連載
posted:2013.10.7 from:香川県小豆郡土庄町 genre:暮らしと移住
〈 この連載・企画は… 〉
海と山の美しい自然に恵まれた、瀬戸内海で2番目に大きな島、小豆島。
この島での暮らしを選び、家族とともに移住した三村ひかりが綴る、日々の出来事、地域やアートのこと。
writer's profile
Hikari Mimura
三村ひかり
みむら・ひかり●愛知県生まれ。2012年瀬戸内海の小豆島へ家族で移住。島の中でもコアな場所、地元の結束力が異様に強く、昔ながらの伝統が残り続けている「肥土山(ひとやま)」という里山の集落で暮らす。移住後に夫と共同で「HomeMakers」を立ちあげ、畑で野菜や果樹を育てながら、カフェ、民宿をオープンすべく築120年の農村民家を改装中。
http://homemakers.jp/
いよいよ、10月5日(土)より
瀬戸内国際芸術祭2013(以下、瀬戸芸)の秋会期が始まりました。
各地でオープニングイベントが開催され、これから1か月、
また島が賑やかになりそうです。
そして以前この連載でも紹介したプロジェクト「小豆島の顔」も、
予定通り展示スタートです!
「小豆島の顔」は、小豆島で暮らすおっちゃん、おばちゃんたちのお顔の写真を撮影し、
その写真を小豆島の風景の中に展示するプロジェクト。
写真家のMOTOKOさんと「小豆島カタチラボ」というプロジェクトを展開している
大阪のgraf(グラフ)さん、島のメンバー何人かが中心になって進めてきました。
今年に入ってからぼちぼちと企画打合せをスタート。
ちなみに、打合せはSkypeやGoogle+ ハングアウトなどのインターネット電話で。
東京、大阪、小豆島という離れた拠点でも、
顔を見ながら複数のメンバーで話をできるこのツールは、
今回のプロジェクトでは欠かせないものでした。
そして7月から本格的に撮影スタート。
醤油蔵が建ち並ぶ小豆島町馬木(うまき)地区と、
田園が広がる土庄町肥土山(ひとやま)地区を拠点に、
両地区で暮らす合計225人のおっちゃん、おばちゃんのお顔を撮影。
撮影が終わったのが8月末、これで一段落と思ったのはその時だけで、
そこから約1か月、撮影した写真の現像からプリント、展示の準備など、
ひたすら「小豆島の顔」な日々でした。
今回のプロジェクトは、誰かから依頼されたものではないので、
給料なんてありません。島のメンバーの本職は別の仕事。
みんな、仕事の合間をぬって、有志で展示の準備を進めてきました。
お金はもらえないけど、お金はかかる。
写真のプリント代や展示材料費、交通費や滞在費など。
行政や地元の企業、カメラ関連の企業にプロジェクトの趣旨をお伝えして、
後援、協賛を募る部分も自分たちで。
そして、地元の人たち、写真のモデルのおっちゃん、おばちゃんとも
何度も会って話をしてきました。
どこに展示したらいいか、どういうふうに展示しようか、
一緒に決めて、設営も一緒にしました。
まさに地域のみんなでつくった作品です。
実は昨年9月、自分たちも今年の瀬戸芸で何かしたいと思い、
作品の一般公募に応募しました。
「肥土山アートプロジェクト」として、肥土山を舞台に
地域のみんなで秋の数日、屋根の上に風船を掲げようというもの。
「僕らはここにいるよ」をコンセプトに。
その作品は、残念ながら落選……。
でも、こんなかたちで地域の人たちと一緒にすばらしい作品をつくることができました。
作品のかたちは違うけれど、1年前にやりたいと考えていたことと同じ。
小豆島の馬木、肥土山という集落、風景、文化をつくってきた人々の顔を
その場所に展示する。
移住して1年後に、こんなことができるとは夢にも思っていませんでした。
「小豆島の顔」は、馬木地区は、旧醤油会館、石井邸倉庫の2か所、
肥土山地区は、肥土山離宮八幡神社が展示会場になっています。
秋の小豆島は本当に気持ちがいいです。
ぜひ島に遊びに来ていただき、ぶらぶらとまち歩き、
作品めぐりを楽しんでいただければと!
information
小豆島の顔
2013年10月5日〜11月4日
馬木地区会場 旧醤油開館、石井邸倉庫
肥土山地区会場 肥土山離宮八幡神社境内
https://www.facebook.com/shodoshimakao
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