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アート広報大臣のオカザえもんが
岡崎会場を案内! 駅ビルの巻
あいちトリエンナーレ通信 vol.4

ローカルアートレポート
vol.068

posted:2016.9.13   from:愛知県岡崎市ほか  genre:アート・デザイン・建築

〈 この連載・企画は… 〉  各地で開催される展覧会やアートイベントから、
地域と結びついた作品や作家にスポットを当て、その活動をレポート。

writer profile

オカザえもん

本名は岡崎衛門之介、愛知県岡崎市のキャラクター「のようなもの」。2016年は「アート広報大臣」に就任、あいちトリエンナーレの魅力を発信するべく日々奔走中。

3年に1度開催され、現在開催中の国際芸術祭〈あいちトリエンナーレ2016〉。
3度目となる今回は、名古屋市、岡崎市、豊橋市で開催されています。
参加アーティストや広報チームが、その作品や地域の魅力を紹介していくリレー連載です。

ガイドブックに載ってないようなことを紹介するでござる!

拙者、岡崎のキャラ「のようなもの」オカザえもんでござる~。
非公式、非公認の、いわゆるご当地キャラでござる。
ほら有名なキャラで「くまモン」さんとか「ふなっしー」さんとかいるでしょ! 
そうゆう感じの存在でござる~~。拙者はあんまり有名ではないでござるが、、、。

しかしながら愛知県岡崎市のPRをするために日々がんばっておりまする。
「え?本当にがんばってるの?」ということをよく言われたりいたしますが、
釈明させてくだされ、以下を参考にしてくだされ。

2014年3月31日、オカザえもんが1年間の間に
岡崎市内に及ぼした経済波及効果は約42億5千万円、
新聞や雑誌への掲載による広告効果は約6億6千万円であったことが発表された。

(中日新聞より)

「金額で説明するなんて、やらしぃわ~~」と言われそうでござるが、、、。
この記事で拙者を初めて知る方も多いと思いますのでこれを機会によろしくでござる〜。

それはさておき、岡崎市ってどんなところかというと、
愛知県(あいちけん)にありまする~、
愛媛県(えひめけん)じゃないでござるよ、愛知県岡崎市でござるよ~。
冗談じゃなくて愛媛と愛知を間違える人が結構いるのでござるよ。
愛知県の県庁所在地は名古屋市でござる。
よく名古屋名物として紹介される八丁味噌でござるが、あれは岡崎の名物でござる~。
岡崎市は家康公生誕の地でござりまする~、
岡崎城にはグレート家康公葵武将隊もおりますよ! 
ほかにも花火やぶどう狩りや文化財など、紹介しきれないほどいろいろござりまする~。
あとなんと今年は市制100周年の記念すべき年で、
イベントもいろいろ盛りだくさんでござる~。

拙者、今年は「アート広報大臣」の委嘱を受けておりますので、
あいちトリエンナーレ2016の岡崎会場のPRもしておりまする~。
今回、原稿を頼まれたのでガチの美術批評をしてやろうと思っていたら
「岡崎会場のまちのことも書いてくださいよ!」とリクエストされたので、
作品と無関係なことも書いていくでござる~。
あと発売されているガイドブックに載ってないようなことを紹介するでござる~。
ちなみに、撮影日は9月2日でござる~。まちは日々変化しているので、
撮影したものがなくなっている可能性もあるので、ご了承くだされ~。

オカザえもんをよろしくでござる〜。

まず東岡崎駅会場でござる。
名鉄東岡崎駅の中にあるビルが会場でござる、
ときどきJR岡崎駅に行ってしまう人がいるようなので注意でござる~、
東岡崎駅でござる。

あいちトリエンナーレ岡崎会場は、美術品の展示を前提としてつくられた建築物や空間、
いわゆるホワイトキューブではない場所の展示になっておりまする
(厳密な意味においてはそうでない場所もありますが)。
そのような場所での展示を見るときの醍醐味として、
美術作品を「美術作品」として成立させているものは「なにか」ということを
意識しながら見るということでござる。
まちはあらゆる人工的なビジュアルで満ちあふれているでござる、
その中に作品を設置することの意味を考えながら見てくだされ。

そのような思考の手がかりとなる簡単で具体的な方法としては、
会場にある絵や彫刻でありながらトリエンナーレの作品でないものとの比較でござる。
まず名鉄東岡崎駅に到着して「おしっこでもするか」と
駅構内のトイレを使用することがあればぜひ、トイレのタイルに着目してくだされ。
男子トイレは、木の絵が描かれたタイルが貼ってありまする。
それは2種類あり1枚は木が2本、もう1枚は4本描いてありまする、
2枚で森を連想させまする(女子トイレは入れないので
女子トイレがどんなタイルかはわかりませぬ、あしからず)。

このタイルを記憶の片隅において、トリエンナーレ岡崎会場のひとつ、
石原邸の田島秀彦さんのインスタレーションに使用されているタイルと比較して見ると
おもしろいでござる~。

田島秀彦『窓から風景へ』2016(撮影:怡土鉄夫)

ただ例えばこのトイレのタイルをホワイトキューブに設置すれば、
レディメイドの作品として見ることができるかもしれませぬし、
いやいや、それ以前に絵としてすばらしいし美しい! 
表現主義的な絵画の延長としてすばらしいと思えるかもしれませぬ、
トイレに入るたびに、この絵を見て感動する、癒されるのでござる。

「おい、コラ!! そんなわけねぇだろ、
だいたいタイルの制作者も芸術だとか思ってないだろ!」と思うかもしれませぬが、
そんなことは制作者に確認してないのでわからないのでござる。
トイレで用をたすたびにこの絵に感動する心を持つ人もいるかもしれませぬ。
そのように考えながら小便を済ませ手を洗ったら、
この駅の「岡崎の物産品」のインスタレーションを見てくだされ~。
いや、必ず見よ!!

そしてその中にある、カラクリ時計の鐘をならす係の人形の
憎らしいほどのかわいらしさ~よ~。
タイミングが合えば鐘をならすところをぜひ見てみてくだされ~。
その際はぜひ「あの鐘を~鳴らすのは~あな~た~♪」と人形に呼びかけてくだされ~。

そして、そして! さまざまな物産の中のひとつ
「飲む酢」のパッケージのお姉さんに着目でござる~。
この人はいまごろどうしているのかな~などと思いながら見てくだされ~。

この物産インスタレーション作品は
トイレのタイルのアンビエントなさりげなさとは違い、
ハッキリと見ることを意識してつくられた作品でござる。
トイレのタイルには記名がないでござるが、この物産インスタレーションには
それぞれキャプションがついており主張しております! これは、もう作品!

そしてそれを見て、ようやく岡ビル百貨店の階段入り口の
トリエンナーレの受付に行ってみてくだされ~。
トリエンナーレの受付のところにあるマッサージののぼり「心も体もリフレッシュ」、
まさに、作品を観賞して心も体もリフレッシュしてくだされ~。

駅ビルの各所に使用されている看板の絵やロゴの書体などにも着目してみてくだされ~。

これらのデザインのおもしろさは、自意識を超越しているというところでござる。
そして最近気がついたことでござるが、時間の経過が、
もともと持っていた制作者の意図や自意識を削ぎ落とす作用もあるということでござる。
いわゆるレトロといわれるものに惹かれるのは、そのような理由もあるかもしれませぬ。

次のページ
トリエンナーレ作品もちゃんと紹介します!

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そして階段を上がってくだされ~。
2階の〈喫茶凡〉は8月30日に惜しくも閉店してしまったでござる。
この張り紙の、この絵、指をさす人物像に感動したでござる~。
これは現代に描かれた絵でござるが、いい絵だな~と
拙者は個人的に思いましたでござる!

このフロアにあるマッサージ屋さん、拙者わりと利用しているのでござるが、
場所が移動したでござる、といっても同じフロアなのでござるが、
その移動後の場所が、本屋の隣でなんともいえないアーキテクチャとなっており、
もう作品としか言いようがないのでござる。
マッサージ屋の移動前の空き店舗となっている場所の近くに、
トリエンナーレ出品作家のウダム・チャン・グエンさんの、
不思議な衣装を来た人々がバイクで走行している映像作品が展示上映されておりまする。

ウダム・チャン・グエン『機械騎兵隊のワルツ』2012(撮影:怡土鉄夫)

商業施設にある映像作品、電気屋のテレビの見本やDVDソフトや
販促用の映像ではない、この映像作品。
この作品を見てから3階に上がり、窓からタクシー乗り場や車の流れを見てくだされ、
ここから見える風景と、先ほどの映像作品に映し出された景色と何が違うのかを。
そのように見ることは美術館ではできない体験でござる。

そして3階に展示の二藤建人さんの作品でござる。
二藤さんの作品で一番、拙者が印象に残ったのは、
温かいお湯の入ったコップと冷たい水が入ったコップをそれぞれを右手と左手に持ち、
そのあと手を合わせるという、体験型の作品でござる。

二藤建人『手を合わせる』2016(撮影:怡土鉄夫)

これは体験してもらわないとわからないのでぜひ体験してみてくだされ、
「そんなの家でできるじゃん!」というのもちょっと違う気がしまする、
駅ビルの階段を上がりこの体験をするという、なんとも怪しげな気持ち。
拙者はたぶん今後死ぬまで、水の入った透明なコップを握るたびに、
この体験を思い出すことでありましょう。というかこの作品を体験後、
このフロアにある「キッチンこも」でお昼でも食べるときに、
お冷やを出してもらっても、すぐに思い出すことでござりましょう。
とにかく、このビル内は本当に見どころ満載でござる~。

そして東岡崎駅の北口を出て、すぐのところに
ありがた~い感じで「徳川家康公」の手形がありまする~。

まさに駅ビルに展示されていた二藤建人さん、作家さん本人が地中に埋められて
手だけ出した状態で型どりした手形の作品のことを考えながら、
この手形を見るとさらにおもしろいでござる~。

二藤建人『人間、下流へと遡る川』2016(撮影:怡土鉄夫)

そして、次の会場に向かうでござる~、
ちなみに便利なレンタルサイクルで行くのもオススメござる~。
途中、乙川沿いには立派な松の木や、こんな看板がありまする~。

これらの看板も屋外に展示された作品、絵画として見てくだされ~。
そして後編につづく~~。

information

map

あいちトリエンナーレ2016

会期:2016年8月11日(木・祝)~10月23日(日)

主な会場:愛知芸術文化センター、名古屋市美術館、名古屋市内のまちなか(長者町会場、栄会場、名古屋駅会場)

豊橋市内のまちなか(PLAT会場、水上ビル会場、豊橋駅前大通会場)

岡崎市内のまちなか(東岡崎駅会場、康生会場、六供会場)

http://aichitriennale.jp/

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