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知床の地を訪れてみたい、
そう長い間思っていました。東京に住む私からはとても遠いところですが、昔から歌にも歌われるように、なんとも旅情を誘う響き、最果ての地のイメージです。
車を走らせていると道路での動物との遭遇率が非常に高く、
はじめのうちは「わ、鹿だ!」「キタキツネが歩いてる!」
といちいち驚いていましたが、
そのうち路地で猫に合うような確率で彼らと出合いました。
そうすると更なる発見を求めて、
どれだけ立派な角の鹿を見つけるか重要になってきました。
あの角の、自由にして規則的な造形の美しさというのは本当に特別です。
この上なく立派な角を持ったエゾシカが
堂々と道路脇で草を食んでいるのを見たときは、
いつまででもこのエゾシカを撮影していたい気持ちになりました。
そんなわけにもいかないので旅路をすすめ、
サケが川で流れに逆らいながら遡上するところを見て感激したり、
熊に気をつけながら知床五湖の高架木道を歩いたり、
流氷に乗った熊を象った氷の浮かんだウイスキーをなめたりしました。