連載
posted:2016.6.3 from:大阪府大阪市 genre:食・グルメ
sponsored by KIRIN
〈 この連載・企画は… 〉
その土地ならではの風土や気質、食文化など、地域の魅力を生かし
地元の人たちと一緒につくった特別なビール〈47都道府県の一番搾り〉。
コロカルでは、そのビールをおいしく飲める47都道府県のスポットをリサーチしました。
ビールを片手に、しあわせな時間! さあ、ビールのある旅はいかがですか?
writer profile
Taro Fukuyama
福山嵩朗
ふくやま・たろう●編集者/ライター。iPS細胞の山中伸弥教授、高畑充希と同じ東大阪出身。インドの知らないお宅においしいカレーのレシピをもらいに行ったり、メキシコの知らない工場でテキーラ蒸留を手伝ったり、丁稚のようなことをしています。
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撮影:渡邉一生
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47都道府県、各地のビールスポットを訪ねます。
大阪でコロカルが向かったのは、大阪のまちを代表する名建築です。
食いだおれのまち大阪には、串カツやお好み焼きといった
ローカルグルメがまち中に溢れています。
しかし、今回ビールの相棒となるのはグルメではなく、建築。
実は、大阪には心躍る名建築がたくさんあるのです。
この日、名建築を一緒に回ったのは、大阪のバンド〈neco眠る〉の森雄大さんと
大阪発のカルチャーマガジン『IN/SECTS』の編集者である中村悠介さん。
おふたりとは、通天閣で待ち合わせ。
通天閣があるエリアは通称・新世界と呼ばれる下町。
近年は観光名所として、お店がどんどん増えています。
通天閣へと続くメインストリートの両側には、串カツ屋台やふぐ料理店、
純喫茶が建ち並び、ド派手な看板たちが「ウチが一番やで~」とアピール。
久しぶりに訪れたふたりは、バージョンアップするまち並みに
大阪人の商魂のたくましさを実感したようです。
通天閣を設計したのは、東京タワーと同じ建築家の内藤多仲氏。
どこか凱旋門の上にエッフェル塔を足したようなユニークなデザインですよね?
塔の高さは100メートル。
東京スカイツリーなどほかの高層タワーと比べると、通天閣は少し低め。
そのぶん、展望台からの眺めは格別。
大阪のまち並みがグッと近くに感じられます。
「展望台にのぼったことはないけど、近くのライブハウスでバイトしてたときは、
毎日、通天閣の上の天気予報サインを見てました」と森さん。
実は、通天閣の塔頂部には丸いネオンが設置されていて、夜になると発光。
そのネオンの色で明日の天気がわかるようになっているのです。
気象台と通天閣が専用回路で結ばれているとのこと!
昭和風情漂うフォルムのなかに、意外なハイテク技術が隠されていました。
通天閣のふもとにある〈新世界市場〉は、アジア情緒たっぷり。
電通関西支社の若手クリエイターらによる
〈商店街ポスター〉プロジェクトでつくられた、商店街のポスターが飾られています。
さて、大阪のシンボルにご挨拶したところで、
大阪ならではのオンリーワン建築へと向かいましょう。
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野茂英雄のトルネード投法、ベルトコンベアをヒントにした回転寿司。
中小企業の英知を結集した人工衛星〈まいど1号〉……。
これまでにも、いろんな分野において、大阪人の“よかれ”な発想が
強烈なオリジナルを生み出してきました。それは建築においても同じ。
大阪万博が開催された1970年に建てられた船場センタービルは
中はショッピング街や飲食店街、繊維卸店街などに分かれる大規模な商業施設。
ビルの全長は930メートルあり、“約1000メートルの散歩道”として親しまれています。
しかし、ビルの真上には高速道路が!
さらに大通りがビルの間を貫通する、大胆すぎる構造になっています。
1993年、南船場に出現したオーガニックビルは、まさにネーミング通りの佇まい。
9階建てのビルの外壁には132個の植木鉢が取りつけられています。
植木鉢の形状や植物の種類はさまざまで、水や肥料はコンピューター制御で
細い管から各鉢へと行き渡るようになっています。
お次は、ふたりが“大阪で一番好きな建築”と口を揃える味園ユニバースビルへ!
味園ユニバースビルは1956年創業の総合レジャー施設。
螺旋状のスロープを上がった2階には45のバーがひしめき、
3階はマッサージルーム、4階はホテル、5階が宴会場。
5階で宴会したあとは2階のバーで飲み、
3階のマッサージに行ってから4階で泊まる……という
1棟で一夜が完結できる構造になっています。
いまは音楽ライブなども行われる地下の〈ユニバース〉は、以前キャバレーでした。
現在はキャバレー時代の内装のまま、貸しホールとして営業。
1800人キャパのフロアは宇宙をイメージしていて、
衛星をかたどったボール状の照明が吊り下がり、
ステージには数えきれないほどのネオン管が配されていて、
スペーシーで昭和レトロなゴージャスさ。
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実は、味園ユニバースビルの設計は建築家ではなく、創業者である志井銀次郎氏本人。
志井氏が頭に思い描くアイデアをスケッチし、
社内の職人たちがそれをもとにつくったといいます。
創業から60年経ったいまも、東京からの出張族や
海外からの旅行客が詰めかけるスポットであり、
繁華街・ウラなんばのなかでも独特の存在感を放つ味園ユニバースビル。
個性に富んだ各フロアと複雑な構造、時代に逆行するかのように
高圧電流をバンバン流すネオンの眩しさ。
すべてをひっくるめて、中村さんは「大阪が誇る秘宝建築」と称します。
大阪を歩いてきたこの建築さんぽ、ふたりがフィナーレとして、
ビールのおいしい場所に選んだ建築は梅田スカイビル。
地上40階建て、高さ173メートルのビル2棟が高層部で連結する、
世界初の連結高層ビルとして有名ですが、
ビルの周囲には緑あふれる遊歩道や水辺にはベンチがあり、
ダイナミックなスケールを身近に感じながら、くつろぐことができるのです。
建てられた時代は違っても、ビジネス街や繁華街、幹線道路沿い……と、
すべての建物がいまも大阪のまちでしっかりと機能していました。
「普段、生活しているとなかなか上を見あげることがないし、
意識して建築を見ることがなかった」というふたりも、
数々の名建築をめぐり、そのユニークさにあらためて感動した模様。
皆さんもビール片手に建築が持つ世界観に酔いしれてみませんか?
※一番搾り 大阪づくりは、大阪の誇りを込めてつくった、大阪だけの味わいです。
問合せ/キリンビール お客様相談室 TEL 0120-111-560(9:00~17:00土日祝除く)
ストップ!未成年者飲酒・飲酒運転。
information
生きた建築ミュージアム
今回ご紹介した建築は、大阪市に「生きた建築ミュージアム・大阪セレクション」として選定されています。「生きた建築」とは、歴史と文化、そして市民の暮らしぶりを支えつつ、時代に合わせてさまざまなかたちで変化・発展しながら、いまも生き生きとその魅力を物語る建築のこと。大正時代のモダンな洋館や、高度経済成長期に建てられたビル、最新技術を駆使した現代建築など、各時代を代表する魅力的な「生きた建築」が集積する大阪のまちは、まさに生きた建築ミュージアムなのです。
公式ツイッター:@ikitakenchiku
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