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自らの生業で飲食店を支援!
鎌倉〈黒板マーケティング研究所〉の
「応援看板」

コロカルニュース

posted:2020.5.21  from:神奈川県鎌倉市  genre:活性化と創生

〈 コロカルニュース&この企画は… 〉  全国各地の時事ネタから面白情報まで。
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Mami Kano

狩野真実

かの・まみ ●栃木県生まれ、鎌倉市在住。大学卒業後、大手アパレルメーカーや外資系商社などで新ブランドの立ち上げやリブランディングに携わる。2013年に島コンの企画を思い立ち、仲間と長崎・五島列島に通ううちに地域の魅力にはまる。2016年より、活動拠点である鎌倉とさまざまな地域をつなぐインターローカル・プロジェクト『◯◯と鎌倉』をスタート。

テイクアウトメニューの手書き看板

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、
飲食店をはじめとする多くの店舗が苦境に立たされるなか、
鎌倉のまちにおいても、各店がテイクアウトやデリバリーを開始し、
さらに店舗間で連携したオンラインイベントも開催されるなど、
この危機的状況を乗り越えるために、それぞれが必死の取り組みを続けています。

こうした動きを受け、住民たちが地域の飲食店を支援する動きも活発化してきています。
そのひとつが、緊急事態宣言が発令された4月以降に鎌倉のまちで目立つようになった、
各飲食店のテイクアウトメニューなどが書かれた「応援看板」です。

〈黒板マーケティング研究所〉代表の藍田留美子さんが無償でつくり始めた応援看板。以前に「鎌倉ローカルラボ」で紹介した〈カフェ鎌倉美学〉のテイクアウトメニューも(左)。

〈黒板マーケティング研究所〉代表の藍田留美子さんが無償でつくり始めた応援看板。以前に「鎌倉ローカルラボ」で紹介した〈カフェ鎌倉美学〉のテイクアウトメニューも(左)。

これらの手書き看板は、鎌倉を拠点に活動する
〈黒板マーケティング研究所〉代表の藍田留美子さんが、
飲食店応援のために無償で制作しているもの。

藍田さんは、百貨店やインテリアショップ、カフェなどの店舗レイアウトや、
POP、黒板などを描く仕事を長年経験した後に独立。
現在は、黒板を通じた魅せ方や伝え方をメインとした店舗演出などを生業としています。

そんな藍田さんは、応援看板を始めた経緯について、このように語ってくれました。

「仕事柄、常に看板や張り紙に目がいくのですが、
3月下旬に鎌倉のまちを歩いていたら、飲食店のテイクアウト用チラシが
風に吹かれていたり、雨に濡れて読みにくくなっていることに気づきました。
せっかくおいしいものを提供しようとしているのだから、伝わらないのはもったいない。
なんとかできないだろうかと考え、100円ショップで看板を買い、
知り合いのお店のメニューを描き始めたことがきっかけになりました」

藍田さんの手書き看板は口コミで広がり、
5月13日現在で、鎌倉市内40以上の店舗に設置されています。

テイクアウトメニューだけでなく、お店の紹介なども書かれている応援看板。お店を利用したことがない人にもわかりやすいよう、ひと目で飲食店のカラーが伝わるように工夫しているという。

テイクアウトメニューだけでなく、お店の紹介なども書かれている応援看板。お店を利用したことがない人にもわかりやすいよう、ひと目で飲食店のカラーが伝わるように工夫しているという。

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お店やお客さんの反応は…?

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看板を通じて広がる応援の輪

藍田さんの活動を応援する動きも、地域の中で生まれています。

「100円の黒板が売り切れて困っていたら周辺の店で買ってきてくれたり、
『直接は何もできないので、せめて間接的に協力させてください』
と黒板を協賛してくれたりするような方々が多く、活動の励みになっています。
鎌倉の方々は本当に温かいなとあらためて感じています」

プロとしての仕事を無償で提供している藍田さんに対し、飲食店の方々から
「プロの仕事にはプロの料理でお返しします」とお礼を返されることも多いのだとか。

丁寧にヒアリングやリサーチをしてから制作するため、時間と手間はかかるが、「伝わる看板」にこだわりたいという藍田さん。

丁寧にヒアリングやリサーチをしてから制作するため、時間と手間はかかるが、「伝わる看板」にこだわりたいという藍田さん。

黒板の反響は非常に大きいようで、看板を出したそばから入店があったり、
「お店の前で足を止める人が明らかに増えた」
「掲載メニューが完売した」
「メニューの写真よりもインパクトがあり、温かみを感じる」など、
さまざまな声が寄せられているそうです。

「アナログは古いけど新しいコミュニケーションツール」
そう語る藍田さんによる手書きの応援看板をきっかけに、
外出自粛によってオフラインのコミュニケーションが減るなか、
地域の店や住民同士に新たなつながりが生まれ始めています。

未曾有の危機を生き抜くために、それぞれができることを提供しながら支え合っていく。
藍田さんを中心とした応援看板の輪は、今後ますます広がっていきそうです。

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