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コーヒーカスの肥料で育てた
〈マヌベジ〉が好評!
福岡のコーヒーショップが生み出す
「循環」とは?

コロカルニュース

posted:2020.12.17   from:福岡県福岡市  genre:食・グルメ / 買い物・お取り寄せ

〈 コロカルニュース&この企画は… 〉  全国各地の時事ネタから面白情報まで。
コロカルならではの切り口でお届けする速報ニュースです。

writer profile

Mayo Hayashi

林 真世

はやし・まよ●福岡県出身。木工デザインや保育職、飲食関係などさまざまな職種を経験し、現在はフリーランスのライターとして活動中。東京から福岡へ帰郷し九州の魅力を発信したいとおもしろい人やモノを探しては、気づくとコーヒーブレイクばかりしている好奇心旺盛な1984年生まれ。実家で暮らす祖母との会話がなによりの栄養源。

コーヒーショップで野菜の軒先販売をスタート

福岡のコーヒーシーンを牽引してきた〈manucoffee〉
“カップ一杯の宇宙を”、をコンセプトに掲げ、
スペシャルティコーヒーを市内3店舗で提供しています。

以前、こちらの記事で
コーヒーを淹れる際の不要物を再利用した〈マヌア肥料〉と、
そのマヌア肥料を使って育てられた大麦によって生まれた飲みもの
「麦ちゃん」「麦子ちゃん」を紹介しました。

今回は、マヌア肥料から派生した〈manucoffee〉の新たな試みである
〈マヌベジ〉についてご紹介します。

そのまま捨てれば環境負荷の高い生ゴミになってしまうコーヒーカスを再利用したマヌア肥料(主原料:米ぬか、ビール麦芽粕、大豆おから、竹パウダー、アガリクス菌床、牡蠣がら、コーヒーカス)。

そのまま捨てれば環境負荷の高い生ゴミになってしまうコーヒーカスを再利用したマヌア肥料(主原料:米ぬか、ビール麦芽粕、大豆おから、竹パウダー、アガリクス菌床、牡蠣がら、コーヒーカス)。

構想から3年の月日をかけ、2018年に初めて完成したマヌア肥料。
十分に発酵させてつくられた完全有機堆肥のマヌア肥料は、
植物を育てるための土壌改善に効果的です。

そして「マヌア肥料を使って育てた野菜=マヌベジ」として、
今年の夏からmanucoffeeの軒先で販売をスタートしたとのこと。

福岡市薬院にあるmanucoffeeクジラ店の軒先で行われるマヌベジ販売。(土曜日、他不定期開催)

福岡市薬院にあるmanucoffeeクジラ店の軒先で行われるマヌベジ販売(土曜日、他不定期開催)。

manucoffeeの考えに共感する農家さんの協力のもと、
マヌア肥料を撒いた畑でマヌベジは育てられています。
糸島市を中心とした福岡市近郊、佐賀県の唐津市など
縁のある提携農家さんの中から、その時々に獲れた
新鮮野菜が届けられるのだそう。

「マヌベジいかがですか?」「どんな料理がおすすめ?」
コーヒーを片手に、スタッフとお客さんの交流も。
コーヒーショップで野菜販売という一見珍しい光景ですが、
不思議と違和感がありません。

現在は、大根やサツマイモなどの根菜類がメインとのことで、
今後もどんなマヌベジが登場するか楽しみです。

マヌベジ販売の日程や畑についてなど、
詳しくはこちらのインスタグラムアカウントで随時更新されるので
チェックしてみてくださいね。

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畑づくりを自分たちの手で

〈かなたけの里公園〉とmanucoffeeが共同で取り組む、通称「マヌカナファーム」。

〈かなたけの里公園〉とmanucoffeeが共同で取り組む、通称「マヌカナファーム」。

こちらの福岡市西区にある〈かなたけの里公園〉では、
敷地外の耕作放棄地を活用し、マヌベジ栽培に取り組んでいます。
秋口には、このマヌカナファームにmanucoffeeスタッフが集まり
畑のメンテナンスと種まきが行われました。

普段は店頭に立ってコーヒーを提供するスタッフも、
たびたび畑のメンテナンスや野菜づくりに携わっているとのこと。

マヌア肥料の製造に取り組むメンバーでもあるmanucoffeeの
山口総司郎さんは、この春、緊急事態宣言を受けてお店を閉めた期間に
何度も畑に足を運んでいたのだそう。

山口総司郎さん(左)と廣野尚兵さん(右)。「日が昇ってから暮れるまで、コロナ状勢下でも自然のサイクルで働けたことが心身ともにありがたかった」と振り返る山口さん。

山口総司郎さん(左)と廣野尚兵さん(右)。「日が昇ってから暮れるまで、コロナ状勢下でも自然のサイクルで働けたことが心身ともにありがたかった」と振り返る山口さん。

「コーヒーカスを再利用したマヌア肥料を使って野菜を育てたことで、
コーヒーの提供だけではなく、コーヒーから広がる農作物にも
責任を持ってお客さまの手に届けたいと考えるようになりました。
『From Seed to Cup』というスペシャルティコーヒーの定義を基に、
『From Seed to Cup and Beyond= コーヒー豆(種子)からカップ、
そしてその先まで責任を持つ』ことを軸に仕事に取り組んでいます」
と山口さんは話します。

マヌカナファームで収穫されたビッグサイズの大根。

マヌカナファームで収穫されたビッグサイズの大根。

私たちの「おいしいコーヒーを飲みたい」
という思いを叶えてくれるだけではなく、
廃棄されるしかなかったコーヒーカスを起点に、
ゴミの削減、肥料づくり、農作物の栽培、販売、消費まで、
新しい「循環」を生み出しているmanucoffee。

「できることをまずやろう」と一歩ずつ進んでいく、
そんなmanucoffeeの姿勢に共感する人も多いはず。
街のコーヒーショップから回り始めた循環に、今後も注目です。

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