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writer profile
Akiko Saito
齋藤あきこ
さいとう・あきこ●宮城県出身。図書館司書を志していたが、“これからはインターネットが来る”と神の啓示を受けて上京。青山ブックセンター六本木店書店員などを経て現在フリーランスのライター/エディター。
スチールドラム(スティール・パン)ってご存知ですか?
トリニダード・トバゴ共和国で発明された、
ドラム缶を叩いて作る、倍音を含んだ美しい音色が特徴の楽器です。
そのトロピカルな音色はきっと聞き覚えがあるはず。
普通のスチールドラム(スティール・パン)はドラム缶を輪切りにして、
表面を叩き、音程を作るのを手作業で行うのですが、
このたび、日本の職人さんの技術によって、
量産スチールドラムが誕生。
直径19センチのミニ・スチールドラムが、
雑誌「大人の科学」のふろくとして販売されました。
付属のピックアップを付けると、
エレクトリック・スチールドラムに変身。
お手持ちのFMラジオから音が流れます。
「大人の科学」のふろくは通常だと中国の工場で
量産しているのですが、今回はパンの金属加工に
高いレベルの加工技術が必要なことから日本での量産となりました。
金属加工を担当してくれる発注先を探すために
「モノづくりのまち」として知られる大田区の中小企業を調べ、
そのつながりで横浜金沢区の工業地帯にある「新鋭産業」が
協力してくれることになりました。
ーどうやって作っていかれたんですか?
大人の科学:スチールドラムをプレス機だけで量産するというのは
世界的にも例がないので、制作はかなり難航を極めました。
スチールドラムはほんの少し調整が異なるだけで音程が変化してしまう楽器。
音の高低は、くぼみの大きさや、張りで変わりますし、
音色も微妙な張りで決まります。
どこをどう変化させれば音がどう変わるのか?
スティールパンの音を作る方法が確定できない日々が続きました。
世界最小となる直径19センチのパンの中に入れられる音程は5つ。
何度も試行錯誤を繰り返し、最後の最後に、
音程を決めるピンの当て方やプレスの方法が明確になり、
晴れて量産体制を整えることができました。。!
スチールドラム演奏者でもある弘前大学准教授の冨田晃先生や、
日本のスチールドラム制作者の草分けの一人、山口悦朗さんに協力していただいて、
チューニングのアドバイスなどをいただきながら制作を進めて。
できあがったときの喜びもひとしお、
日本のものづくりの底力を感じる経験となりました。
そして今回、バンド「バッファロー・ドーター」のメンバーとして
国際的に活躍するミュージシャンであり、スチールドラム奏者としても知られている
大野由美子さんにふろくで遊んでもらいました。
大野さんからお聞きしたスティールパンのオススメ奏法は、こちら!
1:スナップをきかせよう
スナップをきかせて、叩いた後すぐにパンからマレットを離そう。
「おさえちゃうと音が止まっちゃうから」と大野さん。
2:真ん中を叩こう
音ごとに区切られた楕円形の音盤のなるべく真ん中を叩こう。場所がわかりにくかったらマーカーでしるしを付けても。
3:持ち方を工夫しよう
スナップをきかせやすいようにちょっと長めに持とう。長めに持つと疲れにくいという効果もある。軽く、お箸を持つくらいのイメージで。
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価格:3,300円(税別)
ふろく:エレクトリック・スチールドラム
購入方法:全国書店ほか
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