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地域に根ざし、
社会や環境の多様性を示す場に。
〈滋賀県立美術館〉
リニューアルオープン

コロカルニュース

posted:2021.6.24   from:滋賀県大津市  genre:アート・デザイン・建築

〈 コロカルニュース&この企画は… 〉  全国各地の時事ネタから面白情報まで。
コロカルならではの切り口でお届けする速報ニュースです。

writer profile

Kanae Yamada

山田佳苗

やまだ・かなえ●島根県松江市出身。青山ブックセンターやギャラリースペース、ファッション・カルチャー系媒体などを経て、現在フリーのライター、編集者として活動中。まだまだ育ち盛り、伸び盛り。ファッションと写真とごはんが大好きです。

「かわる、かかわる」美術館に

装いを新たにした美術館のオープンラッシュが続いています。

この滋賀県唯一の公立美術館〈滋賀県立美術館〉もそのひとつ。
晴れて2021年6月27日(日)に、リニューアルオープンされることになりました。

同館は、国内随一を誇る本画家・小倉遊亀や染織家・志村ふくみのコレクションをはじめ、
マーク・ロスコやロバート・ラウシェンバーグなど、戦後アメリカ美術を代表する
作家の良作を収蔵していることでも知られています。

一方で、ワークショップやアートゲームを用いた鑑賞教育なども開館当初から実施し、
美術教育の普及に尽力しているという側面も。

美術館のエントランス。クリエイティブユニット・grafがディレクションを担当。

美術館のエントランス。クリエイティブユニット・grafがディレクションを担当。

子どもたちが自由に遊べる開放的なキッズスペース。

子どもたちが自由に遊べる開放的なキッズスペース。

日本庭園が見える、静謐なムードのソファのある部屋。

日本庭園が見える、静謐なムードのソファのある部屋。

リニューアルに際して、掲げられたコンセプトは「かわる、かかわる」。

2021年1月に新しく館長に就任した保坂健二朗さんは、今日の美術館の使命を
「人がつくったさまざまなものに触れることを通じて、
社会や環境の多様性をより深く感じられる場をつくること」
であると考えます。

その使命を遂行するにあたり、
障害やジェンダーの枠を超え、創造の場を支える「Creation」、
人間にとってのアートの意味を問いかける「Ask」、
県民と協業し、地域の魅力を発信していく「Local」、
ユニバーサルの理念のもとに、人々の学びに貢献する「Learning」の
4つ(CALL)を軸に、事業を展開していくといいます。

美術館の大きな屋根のような三角から、「M」「S」のかたちをつくり、様々な人と手をとり、広くコミュニケーションをとっていく姿を表現。UMA/design farmがデザインを担当。

美術館の大きな屋根のような三角から、「M」「S」のかたちをつくり、さまざまな人と手をとり、広くコミュニケーションをとっていく姿を表現。〈UMA/design farm〉がデザインを担当。

館名も、時代や傾向を限定することになる「近代」を外し、
リニューアルに合わせて〈滋賀県立美術館〉と改名。

地域に開かれた現代の美術館として、
どのような取り組みが行われるのか、期待が募ります。

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現地の若手作家の新作から 重要文化財の展示まで

そんな、同館のこけら落としとして開催されるのがこちら。

河野愛『こともの foreign object』2021年

河野愛『こともの foreign object』2021年

ひとつは企画展『Soft Territory かかわりのあわい』。

リニューアル整備に向けた長期休館に伴い、
滋賀県にゆかりある若手作家を中心に紹介するとともに、
地域の人々との交流・協働を目指して行われた
「滋賀近美アートスポットプロジェクト」。

井上唯『この土地に生きる』2019年 ※参考作品

井上唯『この土地に生きる』2019年 ※参考作品

武田梨沙『Playing with yarn #1』2020年 撮影:麥生田兵吾 ※参考作品

武田梨沙『Playing with yarn #1』2020年 撮影:麥生田兵吾 ※参考作品

このプロジェクトに参加した9名と新たに3名が、
「コミュニケーション」をテーマに新作を発表します。

近代美術館時代を含め、
新作インスタレーションのみで構成するのはこの展覧会が初。

また、「アートスポットプロジェクト」をふまえた展覧会ということで、
滋賀県立美術館が地域に根ざした美術館として
積極的に活動していくことを示した企画でもあるようです。

タイトルの「テリトリー」は、生き物のなわばりのこと。
人々は今も昔も、自らが所属するテリトリーを守ろうと、
さまざまな争いを行ってきました。

しかし、テリトリーの境には、新たなものが生まれる可能性も秘めています。
本展は、そんな関わり合いのあわいから生まれるものを、
滋賀にゆかりのある12人の若手作家とともに見つめ、
かろやかでやわらかなテリトリーのあり方を探ります。

重要文化財『桑実寺縁起絵巻』(二巻) 詞:後奈良天皇・青蓮院尊鎮・三条西実隆、絵:土佐光茂、天文元年(1532年)、近江八幡市・桑實寺蔵(京都国立博物館寄詫)、上巻第二段(部分)(6月27日〜7月11日展示予定)

重要文化財『桑実寺縁起絵巻』(二巻) 詞:後奈良天皇・青蓮院尊鎮・三条西実隆、絵:土佐光茂、天文元年(1532年)、近江八幡市・桑實寺蔵(京都国立博物館寄詫)、上巻第二段(部分)(6月27日〜7月11日展示予定)

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もうひとつは、常設展
『ひらけ!温故知新 ―重要文化財・桑実寺縁起絵巻を手がかりに―』。

絵巻の宝庫である滋賀県が誇る名品・
『桑実寺縁起絵巻』(重要文化財、近江八幡市・桑實寺所蔵)。
この絵巻を起点に、「パノラマの視点」「ストーリーを描く」「祈りの情景」の
3つの観点から同館のコレクションが紹介されます。

重要文化財『近江名所図』狩野派、室町時代(16世紀後半)、滋賀県立美術館蔵(7月27日〜8月22日展示予定)

重要文化財『近江名所図』狩野派、室町時代(16世紀後半)、滋賀県立美術館蔵(7月27日〜8月22日展示予定)

重要文化財『近江名所図』狩野派、室町時代(16世紀後半)、滋賀県立美術館蔵(7月27日〜8月22日展示予定)

『花三題』(中)小倉遊亀、昭和60年(1985年)、滋賀県立美術館蔵(6月27日〜8月22日展示予定)

『花三題』(中)小倉遊亀、昭和60年(1985年)、滋賀県立美術館蔵(6月27日〜8月22日展示予定)

『花三題』(脇)小倉遊亀、昭和60年(1985年)、滋賀県立美術館蔵(6月27日〜8月22日展示予定)

『花三題』(脇)小倉遊亀、昭和60年(1985年)、滋賀県立美術館蔵(6月27日〜8月22日展示予定)

『花三題』(脇)小倉遊亀、昭和60年(1985年)、滋賀県立美術館蔵(6月27日〜8月22日展示予定)

『花三題』(脇)小倉遊亀、昭和60年(1985年)、滋賀県立美術館蔵(6月27日〜8月22日展示予定)

絵巻物や掛軸などは、人の手を使わなければ鑑賞できないもの。
この展覧会タイトルは、作品を開くという行為と
美術館が開く期待の二重の意味が込められているそう。

同展から、作品はもちろん、
歴史の連なりや地域の魅力を再発見してみてはいかがでしょう。

information

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滋賀県立美術館

住所:滋賀県大津市瀬田南大萱町1740-1

開館時間:9:30〜17:00(入館は16:30まで)

休館日:月曜日(8月9日(月・休)は開館)、8月10日(火)

TEL:077-543-2111

Web:滋賀県立美術館公式サイト

 

Soft Territory かかわりのあわい

会期:2021年6月27日〜8月22日 

会場:滋賀県立美術館 展示室2・3、エントランス、ギャラリーほか

観覧料:一般 1200円(1000円)、高・大生 800円(600円)、小・中生 600円(450円)

※同時開催の『ひらけ!温故知新 ─重要文化財・桑実寺縁起絵巻を手がかりに─』展も観覧可能。

 

ひらけ!温故知新 ─重要文化財・桑実寺縁起絵巻を手がかりに─

会期:2021年6月27日〜8月22日

会場:滋賀県立美術館 展示室1

観覧料:一般 540円(430円)、高・大生 320円(260円)

※『ひらけ!温故知新 ─重要文化財・桑実寺縁起絵巻を手がかりに─』展の観覧券1枚につき、会期中2回観覧可能(同時開催の『Soft Territory かかわりのあわい』展は含みません。

*価格はすべて税込です。

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