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posted:2020.4.28 from:神奈川県鎌倉市 genre:活性化と創生
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Yuki Harada
原田優輝
はらだ・ゆうき●編集者/ライター。千葉県生まれ、神奈川県育ち。『DAZED&CONFUSED JAPAN』『TOKION』編集部、『PUBLIC-IMAGE.ORG』編集長などを経て、2012年よりインタビューサイト『Qonversations』を運営。2016年には、活動拠点である鎌倉とさまざまな地域をつなぐインターローカル・プロジェクト『◯◯と鎌倉』をスタート。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、普段は観光客で賑わう鎌倉でも、
飲食店をはじめとする多くの店舗が苦境に立たされています。
過去に「鎌倉ローカルラボ」で紹介した飲食店も
テイクアウトやデリバリーを始めるなど、それぞれが試行錯誤しながら、
この危機を乗り越えようと必死の取り組みを続けています。
こうした状況のなか、鎌倉を愛する人たちが一丸となって助け合い、まちを守り、
元気づけていくために生まれたオンラインコミュニティが大きな広がりを見せています。
3月28日にFacebookグループとして立ち上げられた「#頑張ろう鎌倉」には、
開設初日におよそ500人、2日目には1000人が集い、
4月22日現在で2700人を超えるメンバーが参加。
飲食店情報、経営支援、困りごと・相談、アイデア共有、子ども応援などの
テーマごとにスレッドが立てられ、情報発信、意見交換が行われています。
このコミュニティの発起人となったのは、鎌倉市役所共創計画部の比留間彰さん。
新型コロナウイルスの感染が広がりつつあった2月下旬に鎌倉の閑散とした様子に驚き、
3月に入り、小中学校の一斉休校が始まるなかで、
東日本大震災当時のまちの風景を思い出したという比留間さんは、
ある日、ハッシュタグ「#頑張ろう鎌倉」がつけられた
飲食店〈鎌倉 六弥太〉の店主によるSNSの投稿を目にします。
それ以来、自身でも鎌倉の魅力を発信すべく、まちの景色を撮影し、
「#頑張ろう鎌倉」をつけてInstagramやFacebookへの投稿を開始。
しかし、県からの外出自粛要請が出たことを受け、
比留間さんは外(観光客)と内(住民)をつなぐことから、
内のつながりをつくり、地域を助け合い、活力を維持していくことに目的を切り替え、
Facebookグループの立ち上げに至りました。
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「#頑張ろう鎌倉」の運営メンバーは、比留間さんを含む市役所の職員2名と、
有志で集まった5名の計7名。
強力な市民のサポートを得て、またたく間にコミュニティが
広がっていったことについて、比留間さんはこう振り返ります。
「SNSの知識もあまりなく、想いだけで立ち上げてしまった私を見て、
みなさんが『手伝うよ!』と声をかけてくださいました。
予想を超えるスピードで参加者が増え、困っているところを全力で支援してくださり、
本当に感謝しています。また、グループに参加してくれているみなさんも、
『〇〇するよ、〇〇ならできますよ』とポジティブに行動してくださるので、
いろいろなことがどんどん前に進み、あらためて鎌倉の地域力の高さを感じています」
投稿のルールを設定したり、テーマごとにスレッドを分けるなど、
参加者からの提案も柔軟に取り入れながら改善が続けられている
「#頑張ろう鎌倉」では、飲食店のテイクアウト情報や経営支援、
子育て情報などに関する情報共有や議論が活発に行われ、
まちに全力でコミットしようとする住民たちの思いが
視覚化される場所にもなっています。
そして、このコミュニティでつながった人たちや集められた情報がもとになって
立ち上げられた飲食店支援のプロジェクトなどもすでに動き始めています。
「これをきっかけに、いつも混んでいて入れなかった飲食店のメニューを
家族で楽しんでもらうことで、市民のみなさまにまちの魅力を再認識していただき、
お店の方々も厳しいときに支えてくれる地域とのつながりを意識してくださる。
そんな循環が生まれるといいなと思います。
少し前にあった商店街のお店と地域とのつながりのようなものが取り戻され、
これまで以上にみなさんが地域にコミットするようになったらうれしいですね」
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先日は、Zoomを使った「#頑張ろう鎌倉」のオンライン交流会も開催されるなど、
このオンラインコミュニティを通じて、地域における新しい人のつながりが育まれ、
想いの共有が進んでいます。
「このグループに参加してくださっている方々の共通点は、
鎌倉を愛していること、そして、愛するまちのために
全力でコミットするという気概を持っていることだと思っています。
グループでの交流を通じて、市民、企業、行政の質の高い共創関係が生まれ、
鎌倉の持つ地域力やまちの魅力をみんなで高めていけることを願っています」
比留間さんが働く鎌倉市役所でも、「お持ち帰り・宅配マップ」の作成や、
市内の飲食店などへの支援を呼びかける
クラウドファンディングの実施が検討されるなど、
まちへの思いを抱く官民それぞれが、このコロナ禍においてできることを模索し、
小さなアクションが少しずつ生まれてきています。
こうした個々の取り組みが共有され、
同志をつなぐ場としても機能している「#頑張ろう鎌倉」からは、
これからもさまざまな新しい取り組みが生まれていきそうです。
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#頑張ろう鎌倉
Web:Facebookグループ
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