益子なのに〈ビルマ汁〉? 戦後の家庭料理が地元グルメに

47都道府県、各地のビールスポットを訪ねます。
栃木でコロカルが向かったのは、益子焼で全国的にも有名な益子町。

忘れられないビルマの味を再現

益子焼で有名な栃木県の益子町で、ここ数年で一気に人気が出てきた
地元のグルメがあります。
その名を、ビルマ汁! なぜ益子でビルマ?
若い世代はビルマという言葉にすらピンとこないかもしれません、
現在の国名はミャンマーですから。
とはいえ、最近になって無理矢理つくられた料理ではなく、
何十年も前から、“ある家庭”に伝わっていたものなのです。

さかのぼること70年以上、当時のビルマに出征していた飯塚潤一さん。
終戦して帰国後、ビルマで食べた料理が忘れられず、
日本でその味を再現しようとしました。それがビルマ汁です。
かつては飯塚家の家庭料理として食卓の定番でした。
親戚や近所の人には「おいしい」と知られていたものの、基本的には家庭料理。
それが数年前から益子の名物として徐々に広まってきたのです。

「昔は近所の農家から、トマトやナスを食べ切れないほどもらって、
どうやって食べようかと思えば、ビルマ汁にしたのよ。月に何回かはビルマ汁でしたね」
と言うのは、飯塚潤一さんの義娘の飯塚フミさん。

「そのうち、農家の人も『ビルマ汁つくってください』と
野菜を持ってくるようになった」
と言うのは、飯塚潤一さんの長男である飯塚洋さん。

珍しいものはなく、どこにでもある食材。

現在、益子町では17店舗がビルマ汁を提供しています。
各店舗ごとに味つけはアレンジされていますが、やはりオリジナルの味が気になります。
ということで、さっそく、フミさんにつくり方を教えてもらいました。

簡単な家庭料理。だからこそ継続は力なり!

まずは材料を用意。
豚バラのほか、なす、いんげん、じゃがいも、人参、玉ねぎ、鷹の爪が基本。
そしてビルマ汁にとって最重要なのがトマトです。

なすは皮をタテに筋状に剥きます。

トマト以外、すべての食材を入れて火にかけます。

水が入った鍋に、トマト以外の切った具材を入れ、塩を適量とサラダ油をひと回し。
フタをして煮込みます。煮立ったらアクをとり、だしを入れます。
野菜に火が通ったら、トマトを入れます。
フミさんは大胆に手でちぎってイン。だから完熟がベター。

「なんかおいしそうでしょ(笑)」
はい、ワイルドであり家庭っぽく素朴でもあり、
トマトエキスも出て、よりおいしくなりそうです。
味つけにカレー粉を少々。味を見ながら塩で調整しましょう。

アクを丁寧にすくう。

トマトは豪快に! 味の決め手です!

「70年前の日本には、トマトを煮るという感覚はなかったでしょう」(洋さん)

「最近の野菜は甘くておいしいんだけど、逆に私が教わった頃の味じゃないの。
だから塩は昔より少し多めに入れています」(フミさん)

農業が発達して野菜がおいしくなったけど、昔からの料理は味が変わってしまう。
でもフミさんは、毎年必ずビルマ汁をつくっているので、
毎年ちゃんと味つけを覚えています。それが奏効し、塩加減はバッチリ。

いい感じにグツグツしてきました。

こうして完成。さっそく、いただきます! 

writer profile

大草朋宏 Tomohiro Okusa
おおくさ・ともひろ●エディター/ライター。東京生まれ、千葉育ち。自転車ですぐ東京都内に入れる立地に育ったため、青春時代の千葉で培われたものといえば、落花生への愛情でもなく、パワーライスクルーからの影響でもなく、都内への強く激しいコンプレックスのみ。いまだにそれがすべての原動力。

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