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連載

〈高津川ウッディ・クラフト〉
デザインの力で
高津川材のブランド化に挑む

木のある暮らし
ーLife with Woodー
vol.068|Page 1

posted:2015.4.20  from:島根県鹿足郡津和野町  genre:ものづくり

〈 この連載・企画は… 〉  日本の面積のうち、約7割が森林。そのうちの4割は、林業家が育てたスギやヒノキなどの森です。
とはいえ、木材輸入の増加にともない、林業や木工業、日本の伝統工芸がサスティナブルでなくなっているのも事実。
いま日本の「木を使う」時かもしれません。日本の森から、実はさまざまなグッドデザインが生まれています。
Life with Wood。コロカルが考える、日本の森と、木のある暮らし。

editor profile

Tomohiro Okusa

大草朋宏

おおくさ・ともひろ●エディター/ライター。東京生まれ、千葉育ち。自転車ですぐ東京都内に入れる立地に育ったため、青春時代の千葉で培われたものといえば、落花生への愛情でもなく、パワーライスクルーからの影響でもなく、都内への強く激しいコンプレックスのみ。いまだにそれがすべての原動力。

credit

撮影:伊東昌信

高津川ウッディ・クラフトからつながる島根の森のはなし

島根県は県土のうち約78%が森林という、全国4位を誇る森林県。
スギ・ヒノキの人工林は約14万ヘクタールを誇り、
そのうち約4割が9齢級以上の利用期となっている。
木材の生産量は、平成2年に比べると半減しているが、近年は増加傾向。
スギ・ヒノキに加えて、マツの生産量が全国上位であることも特徴だ。
間伐材の利用材積も平成24年に飛躍的に伸びており、
6万立方メートル以上で推移している。
また、〈島根CO2吸収・固定量認証制度〉を設けている。
“吸収”は、森林整備のための労力や資金を提供して、企業活動をオフセットするもの。
“固定量”は、県産材を利用した木製品によるCO2固定を目的としたものだ。

県では、原木増産の促進、伐採跡地の再生促進、
県産原木による高品質・高付加価値な木材製品などを中心に、
木を「伐って、使って、植えて、育てる」循環型林業の実現を目指している。

裏目に出てしまった島根の良質な木。

東西に長い島根県。松江や出雲があるのはかなり鳥取県に近い東部、
一方、山口県と接している西部は豊かな自然が残っている。
針葉樹も広葉樹も多く、良質の木材がたくさん出ていた。
しかしいま、島根の木工業は衰退しつつある。
ライフスタイルの変容や、外国産材の流入という全国的な問題はもちろん、
もうひとつ理由があった。

「営林署が3つもあるのは島根だけでしたし、相当いい木が出ていました。
だから丸太を右から左に流すだけでも、いい暮らしができたんです」
そう説明してくれたのは、昭和21年創業以来、
西部にある高津川流域材を扱ってきた老舗木工所、
〈平和木工〉代表取締役社長の洗川武史さん。

しかし、良質な木材があったおかげで、その上にあぐらをかいてしまった。

「ある地域の話ですが、そこはいい木材が育たない地域なので、
製材所や加工業者が努力して、ものづくりやデザインで
付加価値を高めて、成長したという例があります。
この地域は、そういう努力をしてきませんでした」

平和木工の代表取締役社長・洗川武史さん。

こうして島根の木工が衰退してきたことで、
結果的に、林業従事者が減り、後継者もいなくなり、
木の枝打ちや間伐などがされなくなってきた。
年々、木材の質が落ちてきているという。

ヒノキのストック。〈ウッドリバー〉というプロダクトになっていく。

「現状では、まだいい木が立っています。
いまはそれで食べていけるかもしれないけど、近い将来、絶対にダメになるでしょう。
しかも、木材を燃料チップにしてしまうだけで、
生産者が山を育てようという気持ちになっていないと思います」

だからといって嘆いてばかりいられない。
かつて栄えた木工業者も、まだ100軒近くあるので、技能者はまだ残っている。
そこでまずは自分たちが構える西部の高津川流域で
〈高津川流域の家具・建具づくり協議会〉を立ち上げ、
1年後に平和木工を中心とした〈高津川ウッディ・クラフトLLP〉に発展した。

「付加価値をつけて売り出すことができるのならば、
生産者のみなさんも、山を守り、木を育てようという
気持ちになるのではないかと思ったんです」

いい製品をつくり、それが売れて、山に手が入り、森が守られ、よい木材が育つ。
そんなサイクルを目指した。
もちろん、木工業者としても、いい木があればいい製品がつくっていける。

スギのベンチを製作中。

現在この工場では6人のスタッフが製作に励んでいる。

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