連載
posted:2012.8.7 from:青森県十和田市 genre:エンタメ・お楽しみ
〈 この連載・企画は… 〉
若手アニメーション作家・水尻自子のショートアニメを、各地域の方言でお届け。
声の出演者による方言エピソードなどもご紹介します。
なめこ:あのさ~。いっつもすまねぇなぁ。
豆腐:なしてよ?
なめこ:いっつもヌルヌルしてさぁ。たまげだ気持ぢわるいって思ってねぇどが?
豆腐:そったらことねがへ。それがんがのいいとごろだっきゃ。
なめこ:そうだべが。でもほんとはわんつか気持ぢ悪いど思ってねぇが?
豆腐:そったらこどねぇじゃよ。ヌルヌルしてないナメゴなんて、ネバネバしてない納豆と一緒だすけ。
なめこ:ありがとう。わんつか元気でだじゃ。
●声の出演者より
青森県には津軽弁と南部弁があり、特に津軽弁のほうが難解で、南部の人もわからないことがあります。
「たまげだ気持ぢわるい」とありますが、「たまげだ」は南部弁では「驚く」のほかに「すごく」という意味でも使います。
「んが」は「あなた」と、相手をさす言葉です。「おが」でもOK。
例:「んがでんよ?」=あなた誰ですか?
「わんつか」は「すこし、わずか」の意味。
南部弁では膝のことを「ふじゃかぶ」と言います。
ひざかぶ→ひじゃかぶ→ふじゃかぶ となったようです。
「ごんぼほる」は「だだをこねる」の意味。
「ゴボウを掘る」が語源らしいです。
あと「お茶っこ」「飴っこ」「じぇんこ(=お金)」など
何でも「こ」をつけます。
テレビを見ていて青森県の人の言葉に標準語訳の字幕がついていると、ちょっと切なくなります。
●編集部より
東北は濁音が多いのだと思いますが、「なめこ」も「ナメゴ」と濁るんですね。
お茶っこ、飴っこ、と「こ」をつけるのは、なんだかかわいいですよね。
それにしても「ゴボウを掘る」が「だだをこねる」になるなんて不思議です。
「ふじゃかぶ」も知らなかったですし、字幕がないと、わからないかもしれません……。
profile
Yoriko Mizushiri
水尻自子
みずしり・よりこ●1984年青森生まれ。手描きやコマ撮りアニメーションを中心に制作。新作「布団」が第14回広島国際アニメーションフェスティバルで木下蓮三賞を受賞するなど、気鋭のアニメーション作家として注目を集めている。
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声の出演:水尻自子さん
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