連載
posted:2016.6.3 from:千葉県いすみ市 genre:食・グルメ
sponsored by KIRIN
〈 この連載・企画は… 〉
その土地ならではの風土や気質、食文化など、地域の魅力を生かし
地元の人たちと一緒につくった特別なビール〈47都道府県の一番搾り〉。
コロカルでは、そのビールをおいしく飲める47都道府県のスポットをリサーチしました。
ビールを片手に、しあわせな時間! さあ、ビールのある旅はいかがですか?
writer profile
Tomohiro Okusa
大草朋宏
おおくさ・ともひろ●エディター/ライター。東京生まれ、千葉育ち。自転車ですぐ東京都内に入れる立地に育ったため、青春時代の千葉で培われたものといえば、落花生への愛情でもなく、パワーライスクルーからの影響でもなく、都内への強く激しいコンプレックスのみ。いまだにそれがすべての原動力。
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撮影:小尾淳介
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Supported by KIRIN
47都道府県、各地のビールスポットを訪ねます。
千葉でコロカルが向かったのは、サーフショップが建ち並ぶ太東エリア。
かつてよりサーフィン、特にロングボードのメッカである千葉の太東エリア。
数軒のサーフショップが建ち並ぶなか、
オープンして1年あまりの新しいショップ〈YR〉があります。
ともにプロサーファーである瀬筒雄太さんと良子さん夫婦によって開店しました。
サーフグッズの販売、サーフィンスクール、カフェスタンドなどを展開しています。
この場所では、かつて良子さんが〈SUPER PRETTY COZY SHOP R〉という
サーフショップを営んでいましたが、結婚を機に
ふたりのショップ〈YR〉としてリニューアルしました。
良子さんは東京生まれ。両親が太東や東京でサーフショップを経営していました。
その後、移転・閉店などを経て、現在の場所にショップをオープン。
何もわからない状態の良子さんに託されたといいます。
「子どもの頃から毎週末のようにサーフィンをしに太東には来ていました。
そして高校卒業後、こちらに引っ越してきました」(良子さん)
一方、雄太さんは、福岡出身。中学卒業後に単身で太東に移住し、その後、鎌倉へ。
良子さんとの結婚を機に、再び太東に戻ってきました。
「あまり都会に住むのが得意ではないので、僕の地元の福岡か、
当時住んでいた鎌倉か、千葉の太東か、という選択肢がありましたが、
太東が一番のんびりできそうだったし、
ここにはすでにベースがあったというのは大きいですね」と言う雄太さん。
そうしてふたりの思いが詰まった〈YR〉を昨年オープンさせます。
「何を売るにしても、どんなサービスを提供するにしても、根本にあるのは
“楽しんでもらいたい”ということ。それが大きなテーマですね」(良子さん)
雄太さんのサーフィンスクールもあります。
プロサーファーとして10代の頃から活躍していた雄太さん。
プロである以上は、メーカーからスポンサードを受け、
営業やプロモーションに協力するなど、広告塔としての役割があります。
そして憧れられる存在であることも求められます。
しかしそういった役割を自分が担うことに対して、少し疑問を感じ始めていました。
「いろいろな場所に行きますけど、実際にサーファーたちと接して、
コミュニケーションをとって一緒にサーフィンを楽しむ、という機会が
すごく少ないと感じていたんです。相手もこちらを“プロ”として一線を引いて見てくる。
でも、もっと実際に会って、話して、伝えていきたい。
僕は何かつまらなかったんですよね。だから実際にお店に立ち、
スクールもやりたいと思ったんです」(雄太さん)
スクールは午前と午後の2回。まったくの初心者も教えていますが、
雄太さんが力を入れているのは、サーフボードもウェットスーツも持っていて、
ビギナーの段階から伸び悩んでいる人です。
「僕はロングボードを教えていますが、その窓口が思ったよりも少なく、
基礎から丁寧に教えているところはあまりないんです。
ギアを揃えたはいいけど、その先どうしていいかわからないで
宙ぶらりんなサーファーが多いと思いました。
あとロングボードは、波に乗りやすいので、ほかのサーファーから
“波に乗り過ぎだよ”と非難されることも多いんです。
でもそれはすごくもったいない話。ちょっとポイントをつかむだけで、共存できます。
そういう人たちを対象に教えたい。技術的なことだけでなく、
もっとサーフィンを楽しめる内容を提案していきたいんです」(雄太さん)
サーフィン中は、波の取り合いがよく発生します。
初心者は余裕がないので、周りへの配慮を欠き、わざとではなくても、
ほかのサーファーの邪魔をしてしまうことがよくあります。
それが怖くてやめてしまう人も多く、サーフィンの楽しさを
失ってしまうのがもったいないというのです。
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お店にはウッドデッキが2か所あり、店舗の奥の部屋は畳になっています。
ふたりから出る雰囲気と相まって、全体的にのんびりとくつろいで、
長居してしまいそう。内装は、雄太さんが鎌倉で働いていた
セレクトショップ〈MIDTIDE〉を施工した人に相談しました。
「まったく知らない人に頼むという感覚はなくて、
知り合いやサーフィンでつながっている人に頼んだほうが、
僕たちのイメージを共有しやすいですよね。
だから最初は具体的な話よりも、イメージを伝えて相談しました。
そこでせっかく畳があるのだからと、このようなかたちになったんです」(雄太さん)
油断すると寝てしまいそうになる畳空間。
常連さんなどは、かなりゆっくりしていく人が多いようです。
「波があまりよくない時間帯とか、真夏でずっと外にいると
日焼けしてしまう日などは、みんなゆっくりしていかれますね。
僕たちも、そういう空間で話ができたほうが、距離を縮められるし、
突っ込んだ話もできます」(雄太さん)
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YRでは、予約をすれば良子さんのお弁当をいただけます。
終日がっつりサーフィンしたいときなど、テイクアウトするのにぴったり。
自ら「料理と波乗りしかしてきていない」というほど、料理上手です。
高校では調理科を卒業、その時点で調理師免許を取得。
その後、さまざまな料理店などで働くなど飲食業をこなしてきました。
しかし、そういった経験以上に良子さんの食に影響を与えたのは、
世界中でのサーフトリップ体験でした。
「世界中のサーフタウンに行くと、日本よりもかなり
オーガニックなどの食文化が進んでいるんです。
そこで食べて衝撃的においしかったもののほとんどが、
シンプルな味つけの料理だったんです」
だから良子さんの料理は「ほとんど塩とこしょうしか使ってない」という、
シンプルな味つけのものばかり。
それは結果的に、素材の味を生かす料理になっています。
「塩とこしょう、もしくはちょっとした薬味。
私はそういった味つけをすごくおいしいと感じるんです。
素材を生かしたいというよりも、根本的にそういう味つけが好きなんです。
ただしその場合、たしかに素材自体がおいしくないと、
塩だけでは味は引き出せませんよね。
おいしい土で育った野菜は、それだけですごくおいしいです。
もしそういう野菜に出会ってこなかったら、
まったく違う味つけをしていたかもしれません」(良子さん)
食材は、なるべく地元から仕入れていると言います。
「畑から買うと、必然的に旬の野菜を仕入れることができます」と、季節感のある料理。
今回つくってもらったお弁当も、ひとつずつ旬が意識されていました。
「べビーコーン、スナップエンドウ、にんじん、ズッキーニのグリル。
すべていまが旬の野菜ですね。もうすぐ旬は終わってしまうんですけど
あやめ雪カブの塩もみは、サラダ感覚で。
ほとんどの野菜は、一宮の無農薬農家から仕入れています。
あとは東金の甘いさつまいものチップス。
グレープシードオイルを使っているので、ぜんぜん油っこさがないです。
あとは新玉ねぎと鶏の胸肉、しいたけ、ショウガを叩いて、
大根とシソでサンドして焼いたもの。餃子みたいなハンバーグみたいな。
おむすびは、今回はグリルとかお肉を使ったので、
シンプルに梅とゴマです」(良子さん)
現在はお弁当やケータリングなど、予約注文のみ受けつけていますが、
かつてはちゃんとメニューがあり、料理を提供していました。
しかしそうすると、売れ残りを廃棄しなくてはなりません。
それを目にするのがつらくなってしまったと、良子さんは言います。
「自分たちでも食べきれない量がどうしても出てしまうんです。
その余ったものばかり、毎日食べていたときもありました。
お店の料理をつくることに意識がいきすぎて、
自分たちの食事がおろそかになってしまっていたんですね。
だから本当に必要なことを見直して、私たちふたりが健康的に生きていくという、
基本に戻ろうと思ったんです。地元の食材でこんなものができるよって
みんなに知ってもらいたかったんですけど、
少し立ち止まって、自分たちに向きあってみました。
そして廃棄の出ない予約のお弁当のみにしたんです。
もちろんお弁当でも、地元食材料理の提案はできますしね」(良子さん)
千葉でショップをオープンし、充実したライフスタイルを送っているというふたり。
縁側ともいえるウッドデッキは、目の前に緑が広がる空間。
ここで、仕事終わりにビールを一杯やるのは、雄太さんにとって大切なひととき。
ときには炭火を使ってパパッと野菜を焼いたり、厚揚げを焼いたり。
特別なBBQではなくて、こんなことが日常の夕食。
ふたりの和やかで明るい雰囲気が感じられるYRで、
この夏のサーフトリップ、いかがでしょうか?
※一番搾り 千葉づくりは、千葉の誇りを込めてつくった、千葉だけの味わいです。
問合せ/キリンビール お客様相談室 TEL 0120-111-560(9:00~17:00土日祝除く)
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