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連載

〈WISE・WISE〉
素材に正面から向き合うことで
生まれたKURIKOMA

木のある暮らし
ーLife with Woodー
vol.020

posted:2014.12.15  from:東京都渋谷区  genre:ものづくり

〈 この連載・企画は… 〉  日本の面積のうち、約7割が森林。そのうちの4割は、林業家が育てたスギやヒノキなどの森です。
とはいえ、木材輸入の増加にともない、林業や木工業、日本の伝統工芸がサスティナブルでなくなっているのも事実。
いま日本の「木を使う」時かもしれません。日本の森から、実はさまざまなグッドデザインが生まれています。
Life with Wood。コロカルが考える、日本の森と、木のある暮らし。

editor profile

Tomohiro Okusa

大草朋宏

おおくさ・ともひろ●エディター/ライター。東京生まれ、千葉育ち。自転車ですぐ東京都内に入れる立地に育ったため、青春時代の千葉で培われたものといえば、落花生への愛情でもなく、パワーライスクルーからの影響でもなく、都内への強く激しいコンプレックスのみ。いまだにそれがすべての原動力。

WISE・WISEからつながる宮城の森のはなし

県土の約58%=約42万ヘクタールが森林に覆われている宮城県。
6500万平方メートルの森林から、毎年50万平方メートルが伐採され
木材として生産されている。
山々はスギやアカマツなどの針葉樹を中心に、
ブナやナラなどの広葉樹も広く分布している。
鳴子杉や津山杉など、美しい文様のスギが育つことでも知られている。

スギのベテランたちがつくるKURIKOMA

全国の地域材を使って家具をつくっているWISE・WISE。
東北大震災がきっかけで生まれたのがKURIKOMAシリーズだ。
震災1か月後、被災地を訪れたWISE・WISEの佐藤岳利社長は、
「中長期的にみて、これからは仕事がほしい」という現地の声を聞いた。
家具というジャンルでできることは、
地元の木を使って、地元の職人さんにつくってもらうこと。
そうすれば雇用が生まれ、100%現地にお金が落ちる。
そこで会いに行ったのがスギ専門の製材所、栗駒木材だ。

「実際に行ってみたら、すばらしい製材所でした。
おもに建築材をつくっているのですが、防腐剤を使っていません。
乾燥も木の皮や端材を熱源にした薫煙乾燥。
重油を使わず、木のエネルギーだけを使用していたのです」

栗駒木材では、製材、パルプ、ペレット製造などに関わっている。

このとき栗駒木材の大場隆博さんに
「この人の仕事をつくってあげてほしい」といわれて、
ちょうどかたわらで作業している職人がいた。

「それまでは、“東北を救う”というような漠然としたもので、
ある意味でひとごとだったのかもしれません。
でも、この人を救うんだと思うと、すごくリアルかつクリアになりました」

とはいえ栗駒木材は製材所であって、木工技術はない。機械もない。
しかもスギは家具には不向きといわれる木材。
そこでスギの間伐材を使った家具を研究している榎本文夫さんに話をもちかけた。

榎本さんはすでにプロトタイプをつくっていた。
スギをタテとヨコでサンドイッチ状態にする
CLT(クロス・ラミネート・ティンバー)という、建築で使われる技術を応用したもの。
栗駒木材では、野地板という建築下地用の板をつくっていたので、
「これならできるかもしれない」と思った。
その板をプレス機械でくっつける。
そのパネルがイスのサイドの部分になり、座面と背面でパネルをつなぐようにした。
そうして開発を進め、KURIKOMAラインが立ち上がった。

もともとスギを見る目は超ベテラン。スギに対する愛情や思いは強い人たちだ。
現在では、「サスティナライフ森の家」という別会社を立ち上げ、
5人の専従スタッフがKURIKOMAのイスとテーブルの製作にあたっている。
生産が追いつかないくらい好調だ。

背柱、座面、脚を一体化させ、強度をもたせた。

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それまでスギ製品をつくったことがなかったWISE・WISE。
あらためて木材としてのスギのすばらしさをイスから感じ取った。

「手前味噌ですが、このイスに座って、震えるほどの感動がありました。
こんなイス、座ったことがありません。スギ本来の持つ、
軽さ、やわらかさをそのまま生かして、製品化に成功したと思います」

復興支援や“スギを使わなければならない”というような理屈は超越して、
いいものは伝わる。それは正当な評価だ。とにかくいいものをつくり続ける。

「見た目モクモク(木々)していて、重そうだけどすごく軽い。
座ってみるとやわらかくて、落ち着きます。
日本人のDNAに染み入る感覚がありますね。
お客様を見ていると、ずっとさわっているんですよね」

イスの座面と脚をぴったりと組み合わせる。

木材への関心を高めれば、愛着がわく

スギは細かったり節があったり、前述のように家具としては不向きな木材。
だからチャレンジする人や企業が少ないのだ。

「素材に正面から向き合いたい。細い木しかないのであれば、
それをどう料理するかと考えるのがデザイナーです。
それを補う木工技術もあります。このふたつは、日本が世界に誇れるもの。
世界最高峰のデザインと木工技術を組み合わせれば、なんでも克服できると思います」

これまで安い外国産材や製品がどんどん入ってきて、
あえてスギを使う理由がないという現状もあった。
興味の対象になっていなかったのだ。

KURIKOMAのテーブルとイスを前に、笑顔のWISE・WISEの佐藤岳利社長。

「そういう自分もかつては無知・無関心でした」という佐藤さんに
心境の変化が訪れたのが6年前。WISE・WISEは、グリーンカンパニー宣言をした。
違法伐採の木材を排除し、国産に力を入れ始めた。
国産の地域材だと、トレーサビリティも深くまで調べられる。

「“○○さんの山の南側の斜面”なんてところまでわかります」

それは産地とエンドユーザーをつなげるということ。

「自分の家で、毎日ごはんを食べているテーブル、イス、お椀。
でもその木がどこからきているかなんて、みんな考えません。
すべて命があったものです。たとえば食べ物なら、
魚沼産コシヒカリという産地や、農薬使用・不使用を気にしたりしますが、
家具やインテリアで、ウレタンかオイルフィニッシュか、産地はどこか、
と気にしている人はあまりいません。
自分の出身地の木材を使った木製品でごはんを食べているなんて、
いい人生だと思うんですよね。
家具は一生ものですし、次の代へと受け継ぐことすらできるものですから」

現在WISE・WISEでは、宮城・栗駒のスギ以外にも、
北海道のシラカバ、北東北のクリ、長野のカラマツ、宮崎のクヌギ・ヒノキという
5つの産地を打ちだしたラインがある。
それ以外にも「地元の木を使ってほしい」というオファーが増えているという。
たとえば東京なら奥多摩、青森なら十和田湖湖畔、
滋賀なら琵琶湖湖畔の木材といった具合。

「木を探すところからスタートします。もう生態系調査のようなものですよね。
製材所を調べて、木工所も調べて。
木の商売をしている人は、いい人が多い気がします(笑)」

こうしてどんどん地域材のナレッジが蓄積され、
豊かな日本全国の森へ、光をあてていく。

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木のある暮らし 宮城・WISE・WISEのいいもの

KURIKOMA ループアームチェア 価格:42,000円(税別) フレームは3層構造で強度をアップ。スギの風合いをそのまま楽しめる。

information

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WISE・WISE 表参道

住所:東京都渋谷区神宮前5-12-7

TEL:03-5467-7001

営業時間:11:00~18:00(完全予約制)

http://www.wisewise.com/

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