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廃線を走る〈トロッコ王国美深〉で
〈仁宇布の冷水・十六滝〉へ。
森と滝をめぐる小さな冒険

おでかけコロカル|北海道・道北編

posted:2016.2.1  from:北海道中川郡美深町  genre:旅行

〈 おでかけコロカルとは… 〉  一人旅や家族旅行のプラン立てに。ローカルネタ満載の観光ガイドブックとして。
エリアごとに、おすすめのおでかけ情報をまとめました。ぜひ、あれこれお役立てください。

photographer profile

YAYOI ARIMOTO

在本彌生

フォトグラファー。東京生まれ。知らない土地で、その土地特有の文化に触れるのがとても好きです。衣食住、工芸には特に興味津々で、撮影の度に刺激を受けています。近著は写真集『わたしの獣たち』(2015年、青幻舎)。
http://yayoiarimoto.jp

writer's profile

Akiko Yamamoto

山本曜子

ライター、北海道小樽生まれ、札幌在住。北海道発、日々を旅するように楽しむことをテーマにした小冊子『旅粒』発行人のひとり。旅先で見かける、その土地の何気ない暮らしの風景が好き。
旅粒
http://www.tabitsubu.com/

credit

取材協力:北海道観光振興機構

旭川と稚内の中間に位置し、天塩川の流れる豊かな盆地、美深(びふか)町。
40号線沿いにどんどん深くなる森を抜けて北上していくと、
道路沿いに古い線路が並走し始めます。
向かうのは、廃線になった旧国鉄美幸線の仁宇布(にうぷ)駅。
ここには、その線路の一部を生かして、
トロッコ体験が楽しめる〈トロッコ王国美深〉があります。

トロッコを運転する人は普通自動車免許が必要。車体は線路用につくられたエンジン付きの特別仕様です。

実は、自分でトロッコを運転できるテーマパークは全国でここだけ。
「走る森林浴」とも言われるトロッコの小さな旅は、
オープン以来ユニークな観光地として話題となり、
近年は道内外から年間1万人を越えるお客さんが訪れています。

まずは、旧仁宇布駅舎を模してつくられた“コタンコロカムイ”と呼ばれる駅舎で
入国(王国なので!)の受付をすませましょう。
駅舎の中には旧仁宇布駅や旧美幸線ゆかりの資料が展示されていて、
待ち時間に眺めるのも楽しい。

トロッコ乗車用の防寒着や毛布、雨カッパが完備されていて、無料で借りることができます。取材に訪れた閉園直前の10月末の外気温はひと桁。たくさんお借りして乗車しました。やはり、あたたかい季節がおすすめです。

トロッコの運行は9時〜16時(夏場は〜17時)までの毎時0分発。
風の冷たい日はたっぷり着込んで臨みましょう。
お借りした軍手をはめて、乗車準備はOK!
コースは往復10キロ、約40分の道のり。
スタッフさんから安全運転のための注意点を教わり、トロッコに乗り込みます。

トロッコはもちろんオープンな車体。
ごとんごとん、小刻みな揺れとともに風を切ってぐんぐん進みます。
線路脇の湿地や、凛と立つ白樺並木を抜け、
曲がりくねった仁宇布川を見下ろしながら走る爽快感は格別!

小さな頃、電車の1番前の窓から見ていた景色を直に体感できます。夏は緑のトンネルが楽しめるそう。

最後の折り返し地点は特に運転に注意。
ゆっくりと回り込んだ先で、
スタッフさんが待ち受けていてポイントを切替えてくれます。この地点からは、
隣を走る道路越しに2本の背の高い〈高広の滝〉を見ることもできます。

「もう少し進んで……はい、ここでストップ!」スタッフさんが止まるまでていねいに指示を出してくれます。

トロッコの小さな旅を堪能したあとは、駅舎に戻ってひと休み。
冷えた体がほっとする温かいドリンク(1杯150円)も用意されています。
小さな売店コーナーには、
廃線になった線路のパーツから生まれたユニークなおみやげグッズも。

廃列車がそのまま残る風景。まるで時が止まったかのよう。

かつて美深〜仁宇布間を走っていた美幸線は1985年に廃止が決定。
同時にその先の北見へと工事の進んでいた路線は、
線路が引かれる前に廃線となりました。
その後、旧仁宇布駅まで残った廃線路を生かそうという気運が生まれ、
1998年、美深に新しい名所として〈トロッコ王国美深〉が誕生します。

トロッコ乗り場からすぐの〈チーズ工房 羊飼い〉では羊がのんびりと放牧されていました。ここでは羊のチーズをつくる試みがなされています。

さて、次に向かうのは仁宇布のもうひとつの名所〈仁宇布の冷水と十六滝〉。
トロッコ王国から車で10分ほど。
深い山に抱かれた仁宇布の冷水は平成の名水100選にも選ばれ、
真夏でも水温が約6℃という冷たい湧き水です。
飲んでみると、澄みきった冷たさとともに、やさしいまろやかさが残ります。

ふたつの注ぎ口から勢いよく流れ出る清水は硬度の低い軟水。「この水でつくるお味噌汁やコーヒーは本当においしいです」と美深町観光協会の丸山澄恵さん。毎月水質検査がされているので安心。

2008年、地元のおばあちゃんが山菜採りのときに
「この水を飲むと元気になる」
と利用していたことで知られるようになったそう。
水質検査の結果、おいしい湧き水というお墨付きがされました。
以来名水として、近隣から水を汲みにくる方が絶えません。
ぜひ空のペットボトルを持参して、清らかな森の恵みをいただきましょう。

仁宇布の冷水とセットで訪れたいのは、
仁宇布地域に点在している16か所の〈十六滝〉(冬期封鎖中)。
十六滝のうち、一般の人が見ることのできる滝は5つ。
冷水からさらに森のなかを少し進んだ先、車を降りたらすぐ見ることのできる、
十六滝のなかでも一番大きい〈雨霧の滝〉。
水量が多く流れ落ちる水音が響きわたり、迫力満点!
気持ちのよい森の香りと美しい水からほとばしる清々しさに、
心身ともに満たされるようです。

雨霧の滝から300メートルほど先にもうひとつの滝があると聞き、
山道を軽いトレッキング気分で進むことしばし。

足元に気をつけて進めば、スニーカーでも大丈夫な道のり。

上流にある〈女神の滝〉は、森に守られた優美な姿を見せてくれました。

女神の滝は気軽に水際まで降りられます。水辺の苔が美しい。

さらに道を登りきると、滝の上に出ます。
ここからは柱状節理状の岩肌を流れる清流を眺めることができ、
自然が刻んできた悠久の時間が目の前に広がります。

地名の「ニウプ」とは、アイヌ語で「森林」を意味する言葉。
日本最北の高層湿原で幻想的な大自然の広がる〈松山湿原〉や、
紅葉の美しさで知られる〈天竜沼〉など、
仁宇布の森にはさまざまな景勝地が点在しています。 
豊かな水に育まれる仁宇布の自然と歴史。
そのおすそわけをたっぷりといただける小さな冒険へ出かけてみませんか。

まわりの自然からも英気をもらえます。

information

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NPO法人 トロッコ王国美深

住所:中川郡美深町字仁宇布

TEL:01656-2-1065

営業時間:4月下旬~10月下旬、受付/8:30~16:00、運行/9:00〜16:00の毎時ちょうど
(※7/11~8/23受付運行時間が9:00〜17:00)

定休日:冬期休業

料金:大人: 1800円、2人以上で1人1500円 

中・高生 1200円、小学生以下 700円、未就学児童 無料、団体割引・町民割引あり

information

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仁宇布の冷水

住所:中川郡美深町字仁宇布

TEL:01656-2-1617(美深町役場 総務課)

営業時間:6月頃~10月下旬まで(冬期間閉鎖)

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