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連載

〈鹿沼のすごい木工プロジェクト〉
鹿沼の伝統とデザイナーの
斬新なアイデア。

木のある暮らし
ーLife with Woodー
vol.046|Page 1

posted:2015.2.2  from:栃木県鹿沼市  genre:ものづくり

〈 この連載・企画は… 〉  日本の面積のうち、約7割が森林。そのうちの4割は、林業家が育てたスギやヒノキなどの森です。
とはいえ、木材輸入の増加にともない、林業や木工業、日本の伝統工芸がサスティナブルでなくなっているのも事実。
いま日本の「木を使う」時かもしれません。日本の森から、実はさまざまなグッドデザインが生まれています。
Life with Wood。コロカルが考える、日本の森と、木のある暮らし。

editor profile

Tomohiro Okusa
大草朋宏

おおくさ・ともひろ●エディター/ライター。東京生まれ、千葉育ち。自転車ですぐ東京都内に入れる立地に育ったため、青春時代の千葉で培われたものといえば、落花生への愛情でもなく、パワーライスクルーからの影響でもなく、都内への強く激しいコンプレックスのみ。いまだにそれがすべての原動力。

credit

撮影:Kiyoshi Tanaka(NIPPA米)

鹿沼のすごい木工プロジェクトからつながる栃木の森のはなし

北部の日光・那須の山々から南部の平野まで、
県土全体が水と緑の美しい自然に恵まれている栃木県。
森林は県土の約55%=約35万ヘクタールを占め、
そのうち針葉樹林が約17万ヘクタールである。
人工林においては5~10齢級(林齢21~50年)の森林が約半分を占めているが、
間伐などの手入れが遅れている。
こうしたことから、元気な森を次世代に引き継いでいくために、
平成20年度から〈とちぎの元気な森づくり県民税〉を導入し、
新たな森づくりにも着手している。
素材の供給量は、昭和46年の約150万立方メートルを最高として
年々減少の傾向がみられ、平成24年度は約40万立方メートルとなった。
これは全国13位である(平成24年度)。
今後成熟期を迎える栃木の森林資源を有効活用するために、
県では、県産材を安定供給でできる体制づくりをすすめている。

デザインの力でよみがえる、木工のまち、鹿沼

栃木県鹿沼市は、良質な日光材に恵まれ、400年近く続く木工のまち。
1636年の日光東照宮造営の際、
全国から優秀な職人が鹿沼に集められたことが始まりとされている。
江戸時代からの伝統を受け継ぐ〈鹿沼ぶっつけ秋祭り〉は、
木工技術の粋がこめられた彫刻屋台(山車のようなもの)がまち中を練り歩き、
多くの観光客を集めている。

そんな伝統ある鹿沼の木工業も、全国的な例に漏れず疲弊していた。
「バブル崩壊後、大きな企業からつぶれていきました。
地元の木工が、衰退どころか、絶滅するかもしれない」
と口調を強めるのは白石物産の代表取締役・白石修務さん。

そこで鹿沼の木工業者数社が協力し、注目度の高い鹿沼ぶっつけ秋祭りで、
鹿沼の木製品のすばらしさを広めようと考えた。
「鹿沼では木工が身近であるがゆえに、あまりありがたみがない」と、
まずは地元へのアピールが必要であると考えたのだ。

鹿沼市職員の市章や〈ツール・ド・NIKKO〉の賞状をスギでつくるなど、
“森と人をつなぐダボ”としての商品を製作している
木工メーカー〈栃木ダボ〉の代表取締役・田代直也さんも、
「より一般の方の目に触れるように提案しなければ」と感じていた。

2011年の鹿沼ぶっつけ秋祭り。
どうせならと、店舗=屋台もデザインしてオリジナルの〈杉屋台〉を製作、
そこにこの日のために開発された木製品を並べ、
製作者とデザイナー自らが屋台に立って販売した。
この〈屋台屋プロジェクト〉は好評を博し、以降、数回のイベント出展などを重ねる。
そしてさらなる継続的なものを目指し、
2013年、〈鹿沼のすごい木工プロジェクト〉へと発展した。

白石物産の工場内の一画にはSOU LABOというショップを併設。

頭の上にちょこんと乗せる小ぶりの〈日本の神々 お面シリーズ〉。

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