組紐を未来につなぐ 〈龍工房〉の守りと攻めの ものづくり
飛鳥時代に伝来し、時代とともに用途が移り変わってきた組紐。
その製造を糸づくりから一貫して行う東京・日本橋の〈龍工房〉を、
三菱UFJ銀行神田駅前支店の中澤正浩さん、大久保優さん、
アコムの勝村知里さん、福本花音さんが訪れました。
「江戸の粋は進化する」を体現する福田隆さん、隆太さん親子の“守りと攻め”が、
組紐の未来を切り拓きます。

一貫して手がけるから可能なこだわり
組紐とは文字通り、複数の糸を組むことでつくりあげる伝統工芸。
その歴史は非常に古く、仏教の伝来とともに日本に伝わり、
平安時代には独自の技法が確立したと考えられています。
伸縮性にすぐれ、結びやすくほどけにくい特性に用の美を兼ね備えており、
経巻の紐や茶道具、武具甲冑など、時代に寄り添って用いられてきました。
現在は主に着物の帯締めに使われていますが、着物離れが進み、
多くの人にとって馴染みが薄いものになってしまっているのも事実。
そんななか東京・日本橋の〈龍工房〉は、伝統を守りつつ、
現代のライフスタイルに沿った組紐のあり方を探求している革新的な工房です。
1889年に家業として創業し、現在は4代目の福田隆さんと
息子の隆太さんがその伝統を受け継いでいます。

〈龍工房〉の桐箪笥の中には、これまでにつくられてきた組紐がたくさん。
「もともとは職人集団で、群馬県の農家さんとともに、養蚕から糸づくり、
デザイン、染め、組み、そしてデパートや呉服店などに納めるまでを
50人ほどで一貫して行っているため、お客様の細かな要望にお答えすることが可能です」

4代目の福田隆さん。
こう説明する隆さんは、厚生労働省が表彰する「現代の名工」や、
黄綬褒章を受章している、日本屈指の組紐職人。
その帯締めは皇族をはじめ、歌舞伎界や茶道界からも愛されており、
正倉院宝物殿や中尊寺金色堂の藤原秀衡(ふじわらのひでひら)公の棺に入っていた
古代紐の研究・復元にも取り組んでいます。

隆さんが復元に携わった古代紐。右は中尊寺金色堂に伝わる古代紐のひとつ。
一方、息子の隆太さんは、先代からの技術を磨きながら、進化した組紐の可能性を探り、
さまざまな企業やアーティストとコラボレーション。
レディー・ガガのヒールレスシューズを代表作に持つ、
現代美術家の舘鼻則孝さんとつくった〈KUMIHIMO Heelless Shoes〉は、
ロンドンの〈ヴィクトリア&アルバート博物館〉に収蔵されています。

舘鼻則孝さんとのコラボレーションにより生まれた〈KUMIHIMO Heelless Shoes〉。(NORITAKA TATEHANA & EDO TOKYO KIRARI PROJECT, Photo by GION)
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