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連載

〈志岐家具製作所〉
環境へ配慮した製法で県産スギが
オリジナリティあふれる
スツールに。

木のある暮らし
ーLife with Woodー
vol.054|Page 1

posted:2015.2.18  from:佐賀県佐賀市  genre:ものづくり

〈 この連載・企画は… 〉  日本の面積のうち、約7割が森林。そのうちの4割は、林業家が育てたスギやヒノキなどの森です。
とはいえ、木材輸入の増加にともない、林業や木工業、日本の伝統工芸がサスティナブルでなくなっているのも事実。
いま日本の「木を使う」時かもしれません。日本の森から、実はさまざまなグッドデザインが生まれています。
Life with Wood。コロカルが考える、日本の森と、木のある暮らし。

text & photograph

Yuichiro Yamada

山田祐一郎

やまだ・ゆういちろう●日本で唯一(※本人調べ)のヌードル(麺)ライター、フリーライター。製麺工場の長男として福岡で生まれ、主に麺を食べて育った。うどん・そばにおいては専門書にも連載を持つ。全国の麺の食べ歩きを記録するwebサイトを連載中。
http://ii-kiji.com/

志岐家具製作所からつながる佐賀の森のはなし

九州の北西に位置する佐賀県。
北西部に玄界灘、南東部に有明海というふたつの海に接し、
有明海沿岸から筑後川沿いに約3割の面積を占める佐賀平野が広がる。
佐賀県の総面積は2,439.67平方キロメートルで、そのうち森林の占める割合は46%。
全国平均の67%と比べると低いが、それゆえ、県民にとって貴重な緑資源となっている。
脊振村、三瀬村には森林を生かした自然公園があり、
春から秋にかけての行楽シーズンに賑わいを見せている。
脊振や多良岳、国見の山々にはスギやヒノキといった人工林が広がり、
その比率は67%と日本一だ。
戦後を中心に造成されたこれらの豊富な人工林もまた、いま伐採時期を迎えている。
木材に関わるさまざまな人々が連携し、積極的に木材を利用していくことが、
山の活性化、まちの元気、そして森林の維持につながる。
佐賀においても県産材を利用する動きが着々と広がりを見せていた。

佐賀県は全国的に見ても比較的温暖な気候に分類されるが、冬の寒さは比較的厳しい。佐賀の木々はそんな寒暖差の中で育まれている。

大川生まれ、諸富育ち。

〈志岐家具製作所〉のある佐賀県諸富町には、元来、家具をつくる文化はない。
そのルーツは思いがけない場所にあった。
筑後川を挟んだ向かい、福岡県大川市である。
「うちはもともと、大川で家具に使う金具をつくっていたんですよ」
そう切り出す取締役社長の志岐純一さんは2代目。
この製作所は昭和21年に創業された。
大川が“家具・木工のまち”として全国的に知られるにつれ、
並行して土地の値段が上がってしまったため、
昭和45年に諸富町へ移ってきたのだと志岐さんは続ける。
その後、この地で家具づくりの文化を育んでいった。

工場は2フロアに分かれている。1階ではプロダクトの初期工程、2階では組み立てや最終加工といった仕上げ工程にあたる。

志岐家具製作所には現在、従業員は5人。
決して大きな工場ではない。だからこそ、大規模な家具工場にできない、
きめ細やかな仕事、そして安定した確かな品質を、
どこにも負けない気持ちで心がけてきたのだと志岐さんはいう。

5人の職人による手仕事が屋台骨を支える。「SPIRAL」の製造における外注はなく、運び込まれた木材が製品になるまでの全工程を自社で担う。

志岐家具製作所のオリジナルブランド〈シムススタイル〉をつくるうえで
モットーに掲げているのが「環境と健康にやさしい家具づくり」だ。
自然から抽出したオイルやワックスを使った家具、
石鹸で仕上げたソープフィニッシュ家具、
有害ガスの発生を大幅に抑制した塗料を使用した家具など、
健康、環境に配慮した“エコな家具”づくりに取り組んでいる。
生産工程の木材の削り屑やのこ屑は、酪農家でたい肥などにリサイクル。
その姿勢は創業から一貫している。

運び込まれてきた木材は人の目によって品質が確かめられたうえで、用途に合わせた加工がなされていく。

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