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posted:2022.3.22 from:香川県香川郡直島町 genre:アート・デザイン・建築
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writer profile
Kanae Yamada
山田佳苗
やまだ・かなえ●島根県松江市出身。青山ブックセンターやギャラリースペース、ファッション・カルチャー系媒体などを経て、現在フリーのライター、編集者として活動中。まだまだ育ち盛り、伸び盛り。ファッションと写真とごはんが大好きです。
多くのアートラバーから愛される場所、ベネッセアートサイト直島。
開館30周年を迎える今年3月、なんとふたつのアート施設がオープンします。
ひとつは、直島で9つ目の安藤忠雄建築となる
〈Valley Gallery(ヴァレーギャラリー)〉。
李禹煥美術館向かいの山間に位置し、祠をイメージした半屋外の鉄骨建築が特徴です。
作品は、草間彌生の大規模な作品『ナルシスの庭』や、池の横にある小沢剛の
『スラグブッダ 88-豊島の産業廃棄物処理後のスラグで作られた 88 体の仏』
も一部改変して展示。
ヴァレーギャラリーが立つ場所は、春先にヤマツツジに覆われる
斜面に囲まれた美しい場所だと安藤忠雄氏は話します。
「コンクリートの壁による二重構造を成す建物は、12ミリ厚の鉄板屋根で覆われる。
鉄板にはシフトや切込みといった幾何学的操作により開口が穿たれており、
建物内部に、雨や風、光といった自然の呼吸をそのままに取り入れる。
小さくとも結晶のような強度をもつ空間をつくろうと考えた」(安藤氏)
アーティスティックな安藤建築から、
自然・建築・アートの共鳴をより深く体感できることでしょう。
information
ヴァレーギャラリー Valley Gallery
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もうひとつが、杉本博司氏の代表的な写真作品やデザイン、
彫刻作品などを継続的かつ本格的に鑑賞できる
世界唯一のギャラリー〈杉本博司ギャラリー 時の回廊〉です。
同館は、氏の代表的な作品『江之浦測候所』誕生の経緯から、
創作活動のひとつの原点とも言える直島と江之浦を繋げる形で構想されました。
作品は、ベネッセアートサイト直島の黎明期から続く氏との関わりを背景に、
既存の『松林図』、『観念の形003オンデュロイド:平均曲率が0でない定数となる回転面』
などをはじめ、主要な写真シリーズ、硝子の茶室『聞鳥庵』が新たに追加されました。
また、ラウンジおよびボードルームは、氏が主宰する
新素材研究所のデザインを受け、カフェ機能も備え一新。
「時の回廊」という名前は、建築や自然を回遊し体感することを促す安藤建築、
杉本氏が追求し続ける時間への問い、彼らの長期的な直島との関係性などを反映し、
訪れた人が自然や時の流れを体感、
歴史や生について思索を巡らせてもらうことを意図し、名づけられたものだそう。
杉本作品と自然の調和を、ぜひ五感で体感してみて。
information
杉本博司ギャラリー 時の回廊 / Hiroshi Sugimoto Gallery:Time Corridors
住所:香川県香川郡直島町琴弾地(ベネッセハウス パーク内)
鑑賞料金:1500円 呈茶(お茶とお菓子)付き
既存作品:『カボット・ストリート・シネマ、マサチューセッツ』1978年、『カリブ海、ジャマイカ』1980年、『ワールド・トレード・センター』1997年、『光の教会』1997年、『チャペル・オブ・ノートルダム・デュ・オー』1998年、『セント・ベネディクト・チャペル』2000年、『松林図』 2001年、『観念の形 003 オンデュロイド:平均曲率が 0 でない定数となる回転面』2005年、『五輪塔』2009年、『硝子の茶室「聞鳥庵」』2014年
新規展示作品:『Hyena-Jackal-Vulture』1976年、『華厳の滝』1977年、『Past Presence 070, Grande Femme III, Alberto Giacometti』2016年、『Opticks』2018年、『光学硝子五輪塔』2011-2012年、その他護王神社模型など。その他の作品詳細は開館時に発表予定。作品は今後状況に応じて数年毎に展示替えを行う予定。
Web:ベネッセアートサイト直島
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