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連載

〈シンラテック〉
地元で豊富なシイノキを
家庭のプロダクトへ。

木のある暮らし
ーLife with Woodー
vol.061|Page 1

posted:2015.4.2  from:山口県長門市  genre:ものづくり

〈 この連載・企画は… 〉  日本の面積のうち、約7割が森林。そのうちの4割は、林業家が育てたスギやヒノキなどの森です。
とはいえ、木材輸入の増加にともない、林業や木工業、日本の伝統工芸がサスティナブルでなくなっているのも事実。
いま日本の「木を使う」時かもしれません。日本の森から、実はさまざまなグッドデザインが生まれています。
Life with Wood。コロカルが考える、日本の森と、木のある暮らし。

text & photograph

Yuichiro Yamada

山田祐一郎

やまだ・ゆういちろう●日本で唯一(※本人調べ)のヌードル(麺)ライター、フリーライター。製麺工場の長男として福岡で生まれ、主に麺を食べて育った。うどん・そばにおいては専門書にも連載を持つ。全国の麺の食べ歩きを記録するwebサイトを連載中。
http://ii-kiji.com

シンラテックからつながる山口の森のはなし

本州の最西端に位置する山口県。
北、西、南の三方を海に囲まれ、その中央部には中国山地が横断している。
島根県、広島県の県境にあたる東部には高い山々がそびえ、森林率は72%。
人工林は18万9000ヘクタールで、人工林率は44%。
木材生産量は16万7000立方メートルだ。
県下での林業従事者はおよそ1,000人である。

山口県の木材ではとりわけヒノキが良質で、
奈良県の東大寺が再建される際、山口市徳地で伐採された大木が
瀬戸内海を経由して運ばれた歴史がある。
また、古くから色みに優れたアカマツも育っており、
それらは〈なめらまつ〉と呼ばれ、全国的な知名度を誇る。

そんな山口県では、〈森林バイオマスエネルギープラン〉により、
木質ペレットの生産、木質チップによる石炭混焼への取り組みなどを通じて、
木材のエネルギー利用に力を入れている。

長門市にある市指定天然記念物〈シイノキ巨樹群〉。シイノキは日本特産の樹木で、この巨樹群では幹回り4.6メートルを筆頭に、3メートルほどに育ったシイノキが群生している。

自らの手で林業を変えていく。

山口県長門市の〈シンラテック〉とシイノキのつき合いは長い。
昭和34年の創業以来、同社では近隣で育ったシイノキを伐採し、チップを製造してきた。
「山口県全体でいうとヒノキやスギが有名ですが、
長門市は昔からシイノキの産地だったんですよ」
そう教えてくれたのは3代目社長・近藤友宏さんだ。

大学の工学部を卒業し、IT系コンサルティング会社に就職。コンサルタントを経験した後、家業であるシンラテックに。「日本の林業を変えたい」「林業という仕事に誇りを持ちたい」という熱さを備えた人物だ。

左手に見える第一工場ではフローリングや製材などの加工全般、右手にある第二工場では小物類が生産されている。

ここでつくられた木材チップは、紙の原材料として
日本製紙株式会社へと納品されてきた。
そんなシンラテックが転機を迎えたのは2010年。
近藤さんは木材チップ製造に加え、新たに製材部門の立ち上げに着手した。
その背景にはこんな想いがあった。

「日本では、大部分の森が手をつけられないまま放置されています。
国産材、県産材を使いたいという声は確かにあるのですが、
価格や安定供給がネックになって叶わない。加えて、自分で調べていくうちに
日本が林業や木材産業においては発展途上国だという事実を知りました。
この仕事に誇りを持って臨んでいけるよう、
もっと林業に向き合っていく必要があると思ったんです」

木材チップの製造工場。ここで大量の木材チップがつくられていく。

工場に運び込まれた状態のシイノキ。これからフローリング、小物用、チップ用に分別される。

シイノキの断面。広葉樹ということでほどよく固さがある。長門市では主にスダジイ、ツブラジイが見られる。

木材チップ用の木々が次々とベルトコンベアへ。

できあがった木材チップ。辺りには木の香りが広がっていた。チップはその後、大型車に積み込まれ、製紙工場へと運ばれていく。

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