odekake
posted:2016.2.10 from:北海道旭川市 genre:旅行
〈 おでかけコロカルとは… 〉
一人旅や家族旅行のプラン立てに。ローカルネタ満載の観光ガイドブックとして。
エリアごとに、おすすめのおでかけ情報をまとめました。ぜひ、あれこれお役立てください。
photographer profile
YAYOI ARIMOTO
在本彌生
フォトグラファー。東京生まれ。知らない土地で、その土地特有の文化に触れるのがとても好きです。衣食住、工芸には特に興味津々で、撮影の度に刺激を受けています。近著は写真集『わたしの獣たち』(2015年、青幻舎)。
http://yayoiarimoto.jp
writer's profile
Akiko Yamamoto
山本曜子
ライター、北海道小樽生まれ、札幌在住。北海道発、日々を旅するように楽しむことをテーマにした小冊子『旅粒』発行人のひとり。旅先で見かける、その土地の何気ない暮らしの風景が好き。
旅粒
http://www.tabitsubu.com/
credit
取材協力:北海道観光振興機構
旭川の繁華街の一角、別名焼き鳥横町とも呼ばれる
〈5・7小路ふらりーと〉の角。
「素通りはゆるしませんぞ」と書かれた、
狸の看板が目印の老舗〈焼鳥専門ぎんねこ〉からは、
いい香りが漂ってきます。
三代目の若き店長、久保竜弥さんが、
焼き場でジュウジュウいい音をたてながら
名物の〈新子焼き〉にとりかかっていました。
新子焼きとは戦後以来、旭川市内で庶民のごちそうとして親しまれている、
若鶏の手羽も含む半身焼きのこと。ここでは、
創業以来継ぎ足している秘伝のタレでいただくのがおすすめです。
冷凍していない生肉にこだわり、
炭火でじっくり時間をかけて焼かれる新子焼きは肉汁もボリュームもたっぷり。
道央の伊達産若鶏を使い、添加物や保存料は不使用。
素材のもつおいしさがしっかりと味わえます。
お持ち帰りや、真空パックでの地方発送も人気です。
市内の近藤染工場の近藤社長から、
「ぎんねこに行くなら頼んでごらん」と教えていただいた〈鳩燗〉がこちら。
鳩型のとっくりを直火で焼く焼き燗スタイルで、
燗酒を注文すると、この味のあるとっくりが出てきます。
焼き燗でいただく旭川の〈男山酒造〉のお酒は、喉にすっと馴染んで落ちていきます。
そして「串のフルコース」は7本で750円とお手頃。
レバー・きんかん・かしわ・鶏もつ・ 砂肝・豚タン・ひな皮、
それぞれタレと塩が選べます。
甘辛さが絶妙な秘伝のタレでいただくのはもちろん、
天日塩がほどよく効いた塩の串も捨てがたいところ。
迷ったときは、竜弥さんにおすすめを聞いてみてください。
生肉を1本1本手打ちし、
丁寧に手焼きされる串はどれも歯ごたえがあってなおかつジューシー。
この串のファンは多く、土日祝日はお昼時から混み合うこともあるそうです。
創業当時のまま変わらないこじんまりとした店内は、
まさに昭和そのもの。
使い込まれて角が丸くなったL字型のカウンターに座れば、
炭火で焼かれる串のタレの香りにつられ、つい頼みすぎてしまいそうです。
隣り合った知らないお客さん同士が、
店を出る時はここで再会の約束をする……そんな風景も、このお店ならでは。
もとは市内の銀座通りで遊技場として誕生したというぎんねこ。
その親しみある名の由来は、銀座通りの「ぎん」に
千客万来の招き猫にあやかった「ねこ」。
町に遊技場以外の娯楽が増えはじめた頃、
創業者、竜弥さんのお祖父さまが、長く続けられる商売をと心機一転。
1950年、現在の場所で、焼き鳥屋としてぎんねこの新たな歴史がスタートしました。
実は元郵便局員という肩書きももつ竜弥さん。
子どもの頃からおばあちゃんの家のように親しんできたお店を
自分の手でしっかりと残していきたいという思いから、
跡を継ぐことを決めました。
「お客さんのなかには、四世代続けて来てくださる方もいらっしゃいます。
おじいちゃんがひ孫さんを連れてくる姿を見るのはうれしいですね」
と竜弥さん。
「おかげさまで今年創業66年になりますが、
僕の代で頑張って100年を迎えるという目標があるんです」
誇りとともに受け継がれていく秘伝の味。
続いていく歴史をつくるのは、いまこのときのたゆまぬ努力。
旭川で心のこもった焼き鳥が食べたくなったら、
ふらりと、“ぎんねこ”ののれんをくぐってみてくださいね。
information
焼鳥専門 ぎんねこ
住所:旭川市5条通7丁目 5・7小路ふらりーと内
TEL:0166-22-4604
営業時間:13:00~22:00
定休日:月曜日
※駐車場なし(近くにコインパーキングあり)
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