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勝手に作る商店街サンド:
東京都・町田駅前ワークショップ編

LOVE、商店街
vol.009

posted:2015.8.29   from:東京都町田市  genre:食・グルメ / 活性化と創生

〈 この連載・企画は… 〉  ひとつの商店街(地域)をねり歩きながら、パンと具材を集めて勝手にサンドイッチを作る旅。
そこでしか食べられないオリジナルなサンド、果たしてどんなものができるのか?

writer profile

Kozakai Maruko

小堺丸子

こざかい・まるこ●東京都出身。読みものサイト「デイリーポータルZ」ライター。江戸っ子ぽいとよく言われますが新潟と茨城のハーフです。好きなものは犬と酸っぱいもの全般。それと、地元の人に頼って穴場を聞きながら周る旅が好きで上記サイトでレポートしたりしています。

credit / note

協力:町田市

商店街サンドとは?

「商店街サンド」とは、
ひとつの商店街(地域)で売られているパンと具材を使い、
その土地でしか食べられないサンドイッチを作ってみる企画。
必ずといっていいほど美味しいものができ、
ついでにまちの様子や地域の食を知ることができる一石二鳥の企画なのだ。

今回は、老若男女が集う賑やかなまち、東京都町田市にやってきた。
実は商店街サンドを町田市でやるのは今回で2回目。(前回の様子はこちら
なぜ再訪することになったかというと、
「まちだ自慢ミーティング」という、町田市を応援する人たちが定期的に行っている会で、
商店街サンドを一緒にやってみたいとお声がかかったからだ。

まちだ自慢ミーティング会場は市役所。槇文彦さんという有名な建築家がデザインしたというモダンで自然がいっぱいの建物。できてまだ3年、ピカピカだ。

平均年齢60歳の「オトナ」たちと一緒に作る!

前回、埼玉県川口市でやってきたワークショップ(こちら)では、
平均年齢10歳くらいの子どもたちとサンドを作った。
それが今回はなんとその6倍の、
平均年齢約60歳の方々と一緒に作ることに。
時折奇声を発するような元気な子どもたちとのサンド作りも
どうなっちゃうのか心配だったけど、
今回の大人すぎるメンバーでのワークショップもどうなるのか予測不能だ。

急に振り切りすぎじゃないか、と驚きつつ
どんな違いが出るものか楽しみである。

今回の自慢ミーティングの目的は「自分たちで町田らしさを見つけよう」というもの。商店街サンドはその企画例として紹介された。

当日の参加者は17名。
市役所の方々の挨拶から始まり、
進行役の方によって今回の目的が説明された。
みんなで商店街サンドを体験して町田のまちをもっと知ること、
そして同じように、町田の魅力をほかの地域の人に知ってもらうアイデアを
自分たちでも考えてみよう、というものだ。

チーム分け

動きやすいように4~5人にチーム分け。その中に私も混ぜてもらった。

大人チーム3組と、30代までの若者チーム1組に分かれた。
私が入ったチームには
町田のまちづくりにたくさん関わっている方が複数いて、
町田への愛をさっそく感じた。
もちろん、純粋にサンド作りの企画を楽しみにして来てくれた方もいる。

ひとまずみんなで駅前へ。町田について知らないことがないのでは、というお母さん(井上さん)が積極的にお店を案内。

いざ買い物へ!

買い物の時間は1時間半と決め、ぞろぞろと駅前に向かった。
買うエリアは自由なのだけど、やはり食材は駅前に揃っているのだ。
なかには以前のミーティングで顔見知りの人もいるようだが、
初めて参加する人も多い様子。
それでも、町田をよく知る人たち同士なので
どの辺りに住んでいるのか聞いたりと話の取っ掛かりのハードルは低く、
会話を楽しみながら向かった。

賑やかなエリアにやってきた。一か所目は、みんなが薦めるあのお店へ。

「守屋精肉店」だ。ここのチャーシューは絶対入れなきゃ、と井上さん。

なくなっては困ると、なんと予約までしていた。店員さんが持っているのは井上さんからの差し入れの漬物である。この地元感がいい(私も帰りに漬物をいただいた)。

井上さんはこの日のために、わざわざ予約をしていた。
予約してしまうとは、さすが大人である。
行き当たりばったりで買うのが商店街サンドの楽しみのひとつではあるものの、
生まれてからずっと住んでいる町田の代表としてはどうしてもここのチャーシューを
入れたかったそうだ。
うん、気持ちはわかる。

ちなみに一緒にいたほかの男性も
「今日の帰りにここで肉買って帰ろうと思ってた」と言うほどだ、
こちらのお店は間違いなくおいしいのだろう。期待は高まる。

狭いながらたくさんのお店が詰まっている「仲見世商店街」でも買い物。ここはやっぱり外せない。

魚屋さんで煮付けや明太子、ズワイガニ入り卵焼きなどを購入。

歩きながら、住んでる人たちだからこそ見えてくるまちの様子を教えてくれた。
いまはダリア園の花がきれいでオススメとか、
どこそこの公園は散歩にちょうどいいとか、
市役所は週末開いてる日があって便利、
中野屋さんという老舗の和菓子はおいしい、などといいところをたくさん話してくれた。
さすがまちだ自慢サポーターだ。

散歩好きで地理に詳しい男性もいたりと、
地元の方と一緒に歩いているとディープな情報が入ってきておもしろい。

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コーヒー屋を見つけると休もうとする大人たち

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東急ストアに移動して野菜などを購入。「いつも買い物はひとりだから、こうやってみんなで買い物するのがすごく楽しい」と言ってくれた。

駅前にある「まちだ名産品のお店」はたまたま休み! 残念すぎる。

市役所近くの自然派食品店にも寄る。「このプラムでジャムを作るのもいいわね」と提案。お母さんたちとサンド作ると本格派になることが判明。

「コーヒー飲んでかない?」が3回

いつもは食材選びに難航するのだけれど、
女性陣の決断が早くて、その勢いに乗ってか男性陣も
早々に買い物をしていった。
毎日のように買い物をしている女性のたくましさを見た気がする。

そしておいしそうなコーヒー屋さんを見つけるたびに
誰かしらかが休憩を提案してくるのも大人ならではだと感じた。

こちらは違う班の写真。よく知らない同士、男性ふたりで買い物している光景もおもしろい。河原商店さんにて。

若者チームの買い物シーン。「町田あいす工房ラッテ」のアイスを食べながら買い物を楽しんでいる様子。タイ料理屋さんの「旅人食堂」にて。

サンド作り開始!

制限時間があるのでコーヒー休憩を断念し、市役所へ戻った。
市の職員さんたちがセッティングしてくれていたテーブルに
食材を並べ、オリジナルのサンドイッチ作りを開始。

たくさんの食材が集まった。食材を広げるときがまた楽しい。

ちなみに今回パンを事前に用意していた。成瀬にある「ブラウニー」という人気のパン屋さんより購入。

手際のよいお母さんたち。本格的なサンドになりそうだ。

これ! このチャーシューが本当においしかった。何度もツマミ食いさせてもらった。

ベーコンにベリーを乗せている男性。意外と合いそうな組み合わせだ。

市の職員の方に乗せ方を指導する男性も。一緒に買ってきたらしい。

若者チームが買ってきた食材は多種多様。いろんなお店をまわってきたのがわかる。

自慢ミーティングで今回のように体を動かすのは初めてだそう。
戻ってきた人たちからは「初めて行くお店で買ってきた」、
「こんなのあるの知らなかった」という明るい声があちこちから聞こえてきた。
いい食材を見つけると手柄を立てたかのように報告したくなるのだ。

そして、ふだん料理しなれていない男性も、
すぐに作れちゃうサンドにご満悦そうな表情を見せていた。
みんなでワイワイと盛りつけをして、10分もすれば完成。
どれもおいしそうなのができたので一気に紹介したい。

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大人たちが作るサンドが多種多様すぎる!

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予約していたチャーシューとレタスをバターを塗ったパンにサンドしたもの。シンプルながらチャーシューのおいしさが際立つサンド。

CoCo壱番屋でナンを購入し、町田でとれた新鮮な野菜とドッキングしたというフレッシュサンド。男性作ながら色合いが綺麗だ。

こちらも男性作。花が添えてあってオシャレ! 「富澤商店」で買ったブルーベリーと「ぽっぽ町田」で買ってきたベーコンの組み合わせは、コクがあっておいしかったそう。

女性が作った「町田老舗合体サンド」。「富澤商店」のゴマクリームと枝豆チップ、「河原商店」の刻み海苔。「岡田屋」のしば漬けと、「独逸屋」のチーズソーセージ。クロワッサンの中に入っているのは物産展で見つけた山形名産「雪まろ」というマシュマロ。斬新だ。

男性らしくお酒に合いそうなドストレートな組み合わせもいい。ほか、町田の定番の小籠包やフルーツを使ったものも。野菜は町田産にこだわった人もいた。

こちらは若者チーム4人のサンド。「もはやサンドではない」とみんなに言われていた鳥の丸焼きが乗ったものや、老舗茶屋「ひじかた園」で買ったという粉茶で「町」とデコレートしたものなどユニークなものが揃った。

こうして並べていくと、町田の食の多様さがすごく伝わってくる。
チェーン店が多いまちながら、地元食材や老舗もたくさんあるのだ。
みんなで分けながらおいしくいただいた。

自分が住むまちの食材をみんなで堪能!

しかし食べただけで終わらないのが大人である。
今回の本来の主旨である「町田らしさを自分たちで見つける」ために、
みんなでまちを歩いてきた感想や町田の魅力を話し合った。

2人組になり、どんなお店に行ってきたのか情報をシェア。

その後、話し合うメンバーを変えながら今日歩いて見つけてきた「町田らしさ」を紙に書き出していく。

最後は町田の魅力をどう伝えるか自発的に発表。彼は「年代別の古着屋MAP」を作ったらどうかと提案。意外と知られていないが、町田には古着屋さんがあちこちにあり、どの年代にも合うお店があるそうなのだ。

町田は店の移り変わりが激しいから、地元の人がマップを用意してあげるべきだと言っていた。実現するといいな。

こんな感じで、町田の商店街サンド第2弾は終了。
地元の人たちが集まって、あらためてまちの魅力を再発見していくのは
見ていてとても勉強になった。

そして、私に投げかけられた
「なんで商店街サンド始めたの?」という問いに対し
とても単純だった企画のきっかけを思い出した。
それは「お肉屋さんのできたてコロッケと、パン屋さんの焼きたてのパンで
最高においしいコロッケパンを食べたかったから」というものだ。

最後に発表してくれた「年代別の古着マップをつくりたい」と言った彼も、
自分が好きである服に普段から注目しているからこそ出てきたアイデアだと思う。
なにもないところからひねり出すよりも、
自分が好きなもの・得意なものでまちの魅力を引き出せたら、
考えるのも行動するのも楽しいだろうな、とあらためて気づかされた。

何度やっても発見のある商店街サンド。さて、次はどこでやろうか。

みんなで記念撮影。商店街サンドがどの世代でも楽しめることがわかってうれしい。

そして今回私が作ったのは、皆さんからいただいた町田食材のみで作った超豪華サンド。幸せだ!

○町田市では『まちだ自慢サポーター』を募集中です。
市の魅力を積極的に発信してくれる『まちだ自慢サポーター』を募集しています。
現在サポーターはおよそ330名(2015年8月現在)。
町田市に住んでいる方はもちろん、住んでいない方もぜひ。
詳しくはこちら

Post from RICOH THETA. -- Spherical Image -- RICOH THETA

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Information


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町田駅周辺

住所:東京都町田市原町田
http://machida-town.jimdo.com/

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