレート。ごちそうさまでした。
profile
MIHOKO MOTOSHIROMIZU
本白水美帆子
家族とともに、兵庫県洲本市で「楽久登窯カフェ」を営む。一児の母。
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