意外と知らないカリンの話。
空海ゆかりのカリンのまち、
香川県まんのう町へ
秋の果物、カリンって食べたことある?
カリンといえば、のど飴などの原材料として名前はよく知られているものの、
その実を見たことがある人は少ないのではないだろうか。
この、コロンとした楕円形の実がカリン。
秋に収穫期を迎える果実のひとつだが、食べたことはあるだろうか?
実を割った断面は、まるでリンゴのように白くおいしそうなものの、
ぎゅっと詰まった果肉にかぶりついたが最後、
口の中の水分が全部持っていかれてしまうかのように渋くて酸っぱい。
カリンは生では食べられないのだ。
砂糖で煮たりお酒に漬けたりと、手間と時間がかかるため、
スーパーマーケットなどでは、いまや見かけることすらなくなっている。

輪切りにしたカリン。タンニンや酒石酸(しゅせきさん)、ポリフェノールなどを含んだ魅力的な果実。
だが、秋冬の乾燥した季節に旬を迎えるカリンは、
昔からその季節になるとシロップをつくって飲むなど、
多くの家庭で暮らしに取り入れられてきた果実でもある。
その歴史は古く、空海が唐から持ち帰ったといわれ、
平安時代から日本にあるとされている。
1000年以上前に植えられたという文献も残るほど、
カリンとの結びつきが強い香川県のまんのう町を訪ねた。

まんのう町には1300年以上も前につくられ、空海が改修したという満濃池がある。日本最大級のため池は、いまもたっぷりと水を蓄えて丸亀平野を潤している。
香川県と徳島県の県境に位置するまんのう町には、空海ゆかりのものがふたつある。
日本最大級のため池「満濃池」と、
空海が唐から持ち帰ってそのほとりに植えたとされるカリンだ。
まんのう町の町木はもちろん、カリン。
1984年に町木に選定された際に、まちの活性化を期待し、
一家に1本カリンの苗木が配られたこともあって、
秋にはまちの至るところでたわわに黄金の実をつけた果樹が見られる。
カリンの一大産地なのだ。

バラ科のカリンは、中国が原産地。まんのう町には、空海が唐から持ち帰って日本で初めて植えたといわれるカリンの2代目の木がある。

遠目からはよくわからないが、上のほうはたわわに実をつけており、実りある風景は1000年以上続いていると言われている。